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『追放された野生の天才料理人、騎士団の胃袋を掴む ~「魔物を煮込むな!」と追い出されたのに、堅物公爵の理性を粉砕しています~』  作者: にゃん
第2章 王都編

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第30話:王の一匙、王都の息吹

王宮医務室は、いつになく張り詰めた空気に包まれていた。


リゼットは、

盆の上に黄金色のスープを乗せ、

深呼吸をひとつ。


「……よし。できた!」


“魔力循環安定スープ・王宮特別版”

月光キャベツ、影根ニンジン、痺れアンコウの肝、

そして王宮の薬草庫から借りた希少な“聖樹の葉”。


リゼットは胸を張った。

「これなら、王様の魔力も整うはず!」


ガイアスは、

その無邪気な笑顔に胸を押さえた。

(……頼むから、王宮でそんな可愛い顔をしないでくれ……

俺の心臓が死ぬ……)


カシアンは、

魔力測定器を見ながら呟いた。

「……王の魔力循環は限界に近い。

この料理が最後の希望だ」


シグルドは、

政治家の顔で周囲を睨む。

「バルトロの妨害は排除した。

あとは……君の料理だけだ、リゼット」


リゼットは頷いた。

「うん。任せて!」


老医師が、

震える手でスープを受け取った。

「……本当に、この娘の料理が……?」


シグルドが言う。

「宰相府の官僚は全員復活した。

魔術師団は暴走するほど元気になった。

騎士団長は……まあ、胃通以外は健康だ」


「余計なことを言うな!!」

ガイアスが怒鳴る。


カシアンは淡々と続ける。

「魔力の調律は、彼女の料理が最も適している」


老医師は深く息を吸い、

王様の枕元へと歩いた。

「……陛下。

どうか……お召し上がりください」


スプーンが、

王様の唇に触れた。


一匙。


二匙。


その瞬間――

王様の体から、

淡い光がふわりと立ち上った。


老医師が叫ぶ。

「……魔力が……整っていく……!」


カシアンが目を見開く。

「これは……魔力循環の“理想波形”だ……

魔術では絶対に作れない……!」


ガイアスは、

胸を押さえながら呟いた。

「……リゼット……」


シグルドは、

満足げに微笑んだ。

「やはり……君は王都の希望だ」


王様の瞼が、

ゆっくりと持ち上がった。

「……良い匂いが……する……」


侍従たちが息を呑む。

「陛下……!

ご意識が……!」


王様は、

ぼんやりとリゼットを見つめた。


「……そなたが……

この料理を……?」


リゼットは、ぺこりと頭を下げた。

「はい! お腹に優しいスープを作りました!」


王様は、

弱々しく微笑んだ。


「……美味い……

体が……軽い……」


その言葉に、

医務室全体が震えた。

医務室の扉が、

勢いよく開いた。


「陛下!!

その娘は危険です!!

毒を――」

バルトロが叫びながら飛び込んできた。


だが――

王様は、

静かに言った。

「……この娘の料理は……

私を救った」


バルトロの顔が凍りついた。

「な……に……?」


シグルドが冷たく言う。

「宮廷料理局の不正は、すでに調査中だ。

バルトロ。

君の“最後の悪あがき”は、ここで終わりだ」


カシアンも言う。

「魔術的にも、彼女の料理は完璧だ。

虚偽報告は重罪だぞ」


ガイアスは、

バルトロの前に立ち塞がった。

「リゼットに指一本触れさせん」


バルトロは、

その場に崩れ落ちた。

王様は、

リゼットを見つめて言った。


「そなたの料理は……

王都を救う力を持っている」


リゼットは、

ぽかんとした顔で言った。

「え? 私、ただ美味しいもの作ってるだけよ?」


三巨頭は同時に思った。

(……この娘、やっぱり最強だ……)


王様は続けた。

「……そなたに……

“王宮料理人”としての任を与えたい……」


医務室がざわついた。

リゼットは目を丸くした。

「えっ!? 王宮!?

でも、私、砦の料理番で――」


ガイアスが叫んだ。

「断る!!

彼女は私の専属だ!!」


シグルドが笑う。

「いや、宰相府の専属だろう」


カシアンが冷静に言う。

「魔術師団の調律担当だ」


三人が同時に睨み合う。

王様は苦笑した。

「……そなたたち、仲が良いのだな……」


リゼットは、

困ったように笑った。

「みんな、仲良しよねぇ」


王様が目を覚ましたという噂は、

その日のうちに王都全域へ広がった。


「リゼットという娘が、王様を救ったらしい」


「魔力の乱れが治ったって話だ」


「やっぱりあの子は本物だ!」


王都は、

新しい時代の気配にざわめき始めた。



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