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《ORIGIN TALE ONLINE》  作者: 零零機工斗
第一章:戦争だっ!
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Tale.7

更新ペースを早めたいのに、それができない悔しさって大きいですね

ネフィムが決闘申し込みウィンドウの『YES』を押した。

すると、今度はこっちに決闘フィールドのリストが載っているウィンドウが現れる。

恐らくここから戦う場所を選ぶのだろう。

カナは不安そうな顔をし、今まで無口だった夜斗でさえも何かを言いたげにボクの背中を軽く叩く。


「どうした?」


ボクがそう聞くと、夜斗が少し心配そうな顔をしながらも言う。


「...勝機はあるのか?」


その言葉を聞き、ボクはニヤリと笑う。


「当たり前だろ。この三日間、引き篭もって兵器しか作ってなかった訳じゃないぜ?自分の戦い方くらい分かってるって」


「そうは見えないけど......」


どいつもこいつも失礼だな。

機械の製作だけでも十分凄いことな筈なのに......



「じゃあネフィムさん、決闘のフィールドは【廃墟街】でいい?」


「ああ」


ネフィムはそう返事し、首を縦に振る。

ボクはそれを見てウィンドウに表示されている【廃墟街】の絵を押し、確認ウィンドウで『YES』を押す。

すると、ボクとネフィムは青い光に包まれる。

これで【廃墟街】に転送させられるんだろう。


ボクらが元いた場所には決闘の様子が見れるウィンドウが表示される筈。

店に迷惑を掛けない分は良いけど、カナ達にボクの戦い方を間近で見てもらえないのが少し残念。


そんなことを思っていると、視界が青い光に覆われ、何も見えなくなる。











目を開けると、周りに広がっていた景色は、まるで空爆にでもあった様にボロボロになった現代都市だった。

全ての窓ガラスが割れていたり無かったりして、ビルというビルがコンクリートにヒビが入っていたり、屋上が無くて上がポッカリと開いていたりしていた。


正面にいたネフィムは既に構えている。

手を前に出し、何かを呟いていた。

恐らく魔法を提唱し、開始直後に放つつもりなんだろう


上を見上げると、数字の9が表示されていた。

その上には『決闘が始まるまであと......』



「...って、待て待て」


9から8に減り、8から7へとどんどん減っていく。



あくまで推測だけど、決闘というからには回復アイテムは使えないのだと思う。

ということはインベントリを開けない。


インベントリを開けないということは、ボクは兵器を取り出せない。

兵器を取り出せないボク、イコール無力。



「急げぇぇぇ!」


ボクは慌てながらもメインメニューを開き、素早くインベントリから使うつもりのアイテムを取り出し、白衣の内側に仕舞う。


取り敢えずこれだけで十分だとは思う。

まだ試したいこともあるし


そんなことを考えていたら、ネフィムが話しかけてきた



「名前、アスだっけか。お前にハンデをくれてやる。」


「......ハンデ?」


「ああ。私のHPを四分の一でも減らせたら、臨時参加を認めてやる。」


随分と偉そうな言い方だな。


因みに、今回の決闘での勝利条件はHPを全て減らすことだ

相手がトッププレイヤーだからこちらとしてはチャンスだけど。


「......分かった。そうさせて貰うよ」


決闘開始までの数字(カウンター)が0になる。



『――決闘開始――』



先に動いたのはネフィムだった。



「【闇黒炎球】」



漆黒とも言える色の火球がネフィムの手から放たれた。

目標は勿論ボクだ。

火球の速度はかなり速いが、目で追えない程ではない。


「バリア展開っ」


ボクは白衣のポケットの仕舞いこんでいた円形の金属の塊を取り出し、そう叫んだ。


瞬間、ボクの目の前には半径3メートルくらいの円形の半透明な膜が張られた。

自作のバリア展開装置だぜ、とボクはにやけながらも呟いた。



そして衝突。



バリアの表面に漆黒の炎が叩きつけられ、バリアの耐久値を示す緑色のバーが減っていく。

それも、予想以上のスピードで。


焦ったボクは横に飛び退く。

だがそれは相手の読み通りの様で、新たな火球がボクの飛び退く方向から飛んできた。


「ッ!...バリア展開っ」


もう一つ別の展開装置をポケットから取り出し、二つ目のバリアを展開した。

これも衝突し、凄い勢いで耐久値を削り取られた。


バリアで攻撃を防いでる内にとボクは廃墟の裏路地に逃げ込む。


「逃がすか、【シャドウチェイン】」


ネフィムの足元から黒い靄が浮かび上がり、鎖を形成した。

どす黒い靄を漂わせるその鎖は、まるで固有の意思があるかの様に動き回る。




そして次の瞬間、ボクは信じられない光景を目にした。






