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え、豪邸ですか?in住宅街

なんかもう、疲れてて、焦ってて、下手糞になってしまいました。

許してくださいな第三章です。


さっきまでフワフワウザウザしていたオッサン・・・・もとい田中はその身体を霜に変えて天に消えてしまった。明は涙も流さずに呆然と立ち尽くしていたが、俺はどうすればいいのか分からなかった。しかし、やっぱり気になるので、聞いてみる。

「・・・・・・あれなんだったんですか?」

明はぽつりぽつりと呟くように語る。

「幽霊とはこの世に未練を残した魂で、あの世にいけず彷徨っているんです。田中さんには一人息子がいて、彼は自分が無責任に死んだことで息子が普通に暮らせているかどうか、ということが未練でした。その未練は解消されたのでいつでも成仏はできたのですけど・・・・。彼がまだ未練を解消していない間に私と会ったんですけど、そのときに私、こんな不思議な能力を持って生まれついて、しかも人見知りなので、麗以外の知り合い

というものもいなくて。田中さんはそんな私のことを心配して、未練が解消されてもこの世に残っていたんです。」

「つまり、あの田中、って人が成仏したってことは、俺が、あの人にアンタの知り合いと認識されたと・・・・?」

そう考えてなんか無意識に顔が赤くなってくる。すぐ隣を見ると明も赤くなってる。しばらくお互いに足元をみたりモジモジしたりして、気まずい時間を過ごす。そうしていると、

エンジン音、そして若い女性の気配が向こう側からやってきた。勿論まだ明は気づいていない。なんなんだろう、とそちらを見てみる。

車はなんとリムジンだ。こんな郊外でリムジンを見るとは、と少し驚くが拳銃を見ているのでそれほどの驚きはない。しかし、問題はリムジンに載っている若い女性だ。年齢はおそらく二十代前半。茶髪のショートヘアーで、少しくせっ毛だ。顔は明とは正反対な激しい一面と一方で、おしとやかな大人の魅力も持ち合わせていて、その二面性が不思議と両立していて、俺のタイプではないが、世間一般でいう美人なのだろう。背が高く、ほっそりとした体ということが、ここからでも分かる。そして明未満でも形の良い膨らみが胸に・・・・・と、いうか別にこれらはどうでもいい。問題は、

その女性が、メイド服、ということだった。

メイドがリムジンに載るという奇天烈な光景。いますぐ写メ撮って、全世界にその様子を送信してやりたい。

その女性がようやく明も認識できる距離に近づいてきて、そして、

「お嬢様~!」

「麗~!」

・・・・・明が珍しく大きな声で、先程から何度か話に出てきた人物の名を叫んだ。

さっきから、信頼できる、とか自分を理解してくれるとかなんか頼りにされている人物らしいことはわかっていたので正直妬いていたが・・・・

「・・・・・・なんであの奇天烈リムジンメイド・・・・。妬いて損した・・・・。」

そう宏助が落胆していると、その奇天烈リムジンメイドが俺に向かって発砲してきた。

今日拳銃を見るのは二度目だ。メイドはリムジンから腕だけ突き出して、俺に撃ってきた。距離は数十メートルもあるが、発射された三発・・・え、三発?の銃弾は・・・・・あ、また発砲。結局銃に入ってた六発全部撃った・・・・一直線に俺の方に・・・・・

「いや待って~!」

銃弾は的確に俺の額に飛んできた。あの銃も消音機ついてんのか畜生銃声がしねぇ・・・どうしよう。六発同時キャッチなんて、時間と指が足りないし、いや別に受けても大丈夫だとは思うけど、でもさすがに痛そうだしどうしよう・・・。

