Tale.4
今更ながら気づきましたが、お気に入り件数が三桁に突入しました!
光栄です!
次に狙うは四桁!(ハードル上げ過ぎだって
現在ボクは、防具店の中にいる。
防具店と言っても、ゲームの装備を売る店なのでコスプレ的な装備が多い。
そして、ボクは妹と幼馴染に美少女の姿でそれらのコスプレ装備を着させられている。
カナとりずむは楽しそうに防具店から新しい装備を選び出し、ボクの黒歴史を晒すと脅して無理矢理試着させに来るのだ。
それはそれは、恐ろしいとしか言い様が無い。
何せ最初の巫女服の次はメイド服、メイド服の次はセーラー服、セーラー服の次は黒のゴスロリ服(フリフリ)、黒のゴスロリ服の次は...と、延々と続いている
装備の数はもう二桁を越えた。
今は白衣にゴーグルを掛けているドクター風な装備を着ていて、店内ではスクショ(スクリーンショットの略)を撮る音が響いている。
カナとりずむだけで無く、店の他の客も鼻を抑えながらカシャカシャとホログラム画面上のシャッターボタンを押し続けている。
もうヤダこれ。
その後、かなり露出度のヤバそうな装備が出て来たのでボクは半泣き状態になりながらも拒否権を二人に願った。
だって着ても殆ど下着状態と変わらない程の物だったんだよ?
胸と股を隠す鉄の板が何枚かあるだけ
あのままだったら、男として何か大切な物を失くしていた気がする...(すでに大半は失くしてるが)
装備の拒否が許された時、ボクら以外の客は全員舌打ちをしてたけど。
因みに夜斗なら、殺気を纏いながら「ちょっと外に出る」と言って数分前に店内を出た。
一体何しに行ったんだろ...
「お兄ちゃん、そういえばスキルは何を選んだの?」
「凄い今更感がするなあ!...まあいいや。メインメニューってどうやって開くんだっけ」
「メニューが開く様に念じれば良いだけ」
ふむ、こんな感じかな?
(開け、メインメニュー!)
目の前にメニューらしきホログラム画面が現れる。
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【メインメニュー】
・クエスト
・ステータス
・装備/武器
・インベントリ
・所持スキル
・フレンド
・オプション
・ログアウト
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本当に念じるだけでメインメニューが開く様だ。
『ステータス』と書いてある項目をタッチし、ウィンドウをカナとりずむに見せる。
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【ステータス】
プレイヤーネーム:アス
性別:女
種族:人間
防具:《四角いメガネ》 《白衣》 《黒の半そでTシャツ》 《青ジーパン》 《白い靴下》 《コンバットブーツ》 《ノーマルインナー》
武器:無し
才能:《エンジニア》 《鍛冶》 《錬金術》 《銃》 《憑依》
Aスキル:【機械製作】 【鍛冶】 【練成】 【錬金】 【銃技】 【憑依】
Pスキル:無し
HP:100
MP:100
SP:20
STR:20
DEX:20
INT:20
LUK:20
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※【銃技】は銃を使うアクティブスキルのを一つに纏めたモノです。スキル名をタッチすれば銃を使うアクティブスキルの一覧が見れます。
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「「...お兄ちゃん(アスちゃん)?」」
「ん?どうした?」
「どうしたも何も、何で生産スキルが三つもあるの!?一体お兄ちゃんは何を目指してるの!?」
「というか《憑依》スキルってテイマーとかじゃなきゃ意味ないよ!憑依した所でメリットは自分で操作できることくらいしか無いし!」
一気に二回もダメ出しを食らった。
良いじゃないか、初心者なんだし...
「どうせ初心者だしって思ってるでしょ。『攻略サイトぐらい見てよね』って言ったじゃん!」
「あ、見てない...まあ良いや、どうせボクの目指すモノは戦う生産職だし」
「だからって、何で生産スキルを三つも取るの?」
「目指すは戦うエンジニアってこと。鍛冶とか錬金術はパーツ作りに必要かと」
「というか現実でも十分変なモノ作ってるのに、ゲーム内でも変なの作るつもり?」
「変なのとは失礼な。ホバー自転車は十分凄い発明だったでしょーが。例え試作品でも」
「そういえばアレ、ホバーなのに何で漕ぐ必要があったの?」
「一つ目の理由は見た目のため。二つ目はホバー用の動力のため。」
「二つ目の理由だけで十分じゃない...」
「私、この前にアレに乗ったら暴走しちゃったんだよね...怖かったなぁ...」
それはカナが不器用なだけだってのに。
「話がそれちゃったね。さてお兄ちゃん、ちょぉっと話を聞いてくれる?」
...悪い予感しかしないね...
ホバー自転車暴走事件を思い出して機嫌を悪くしたのか?
