反撃
「さっきの魔王じゃない 今度は土下座でもしてくれるのかな?
今最高にムカついてるから あんたの情けない姿見せて少しくらい良い気にさせてよね?
あの二人のお涙ちょうだいの嘘くさい三文芝居で気分最悪なのよぉ
ぼろ雑巾みたいでかっこ悪いったらありゃしない」
「俺はそうは思わないがな」
ゾットが続けた
「かのんとセージこの二人は最高にかっこいぜ 薄汚いお前らなんかより比較にならないほど
ずっとな」
れいなの顔がひきつった。
「三流魔王さあ うちらが許さないって言ったらどうするつもりなのぉ?」
ゾットは答えた
「許してもらうつもりは無い。
俺は顔に皿を押し付けられようが 唾掛けられようが馬鹿にされようが
大抵の事は笑って許してやる。
――だがな、身内を傷つけられて笑っていられるほど穏やかじゃねえんだよ!!
お前ら全員潰す」
れいなはキレる寸前である。
「三流魔王がうちらとやる気?
どこまでもムカつくんですけどぉ。
ゆうじ やっちゃって!!」
れいなが言い終わろうとする前に。
サルのウッドが魔王の後ろから前に歩き出し。
「降参~~~ 暴力反対~
ぼくまだ死にたくないから降参します!」
「こっちは一人と三匹、そちらは数十人
どう考えても普通じゃ勝ち目無いから僕だけでも降参します
ぼくだけでもそっちの仲間に入れてくれないかな?」
ウッドが白い布を振りながら、れいなの前に近づき腹を見せて降参のポーズをとった。
「おいおい マジかよ?さすがあの魔王の手下だ」
ゆうじは笑っている。
「お猿さんは賢いわね」
れいなの顔が少し緩んだ。
ウッドはれいなに近づくと両手を彼女の胸に付き、頭を下げて
「反省!!」のポーズを取った。
「この二人もこのおさるさんみたいに賢かったら
痛い目会わずに済むのに 馬鹿よねぇ」
れいながぼろぼろになった二人を見つめながら、微笑みを浮かべた。
「馬鹿はどっちだ? 」
ウッドがぽつりと呟いて れいなから走り去って行った。
その直後 敵味方から大爆笑の渦が巻き起こった。
事態を呑み込めない れいな
「ど どうしたの? みんな??」
「私に比べたらみんな貧乳になっちゃうよねぇ 可哀そう~」
シルビアがさらりと答えた。
「違いねぇな 化け猫だもんな」
ゾットもうなずいている。
「れ れいな~~ うひゃひゃひゃ 確かにそうだ 違いねぇ 笑いしぬぅぅ~~」
ゆうじが笑い転げながら答えている。
「姉さん、胸・・・ 胸見て下せえ」
手下の男がれいなの胸を指さして答えた。
左に「貧」 右に「乳」と赤いソースで書かれている。
「貧乳!!!!」
れいなは事態を呑み込むと顔を真っ赤にして彼を追いかけ始めた。
「あのエテ公!! あのサルを捕まえるのよ 全員追いかけて!
なぶり殺しにしてやる。」
我に返った手下どもがウッドを追いかけるが、なかなか彼に追いつかない
むしろ彼が手下どもが追いやすいようにゆっくり走ってるようである。
彼がジャンプしておいでおいでをしている。
れいなも微妙な違和感に気づいたようである。
「罠よ! 戻って」
叫ぶか叫ばないうちに手下の大半が闇に消えた。
消えたのでは無い 干し草が浮かべてあった熱湯の露天風呂に落ちたのである。
どぼ~~ん すごい音が立ち上り湯気がもうもうと上がっている。
あち~~~と手下はわめ気散らした。
追いかけた残りの手下が露天風呂の縁で微妙なバランスを取って
「押すなよ~ 押すなよ~~」と言いながら耐えている。
遅れてきたエドが
「押すなよ~ 押すなよ~~は押してくれの意味だったよな?」
頭突きで手下どもを温泉に突き落とした。
「ぬるすぎるなら何時でもオレが追い炊きをしてやるぜ」
エドは火を噴いて見せた。
「使えない奴ら」
れいなが呟いた。