「ああもう!」

ヤケクソになって跳んできた銃弾を人差し指で弾いてみる。すると銃弾は、ズキューン、と音を鳴らして残り五発をはじきとばして、メイドの持っていた拳銃に当たった。

「・・・・・!?」

ビックリしたようなメイドは、すぐさまその銃をはなし、そこで銃が落ちる。明は驚いて、声が出ない。で、俺は・・・・、

・・・・・驚いて声がでなかった。


 宏助のしでかしたことを見て、ただものじゃないと、メイドが気づき、その後明がメイドに事情説明。そのメイドは麗、というらしく明の能力についても知っていたし、なによりその場で見てしまったため、俺のことも案外簡単に受け入れてくれた。俺のことを聞いてから、その麗というメイドは、「うーん・・・・やっぱりそうね?適任よね・・・?でも・・・?」とか挙動不振で意味不明にブツブツ呟いていたが、俺と明がいることを思い出し、慌てて、「さ、どうぞお乗りください。宏助・・・・さんでしたっけ?何か不都合なければ、こちらでおもてなし致しますが。」

と、言い出した。買い物の途中だったし、お腹も減っていたが、明ともう少し一緒にいられるのはうれしいし、何より麗がひたすら威圧感のある目で、『来い』と俺に訴えていたからだ。

俺は人生ではじめてリムジンというものに乗った。運転手と助手席のほかに、中が円形のソファー、机、ちょっとしゃれた灰皿など、時々テレビで見るものとほぼ同じだった。俺が円形のソファーの奥に座ると、彼女はその向かい側に座る。俺がキョロキョロ周りを見ているのを、見て、クスリと笑い、俺もつられて笑顔になる。そんな様子を麗が見てニヤニヤしていたのはあくまで無視した。

 車内では俺の事情説明タイムがはじまる。この自分の能力を誰かに打ち明けるのははじめてのことだったが、なかなかに気持ちの良いものだった。

自分の事情を知る人が聞くのだし、明なんかは自分を助けてくれた、と何度もお礼を言ってくれる。

そんな人の良い彼女だったが、しかし、自分はやはり人外の化け物だし、明は人間だ。どんなに不思議な能力を持っていても彼女が人間なのは事実。

だから、俺と彼女という直線が交わることは決して無い。俺は彼女と交わってはいけない直線。異常な直線なのだ。

俺はつまり、今日という時間を大切に出来るだけ今、長く彼女と関わっていようと思った。あと数時間位だ。そしたら、無理やり交わっていた俺、という直線はまた元の軌道に戻る。

それからの車内で、俺は嬉々として自分の事情を語った。


  リムジンは、郊外の住宅街の一角に路上駐車。突然止まった。ここなら通ったことあるし俺のマンションも近い。すぐ帰れると少し安心。しかし、そういえば俺、自分の話をするばかりで彼女達のこと全然聞いてねぇ。麗は明に仕えているメイドで、明の父親は海外で仕事、母親は既に他界したと、それ位は聞いているが・・・・。しかし、母親の他界を語る彼女の目はとても悲しいものを宿していた。過去になにかあったのだろうか。

そんなことを考えている間に「ちょっと待っててください。」といって出て行った麗が戻ってきた。彼女はリムジンをなんと二軒の住宅に向けている。俺が麗にどうするんですか?と話しかけようとすると、突然二軒の住宅の隣合わせになっていた住宅の壁が左右にスライドして開いた。

「・・・!?」

驚く宏助に彼女たちは平然としている。見るとどんどん奥にある住宅の壁がスライドして開いていく。そういえば、ここの住宅街は構造が変だな、と思ったことはある。住宅が、よく見ると繋がって十字を描いている。しかしその十字の中心だけが円のようになっていて、しかし、その円の中は見えない。おそらく円の中には家がなにかあるのだろうが、しかし、まるでそれらの住宅がその円の中心を囲んでいるようになっている。

その十字の四本の内一本からその中心に向かってリムジンは住宅の壁のスライドによって、出来た道を奥に進んでいく。やがて、一番奥にある駐車スペースと思わしき場所に車をとめ、一旦下車。歩き始める。しかし、なんだろうこれは。しかも気のせいではないだろが・・・・

「麗さん、これ・・・なんですか?ていうか、さっきから敵意みたいなものがこの住宅から俺に向かって発されている気が・・・・。」

「あ、まだ説明してませんでしたっけ。ここに客が来るのは久しぶりですからね、皆警戒しているのでしょう。神条明様、つまり明様は・・・神条財閥総帥の神条光、その一人娘で御座います。」

神条財閥、聞いたことがある。確か様々なジャンルの企業を手がけている国際的な財閥。その総帥は世界第三位ぐらいの大富豪だった気がする。その彼の一人娘が・・・・この明ってこと?

