Tale.6
更新遅れてすいません!
実は親にパソコンを制限されてしまって...
なので更新ペースが少し遅れます
―2038年 7月26日ー
イベント『ギルド戦争』まで、あと一日。
ボクは今日もログインし、倉庫に篭もって兵器の製造に取り掛かっていた。
兵器製造以外にも、自分のスキルや父さんに貰った素材を調べる時間も作った。
そして今までの実験や存在する情報での考察で分かったことが複数ある。
一つは、父さんに貰った部品や素材全ての使い方と性質、そして多少の応用法。
例えばミスリルを冷やせば電気が非常に通しやすくなったり、空銀という金属は電気を通してから生産に使うと効果が上がるなどと、色々な細かい設定が施されている。
カナ達はそんな細かいことまで調べるボクに呆れているそうだが。
もう一つは、才能スキル、《錬金術》のAスキルの一つ、【錬金】は使い勝手が悪いということだ。
【錬金】はMPを消費して金属などの加工可能な素材を自在に加工するスキルだ。
しかし消費するMP量が大き過ぎて、加工している間にMPが尽きてしまい、中途半端な形に残ってしまう場合が多い。
カナ曰く、MPの回復を待ってちょびっとずつ加工していく【錬金】よりも、道具を使って加工ができる【鍛冶】の方がメジャーだそうだ。
《錬金術》才能のもう一つのAスキル、【練成】は複数の素材を融合させて別の素材に上位変換させたり、一つの素材を複数の素材に下位変換する生産スキルだけど、これは変換効率が悪く、滅多に成功しない。
普通なら《合成》という、上位変換しかできない代わりに成功し易いスキルを選ぶのだけど、攻略サイトを見てないボクは知らずに扱い辛い《錬金術》を選んでしまった訳だ。
最後に、《憑依》は召喚師やテイマー専用の才能スキルではないことだ。
もしそうだったら、《召喚師》や《テイム》から派生するAスキルの方が自然だ。
でもそうでないということは、モンスター以外にも使える筈。
そう思ったボクは試しに、作った玩具サイズのモーターカーに【憑依】を使用してみた。
結果、視覚が無かったけど、モーターを感覚で動かすことができた。
まるで自分の手足を動かすかの様に。
でもこの情報はまだ公式に発表する訳ではない。
何せ、今はまだ戦争の前日だ。
戦争の後に掲示板で公開すれば良い。
どうせ戦争で使うつもりだしね
「お兄ちゃん、ギルマスに挨拶しに行くから一緒に行こ!」
倉庫のドアが開き、ひょこっとカナが顔を出す。
後ろには夜斗がいる。
「自分達で行って来なよ」
「ええ!?臨時とは言え、お兄ちゃんのいるギルドのリーダーだよ!?挨拶くらいしないと!」
「待って、あともうちょっとで足の装甲が加工し終わるから...」
【錬金】
スキル名を念じると、手で触れている金属が光り始める。
形を思い浮かべると、金属がそれに沿って形を変わる。
しばらくすると、MPが切れる。
目の前にあるのは足の形状に変化した金属の塊だ。
「お兄ちゃん【錬金】使ってるの?《鍛冶》才能があるのに?」
「だって面白そうだし...」
才能スキル、《鍛冶》
Aスキルの【鍛冶】は、使うとウィンドウ上で武器や防具を作るスキルだ。
勿論才能スキルだけでもできるが、ウィンドウ上の方が簡単なので殆どの鍛冶職は【鍛冶】のAスキルを使う。
勿論ボクも【鍛冶】は使っている。
でも、【錬金】で思い通りに金属を加工できるのが面白いので、いつもはそっちを使う。
「で?ギルマスに会いに行くの?行かないの?」
「はいはい、行きますよ」
仕方無く作業を中断し、久しぶりに倉庫の外に出る。
街が良く賑わっているが、大人数は好きではないのでなるべく避ける様に歩く。
