Tale.18
めっさお久しぶりの更新。
本当にすみません。
リアルが忙しかったもので...
「あれ、お兄ちゃん?何その格好?」
「うん、まあ、ちょっとね......」
一也と待ち合わせをする予定の店【猫カフェ】の前で、カナと出くわした。
一応、彼女とも待ち合わせをしている。
因みに今のボクの格好は、要約すれば『男装』だ。
サラシで胸を引っ込め、髪を纏め、白衣で纏めた髪を隠している。
服は購入したばかりのジーパンと緑色のワイシャツを着て、その上に白衣を羽織っている。
おかげで現実のボクと大差無い容姿だ。
女性寄りであることと、身長がかなり低いことには変わりないのが残念だけど。
よくよく考えてみたら、身長およそ140cmの時点で気づくんじゃないか?
「あ、アスちゃんもカナちゃんも、さっきぶりー!」
そんなことを考えていると、音葉、もといりずむが手を振りながらこちらに向かって走ってきた。
そしてそのすぐ後ろには――
「皆さんこんちゃーッス!明日斗はどこだ?」
頭上に【JIEKE】と表示されている、身長180cmくらいの男がいた。
声や発言からして、絶対に一也だ。
プレイヤーネームは日本語に変換すると【ジーク】、だと思う。
一也、もといジークは装備からして銃を扱うプレイヤーだと思う。
迷彩服を着ているし、腰に拳銃をぶら下げているからだ。
「お兄ちゃんならここだよ?」
カナがボクに向かって指を刺す。
「さ、さっきぶりだな一也、いや、今はジークか」
少し緊張しながらも、笑顔で挨拶する。
冷や汗が頬をつたった。
「おお!明日斗、いや、今はアスか!.......ん?」
ジークが首を傾げ、疑問そうにボクを見る。
「な、何かな?」
まさかバレたとか!?
「いや、お前こんなにちっこかったっけ?」
よし気づいてない!
「え、えーと、そう!これ、カナの悪戯でこうなったんだ...」
「はい!私がお兄ちゃんのアバターを勝手に作りました!」
嘘は言っていない。
重要な部分が抜けているだけだ。
「そっか、大変だな...」
「そうなんだよ......」
ジークがボクの肩をぽんと叩き、ボクは明後日の方向を眺めた。
こいつ良い奴なんだよね、やっぱり。
「でも、そのアバターは女装しやすそうだな!」
前言撤回。
こいつは敵だ。
「とりあえず、先に今後の予定を決めような」
背後から、そんな声がする。
振り返ると、予想通り――
「「「夜斗、いたんだ。」」」
「酷っ!?」
また少し、夜斗の心の傷が深まった。
◇~◆~◇~◆
最悪だ。
もう一度言おう。
最悪だ。
「ほぉ、【銀狼】の夜斗。まさかこんな所で出くわすとはな......」
「へぇ、おっさんじゃねぇか。街中でもアサルトライフル放さないとは、物騒なもんだな。」
「暗殺者が言うことじゃないだろ、それは」
「ははっ、確かにな」
言わずもがな、あの【狂銃器士】、コマンドである。
夜斗以外のボクら全員はぽかんとその巨体を見上げている。
一方、夜斗は笑みを浮かべている。
「丁度暴れたかったところだ。小僧、決闘しないか?」
「言うと思ったぜ。」
ニヤリと口元を歪め、コマンドはメニューを操作する。
そしてボク達全員の手元に現れたシステムメッセージは......
『【コマンド】とフレンド登録をしますか?』
思わずコケそうになった。
「フレンド登録した方がいつでもお前らと殺り合えると思ってな。【銀狼】と【闇聖剣】、【弦音】のギルマスも揃ってるんだ。当然、全員強いんだろ?」
勝手に判断された。
「それじゃ、決闘しようか」
「そうだな」
コマンドと夜斗。
二人はメニューを操作し、ボクらの手元にシステムメッセージが現れる。
『パーティ決闘を始めます。【夜斗】のパーティに入り、決闘に参加しますか?』
逃げ出したい。