そんなことを思いながら明を見ていると、俺の目の前に、豪邸、宮殿、それを兼ね合わせたかのような家。周りは住宅に囲まれていて、その住宅は普通だが、その中でこの家だけは異様だった。レンガ造りの塀。その中には芝生が敷き詰められた庭。バラ園も見える。更に家には白と金、の二色で彩られたさまざまな彫刻やつくりが目立つ洋式。噴水やオブジェなどもあり・・・一言で表すと、豪華、としかいいようがない。世界遺産に登録されているような、そんなレベルの豪邸だった。金もおそらくこの豪華さから予想するにメッキではなく本物だろう。レンガ造りの塀や、家の一部もレンガで出来ていて、この中で唯一質素だといえた。

「・・・・・・・?」

畜生。今日の俺は疑問符だらけだ。とりあえず、慣れない高級住宅、その庭にある黒曜石でできた道を歩いて行く。場違い感が物凄く俺を包む。

そして、白い漆喰のドアを麗が開き、それを俺と明がくぐる。中は、歩くのも億劫になるようなレッドカーペットと、天井に下がるシャンデリア。

最早目がおかしくなってきたころ、麗に先導されて、その左に、すると、そこは俺のマンションの自室の三倍ほどの面積を有する、応接間。革張りのソファーにやはりカーペット。そして、豪華そうなテーブル。明がソファーの奥に座り、俺がその隣に。合成皮ではない感触が気持ち悪い。

そうこうしていると、麗がやってきて、慣れた手つきで紅茶を三人分を配る。カップやお盆すらも異様な光沢を持っていたが、もう目が麻痺していた、

紅茶をとりあえず一気飲み。明は少しずつ啜る。紅茶に手をつけない麗は、俺と明の向かい側のソファーに座る。

「さて。宏助さん。」

「ハイっツ!」

思わずビクッとする。なんだろうか。

「あなたをここに呼んだのは他でもありません。あなたに明お嬢様のボディーガードをやっていただきたい。」

予想もつかない言葉にまたも疑問符。

「・・・・・・・??????????」

「麗!どういう意味ですか!」

彼女は微妙に頬を紅潮させて麗に問う。そんな様子の主人に対しても冷静に麗は、

「私は今回のことで思いました。お嬢様が、霊を成仏させたがっているのはわかります。しかし、お嬢様はこのご身分。一歩外に出れば、どんな輩が待ち受けているのか分からないのです。だから今まで外出を許可したことはありません。もしも大人数で襲ってこられたら、私たちだけでは対処ができないのです。」

「そ、それは分かっていますが・・・・。」

落ち込んだ様子の彼女。そうか明は霊を成仏させるために外にでていたのか。また彼女の優しい部分を発見する。

「そこで、です。宏助さんに明様のボディーガードをやってもらば、いいと思うのです。宏助さんは人外の力を持っているのでしょう。なら大丈夫です。まず、どんな輩が来ても問題ない。更に明様は宏助さんについていてもらえさえすれば幽霊と好きに会える。」

「そ、そうなのですか!それなら大賛成です!」

と、彼女スゲー喜んだ上に俺を期待に満ちた視線で、見てくる。しかし、俺は人と関わらないようにしよう、という決意があるし、と渋っていると。

「貴方に拒否権はありませんよ?貴方がここに入った以上もしここから出せばお嬢様についての機密情報が漏れるかもしれない。そうしないために私はあなたをここから出すわけには行かない。」

ニッコリと笑いながら、けれど目は真剣を通り過ぎて冷徹としたものをたたえて、麗は俺に同意を求めてくる。

「・・・・・・・・・。」

そこで俺に残されていたのは、期待に満ちた純粋な彼女の目線と、強制に満ちた冷徹な彼女の目線。俺はなにかに動かされたように、カクン、と首を縦に振った

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