そのままカナと夜斗に付いて行くと、この都市のワープポイントに辿り着く。
ワープポイントは、他のエリアに行くための魔法円だ。
かなり複雑な模様で、常に微量の青い光を放っている。
【空中都市ウラノウス】のワープポイントは、空中に浮かぶ円形の島の端っこにある。
設定としてはなんらかの魔法で浮いているこの島は、建物が多重に円を描く様に並び、何重もの円の中心にあるのは巨大な城だ。
カナによると、その城はイベント用らしい。
「転移、【大都市レグア】」
ワープポイントの魔法円が白い光を放ち、ボクらは光の柱に包まれる。
視界が真っ白になり、空間がぐにゃりと曲がるのを感じる。
◇~◆~◇~◆
視界から眩しい光が失せ、次第に目が見える様になる。
その時見たのは、円形の広場だった。
ワープポイントの周りには広場が四つあり、街中に人が溢れていた。
周りを見ても人、人、人。
勿論人間だけでなく、エルフ、ホビット、ドワーフ、竜人など、種族もバラバラ。
カナによると、この街を待ち合わせ場所に使う人は多いらしい。
レストランなどの食店が多いから、だそうだ。
ボク達が向かったのは【猫カフェ】。
猫の獣人しか働いてないカフェだそうだ。
店の中に入ると、ボクらは店員の猫獣人に奥のテーブルへと導かれた。
同じテーブルには、怪しい服装をした人が座っていた。
フード付きの黒いローブで体は隠され、顔は仮面で隠されている。
仮面は左側が黒で泣き顔、右側が白で笑顔が描かれていた不気味なモノだった。
年齢どころか、性別すら分からない。
「ネフィムさん、こんにちは!」
「...(こくん)」
カナの挨拶に、フードの人は頷くだけだった。
名前はネフィムというらしい。
「こちらが戦争のために臨時参加する兄さんです」
「......兄さん?妹ではないのか?」
声は無機質だったが、恐らく仮面の仕様か何かだろう
それにしてもやっと話したと思ったら、初対面で失礼なことを言われたな。
まあ、この容姿では仕方が無いみたいだけど。
「はい、一応現実では男です。」
「......このゲームで性別は変えられんぞ。」
「それが...カナが勝手にアバターを作ったんです」
「...アバター作成できても、まだ顔認識があるぞ?」
ネフィムが首を傾げる。
不気味な仮面で首を傾げられると、何か変な感じだな
「ハハハ...カナ曰く、機械を誤認させる程の顔だったモノでして...はあ」
自分で言っておきながらも、思わず溜め息を吐く。
ネフィムは何やら考える素振りをしているけど、当然だろう。
普通ならそんな人いる訳無いんだから
「......あまり詳しくは聞かないでおこう。取り敢えず、お前にはこれから決闘をしてもらう」
「...へ?決闘ですか?」
驚いたのはカナの方だった
「......ああ。臨時参加とはいえ、ウチはトップギルドだからな。ある程度の実力が無いと困る。」
実力と言っても...ボクは初ログイン後の三日間ずっと引き篭もってたから、戦闘能力なんて皆無なのだが
「お兄ちゃんは《エンジニア》スキルしか鍛えてないから戦えないよ」
「じゃあ不要だな」
......今何か聞き捨てならないことを聞いた。
不要?ボクが?エンジニアが?
それとも両方?
気づけば、ボクは素早い動きでメニューを操作していた。
「「「......え?」」」
カナ、夜斗、ネフィムが驚きの声を漏らす
三人の視線は、突然現れた『決闘への申し込み』ウィンドウに向けられていた。
勿論、送ったのはボクだ。
「ほう」
仮面を着けている筈なのに、その時のネフィムは不気味な笑みを浮かべているのが見えた様な気がした
近い内にまた別のVRMMOモノを書くかもです
でなければ異世界召喚モノ
勿論OTOの方も頑張ります