「《憑依》って何するスキルか分かる?」
「ええっと、物とか生き物に取り付くことじゃなくて?」
「言葉の意味は間違ってはいないけど、このゲームでは保護したモンスターしか憑依できないんだよ。だから、テイマー系のスキルを持ってないお兄ちゃんは使えないってこと。」
「モンスターじゃなくても、自分の管理下にあるMOBとかなら憑依できる?」
「モンスターじゃないMOB?個人のNPCとか?モンスター以外に事例が無いから分かんないや」
うーん、本当は機械に憑依できれば幸いなんだけど...
誰も試したこと無さそうだから秘密にしとこ。
「じゃあ《憑依》スキルは今の内は放って置くよ。」
「で?お兄ちゃんは結局何を目指してるの?」
「戦うエンジニアって言ったと思うけど...とりあえず銃なら色々な改造を加えられそうだからしばらくは銃士として戦うよ。父さんに材料を沢山貰ったしね」
「お父さんに貰った?」
「誕生日プレゼントだってさ」
「なるほど...」
数分後、少し怖い笑みを浮かべた夜斗が帰って来た。
「ストーカーはしっかり排除しといた」だってさ
幾らロールプレイとはいえ、キャラ変わり過ぎじゃないか?
夜斗が帰ってくるまでに買った装備の数は、全部で十四着だった。
巫女服一式
メイド服一式
セーラー服一式
黒のゴスロリ一式
スク水一式
旧スク水一式
女騎士の鎧一式
くの一服一式
シスター服一式
猫耳メイド服一式
魔法使いローブ
カウガール一式
パンダのパジャマ一式
ドクター一式(白衣など)
白衣以外は絶対に装備したくない...
◇~◆~◇~◆
――初心の草原
現在、ボクはフィールドで一人ぼっちだ
先ずは戦闘になれろってことで一人で草原に放り出されたのだ
他の三人は夜斗の【隠密】とかいうスキルで、隠れて様子を見るだけらしい。
...鬼め。
文句ばかり言っても仕方ないので、ボクは武器店で買った拳銃を取り出す。
目の前には緑色の【グリーンスライム】が一体。
5~6メートルくらい離れていて、こちらにはまだ気づいてない。
なのでなるべく音を立てずに拳銃に弾を込める。
「(スーハー...スーハー...)」
大きく深呼吸を二回もする。
だって拳銃握るのなんて初めてだよ?
それなりに重量もあるし、発砲音とか大きいらしいし。
狙っても当たらない気がして緊張する...
銃を構えると、視界には架空の十字形の照準が現れる。
ぶれながらも、ゆっくりと照準を【グリーンスライム】に合わせる。
そして地面を蹴り、【グリーンスライム】に接近して一気に距離を縮める。
【グリーンスライム】はこちらに気づいて襲い掛かるけど、もう遅い。
――狙うは眼だ
「当たれッ!」
パァン!と発砲音が鳴り響くと同時に、【グリーンスライム】の目玉から緑色の血らしき液体が噴き出る。
(赤い血だったらグロテスクの度が過ぎてしばらく狩りが出来なかったかも...)
そんなことを考えながらもう一度銃を構え、痛みで暴れる【ノーマルスライム】になんとかもう一発当てる。
眼に二発も銃弾を食らった【グリーンスライム】は、光の粒子となって消える。
HPが0になり、死んだ証拠だ。
「良かったね兄さん、初勝利おめでとう」
夜斗達が後ろで【隠密】を解き、声を掛けてくれる。
「と言っても、【グリーンスライム】なんてLV.1の雑魚なんだけど。」
LV.1の『LV』というのは敵の難易度の様な物だ。
例えLV.1でも初勝利だから嬉しいけど。
「もうちょっと狩りを続けたら、家に戻ろうか」
「家?」
「プレイヤーが買って住むことができる家のこと。お兄ちゃんも私達の家に住む?」
カナがそう提案すると、りずむが反論した。
「いいや、アスちゃんは私のギルドに入るべき。」
「考えとくよ...」
その後、軽く一時間くらいは狩りを続け、町に戻った。
少し長すぎじゃないかと聞いたら、全員に変な目で見られた
「何言ってるの?いつもなら四~五時間くらいは狩りをしっぱなしなんだよ?」
廃人が一体どういう人達か分かった気がしたのは、丁度今日その頃でした
次回は戦闘満載!...ではなく、生産一筋です。
アスちゃんは巨大なプロジェクトに取り掛かります
戦闘少なくてすいません。
その内、戦闘がメインな方の夜斗・カナ視点でやろうかと
因みにりずむは音楽・歌などで戦闘を行うキャラのつもりです
2/19:メインメニューにクエスト項目を追加