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『追放された野生の天才料理人、騎士団の胃袋を掴む ~「魔物を煮込むな!」と追い出されたのに、堅物公爵の理性を粉砕しています~』  作者: にゃん
第4章 新たなる足音

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第66話:王都地下、古代魔力路へ


 翌朝。

 王宮の裏手にある古い石階段の前に、

 リゼットたちは集まっていた。


 階段の先は、

 王都の地下へと続く封鎖区域。


 カシアンが魔術で封印を解除すると、

 冷たい風が吹き上がった。


「……ここが、魔力停滞の中心へ続く道だ」


 カシアンの声は、

 いつになく緊張していた。


「影の本体が潜んでいる可能性が高い。

 気を引き締めて進んでくれ」


「任せろ」


 ガイアスが剣を握り直す。


 ミレイユも魔力を展開し、

 リゼットのそばに立った。


「お姉さま、どんなことがあろうともわたくしが守りますわ」


「ううん……大丈夫。

 みんながいるから」


 リゼットは鍋を抱え、

 小さく息を吸った。


「行こう」


 階段を降りると、

 そこには古い石造りの通路が広がっていた。


 壁には古代文字が刻まれ、

 青白い光がゆらゆらと揺れている。


「ここが……古代魔力路……」


「王都が建つ前から存在する、

 大地の魔力の通り道だ」


 カシアンが説明する。


「本来は穏やかな魔力が流れているはずだが……」


 彼は通路の奥を睨んだ。


「今は、完全に“淀んでいる”」


 リゼットも感じた。

 胸の奥がざわつき、

 空気が重く、冷たい。


「……ここ、嫌な感じがする」


「影の気配ですわね」


 ミレイユが魔力を張り巡らせる。


「かなり濃いですわ。

 残滓ではなく……“本体の影”ですわ」


 その時。


 通路の奥から、

 低い声が響いた。


「……来たか……料理の娘……」


「っ!」


 リゼットは思わず鍋を抱きしめた。


「昨日の残滓とは違う……

 もっと強い気配だ」


 ガイアスが剣を構える。


「姿を見せろ!」


「姿……?

 我に……“形”はない……」


 声は、通路全体から響いてくる。


「だが……お前の料理……

 魔力を整え……

 我の干渉を弱める……」


「だから、王都の人たちが苦しんでるの……?」


「苦しみ……?

 違う……

 我はただ……“巡り”を求めているだけ……」


「巡り……?」


「魔力……生命……

 それらが流れる場所……

 我は……そこに集まる……

 それだけだ……」


 リゼットは震えながらも、

 一歩前に出た。


「でも……あなたのせいで、

 王都の人たちが苦しんでるの!」


「……苦しみ……

 それは……“副産物”……」


「副産物って……!」


 リゼットの声が震えた。


「人の命を……そんなふうに……!」


「命……?

 我には……理解できぬ……

 だが……お前の料理……

 我の“巡り”を乱す……

 だから――排除する」


 通路の奥で、

 黒い影がゆらりと揺れた。



「来るぞ!」


 ガイアスが叫び、

 ミレイユが魔力の盾を展開する。


 黒い影が通路全体に広がり、

 まるで生き物のように蠢いた。


「……料理の娘……

 お前の力……

 試させてもらう……」


 影の気配が、

 リゼットに向かって押し寄せる。


「リゼット、下がれ!」


「うん!」


 リゼットは鍋を抱え、

 ガイアスの背に隠れた。


 影の本体は姿を見せない。

 だが、その“存在感”だけで、

 空気が震えるほどの圧を放っていた。


「……これは、倒せる相手ではない」


 カシアンが低く呟いた。


「影の本体は、ここにはいない。

 これは“本体の影響”にすぎない」


「じゃあ、どうすれば……!」


「魔力の巡りを整えればいい。

 影の干渉が弱まれば、

 王都の病も収束する」


 カシアンはリゼットを見た。


「リゼット殿。

 あなたの料理が鍵だ」


「わ、私……?」


「影の干渉を弱める料理を、

 この地下で“魔力路に流す”のだ」


「魔力路に……料理を……?」


「そう。

 魔力は流れ、

 料理の力も流れる。

 それが影の干渉を弱める」


 リゼットは鍋を抱きしめ、

 ゆっくりと頷いた。


「……やってみる」


 その瞬間、

 影の声が響いた。


「……料理の娘……

 我の“巡り”を乱すな……

 さもなくば……」


 黒い影が通路を覆い、

 冷たい風が吹き荒れた。


「……“次”は……容赦せぬ……」


 影の気配が消え、

 通路は静寂に包まれた。




 リゼットは震える手で鍋を握りしめた。


「……怖いけど……

 でも、やる。

 王都のみんなが元気になるなら……」


 ガイアスがそっと肩に手を置いた。


「大丈夫だ。

 俺たちがついている」


 ミレイユも微笑む。


「あなたの料理は、影より強いですわ」


 カシアンが頷いた。


「では――

 魔力路に“料理の力”を流しに行こう」


 

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