勇気の代償
「どうしよう このままじゃ二人とも殺されちゃうよ 助けに入ろうよ」
バジルが不安そうにローズに話しかけた。
「私たち二人が助けに入っても、全然事態は好転しないわ 私が魔王を呼んで来るから
その間に私が頼んだことをお願いしていい? 気が付かれないようにね 」
ローズは平静を装いバジルに話し終わると全速で駆け出した。
バジルもうなずき 闇に消えて行った。
「そろそろ 私に謝る気になったぁ? ごめんなさいっ あなたに従います
って一言言えば助けてあげるのに」
れいなはかのんをいたぶり続けている。
「・・・」
かのんはもう口を利く元気も残っていないようだ。
その様子にはさすがに ゆうじもその手下も顔を曇らせている。
「いい加減にしろ このババア 恐怖で従えてダチになったつもりかよ?
本当はお前友達一人も居ねぇんじゃねぇの? おばさん?」
意識を取り戻したセージが床に転がったまま れいなに言い放った。
れいなの顔色が変わった。
目を細め、今までの美貌を湛えた笑顔から、冷酷とも思える表情にかわっていた。
図星を突かれたのか、彼女からは殺意がにじみ出ている。
「綺麗事言うガキはだから嫌いよ あんたから死ねば? じゃあね」
れいながセージの首めがけて鋭い蹴りを振り下ろした。
「だめ~~~~っ」
その瞬間 かのんはセージに覆いかぶさり彼を庇った
かのんの胸のあたりに、れいなの蹴りが当たり服が小さく裂けて小さな十字の形に血がにじんだ。
セージが生きているのを確認して安心したように
「良かった無事で・・・」
そう言うとかのんはセージに倒れ込み意識を失った。
「お姉ちゃん! かのんお姉ちゃん!!しっかりして」
セージはかのんをゆすったが返事は無い。
「ぜったいお前は許さないからな 殺されても来世で殺してやる!!」
セージが叫んだ。
「あたしの邪魔ばっかりして あたしの思うようにならないの
マジ むかつくんですけどぉ・・・
どいつもこいつもお涙ちょうだいの人情話大好き人間なわけぇ?
そんなに死にたいなら二人ともマジ殺すんだから」
れいなはセージの首に手を当てようとした瞬間。
「そこまでだ!」
闇からゾットの声が聞こえた。