ネフィムが鎖を振ったと思ったら、正面の廃ビルが縦に真っ二つ(、、、、、、)に斬られていたのだ。



真っ二つになった廃ビルはボロボロと崩れ落ち、目の前は瓦礫の山と化した。




恐らくアレを食らったら、ボクは一撃でお陀仏だろう。

何せ最初の一日でやった狩り以外、戦闘は一切してないのだ。

戦闘をしてないので、戦闘に関係あるステータスはあまり成長してない。

それは体力、VIT、MNDも含む。

トッププレイヤーにとってボクのステータスなんて鼻で笑えるモノだろう。



そう思ったボクは、白衣のポケットからある物を取り出す。

そして、ネフィムを目指して駆け出す。


「......銃?」」



ネフィムがボクの持っているモノに気づく。


そう、ボクが取り出したのは拳銃(ハンドガン)だ。

しかも初日で武器屋で買った初心者の武器ではなく、自作のモノ。

当然ただのハンドガンではない。




「魔力充填、完了っと。発射ァ!」


ボクは銃に魔力を込めるイメージをし、銃口をネフィムに向けて引き金を引いた。







瞬間、銃口から直径2メートルくらいの光の柱が吹き出た。








仮面の上からでも、ネフィムが動揺したことが分かった。

動揺したせいか、ネフィムが飛び退くタイミングが少しずれ、撃った光弾が奴の頬を掠めた。


結果、ネフィムの仮面にヒビが入り、割れて飛び散った。



そして仮面の下は......エライ美少女の顔だった。



フードも風圧で下ろされ、中から紫色の髪が腰まで下りた。

大きな瞳は綺麗な青色で、肌は通常の肌より白かった。

アルビノというヤツだろうか。瞳は青なのに




そしてボクは、ある重大なことに気づく。

今までネフィムが姿を隠していたということは、人に素の姿を見られたくないからだろう。

でもボクは見てしまったし、今は決闘中だ。

今頃店では客が集まってこの【廃墟街】の映っているスクリーンからボクらの決闘を観戦しているだろう。


しかも、ネフィムはトッププレイヤーだ。

気づかれて掲示板とかで騒がれる可能性もある。




......ひょっとして、ボクは何かトンデモないことをしたのではないだろうか。



「.........ええと、ネフィムさん?」


ネフィムは、砕け散って地面に広がる仮面の残骸をポカンと眺めていた。


「...ネフィムさん?」



ネフィムがハッとボクの声に気づき、ボクの顔を見て言い放った。





「アスさん。私、降参します」



「......はい?」


何がなんだか分からなかった。

でもネフィムの顔を見た所、かなり焦っている様だ。


ネフィムがメインメニューを開き、先程のボク以上の速さでウィンドウを操作し始めた。




そのすぐ後、空からアナウンスが響く。




『【ネフィム】が《降参》しました。よって、この決闘は【アス】の不戦勝となります。』




何も聞かされないまま、何もできないまま、ボクは青い光に包まれて視界が真っ白になったのだった。





◇~◆~◇~◆





「先程はお見苦しい所を見せてしまってすいません。普段はいつもあんな感じなので、素顔が他のトッププレイヤーに見られたりしたら、と思って不安だったのです。」


「はあ...」


決闘を終え、ボクらは【猫カフェ】へと戻されていた。

そしてネフィムは椅子にちょこんと座り、何故かボクに謝っていた。




さっきまでの男らしい態度のネフィムと比べると、姿も口調もまるで別人の様だ。

仮面が無い今、ネフィムの声も聞くだけで美少女を連想させられる高い声がボクにとっては衝撃的だった。

不気味なオーラを纏っていた時のネフィムと比べると、今のネフィムは小動物に見えてしまうのだ。



「にしても、あの銃は何だったのお兄ちゃん?」


カナがテーブルを乗り出して聞いてきた。

夜斗も耳をピクっと動かし、さり気なくこっちに寄って来た。



「これは拳銃サイズにまで小型化したプラズマ砲さ。」


ボクはインベントリからそれを取り出し、皆に見せる。

武器名は《Σブラスター》だ


「レーザーとかじゃないんですか?」


ネフィムが首を傾げながら訊く。



「レーザーじゃあんなに巨大な光線を出せないよ。もしプラズマの代わりにレーザーを使っていたら、この拳銃サイズじゃあ細い光線しかだせないんだ。」


「「「なるほど...」」」


三人共納得する様に頷いた。


そして、ボクは恐る恐る訊いてみる



「それで、ネフィムさん......ボクはギルド戦争に参加できますか?」



「勿論。あの兵器よりもっと凄いのを作っているのだろう?期待しているぞ」


あ、仮面は無いけど口調がさっきのネフィムに戻った。

笑顔は癒されるけど








その後【猫カフェ】でもう少しお喋りを続けて、ボクらはネフィムさんと別れてログアウトしたのだった。

二重人格キャラ......なのかな?

良かったら感想下さい。


戦闘シーンムズい

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