表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『追放された野生の天才料理人、騎士団の胃袋を掴む ~「魔物を煮込むな!」と追い出されたのに、堅物公爵の理性を粉砕しています~』  作者: にゃん
第1章 砦編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/68

第14話:最後の晩餐と、騎士団の夜

王都へ旅立つ前夜。

断絶の砦は、いつになく静かだった。

普段なら、夕食の時間には騎士たちの笑い声が響き渡るのに、

今日は誰もが落ち着かず、そわそわと落ち着かない。

「……団長。皆、元気がありませんね」

副官がぽつりと呟く。

ガイアスは腕を組み、食堂の様子を見渡した。

(……当然だ。明日、彼女は王都へ向かう)

騎士たちは、まるで大切な家族が遠くへ行くのを見送る子供のような顔をしていた。

その時――

「みんなー! 今日の夕飯は特別よ!」

リゼットが大鍋を抱えて現れた。

「“断絶の砦スペシャル・最後の晩餐セット”よ!」

騎士団「「「うおおおおおおお!!!」」」

一瞬で食堂が沸騰した。

リゼットが作ったのは、

砦で人気だった料理を全部詰め込んだ豪華な献立。


• 魔魚の香草焼き

• 野草のオムレツ

• 厚切りベーコンの煮込み

• 根セロリもどきのスープ


「全部、みんなのために作ったのよ!」

その言葉に、騎士たちは涙ぐんだ。

「リゼットさん……!」

「俺たち、明日からどうやって生きれば……」

「団長! 王都に行くのを止めてください!!」

「黙れ。彼女は王都へ行く。

……だが、砦の胃袋のために、必ず戻ってきてもらう」

「団長さん、それは無理ですよ〜。王都でお仕事が……」

「……では、王都から“胃袋の薬”を送ってくれ」

「料理を送りますね!」

ガイアスは視線を逸らした。

(……本当に、砦は彼女に救われていたのだな)

夕食が終わると、騎士たちは中庭に集まった。

「リゼットさん……これ、受け取ってください!」

「えっ?」

騎士たちが差し出したのは――

手作りのお守り、干し肉、野草の束、磨いた石、謎の木彫り像

など、思い思いの“贈り物”。

「道中、魔物が出たらこれを!」

「リゼットさんが教えてくれた野草、たくさん集めておきました!」

「これは……俺が作った木彫りの……リゼットさん……」

「ありがとう! みんな優しいわね〜!」

リゼットは満面の笑みで受け取った。

ガイアスはその光景を見つめながら、胸が締め付けられるような感覚を覚えた。

(……彼女は、砦の光だった)

夜も更け、砦は静まり返った。

ガイアスは見回りの途中、

厨房の灯りがついているのに気づいた。

扉を開けると、

リゼットが明日の旅のために“保存食”を作っていた。

「……まだ起きていたのか」

「うん。明日、みんなに渡す分も作っておこうと思って」

ガイアスはしばらく黙って彼女を見つめた。

「……リゼット」

「はい?」

「王都は……ここほど温かい場所ではない。

お前のような者には、時に厳しい」

「大丈夫ですよ。

だって、団長さんが一緒でしょう?」

ガイアスの心臓が跳ねた。

リゼットは続ける。

「それに、砦のみんなが待ってるんだもん。

また帰ってくる理由ができたわ」

ガイアスは、そっと目を伏せた。

(……守らねば。

この光を、絶対に)


その時、中庭から騎士たちの叫び声が響いた。

「リゼットさーーーん!!

明日も絶対、絶対、絶対に手を振ってくださいねーーー!!」

「団長ーーー!!

リゼットさんを泣かせたら許しませんからねーーー!!」

ガイアス「………………」

リゼット「ふふっ、みんな元気ね〜」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