入学式と5名の教職員
校門を通ると受付施設があり、そこで新入生は駐車場を挟んで置くにある議事堂に案内された。
議事堂……で、いいんだよな? ここ?
中に入ったら確かに議事堂があるんだが、その上の階が映画館と書かれていた。
え? 映画ここで見ることができる感じか?
確かに郊外に建てられた学校だからか駅からバスで40分以上かかったし、20分以上停車することも無かったから遊べる場所を併設したと考えれば良いのか?
にしては金かけてるなぁと思うが。
とりあえず案内された座席に座る。
時間になるまで待機してくださいと言われ、俺はこれなら本でも持ってくるんだったなぁと思うが、少し仮眠を取ることにしたのだった。
だいたい40分くらい眠ったのだろうか、人の気配が増えてきたのを感じて起きると議事堂に20人くらい制服を着た男女が座っていた。
俺は一番後ろの席に座っていたが、髪を染めてるのかってくらいカラフルだな。
黒髪や茶髪も多いが、緑髪や金髪、赤髪に紫とずいぶんとカラフルだし、高校生デビューにしては派手すぎねぇかなと思った。
すると、定刻になりましたので入学式を始めさせてもらいますとアナウンスが鳴り響いた。
壇上には5人の人? いや、人以外も混じってるんだが……。
『えー、皆さん初めまして、本校の学園長をしている大黒天と言います。皆さんも薄々感づいていると思いますが、ここは普通の学校ではありません。日本の裏側で生活する者達に社会に出るまでの3年間の安全を保障する施設でもあります。今年は妖怪、神、天使、悪魔、種族は人間でも裏稼業の者を集めました』
『まさしく日本の裏側の者達です。この学園はそんな裏側の者達の交流及び裏側の人達への雇用を生み出すために作られた学園になります。そんな皆さんを教える教師の方々を紹介しましょう』
待て待て、え? 裏側? 学園長日本の裏側って言ったよな。
有楽川って絶対に裏側から来てるだろ。
もっと名前捻れや。
というより神に妖怪に天使や悪魔!
絶対にやばいやつじゃん。いや壇上に居る先生も滅茶苦茶ヤバそうなのが居るけど……。
突っ込みが追いつかねぇ。
『〈ぷふふ、いきなりの事で混乱してるかもしれないけど、ここでは本当の姿をさらけ出しても大丈夫。僕はフューチャー先生……どう見てもドラ◯もんって突っ込みは無しね〉』
どう見てもド◯えもんじゃねぇか!
赤くして部分的に違うだけのパチえもんだよ凄い。
『〈未来から来たわけじゃないよ。天才が僕を作ったんだけど、天才君次は錬金術で完璧なオナホドール作るって言って失踪しちゃって途方に暮れていたところを拾われたのさ! 家庭科なんかを担当するからよろしくね〉』
声もめっちゃドラえ◯んじゃねぇか……清々しいくらいのパチえもんだな。
というか製作者もぶっ飛んでるじゃねぇか!
『はい、皆さんパチえもん先生の容姿が気になってしまうでしょうが静粛に……静かにしないと先生の筋肉でプチっとしちゃうぞ』
明らかにここに居てはいけないクリーチャーが出てきたぞ。
バイオ◯ザードの第三形態の敵みたいなんだけど……それでいて喋ってることも物騒。
というか他の先生からもパチえもんって呼ばれてるのかよ!
『はい、よくできました。できてなかったら永遠の眠りをプレゼントしていたぞお前ら』
めっちゃ怖いこと言うじゃんこの先生。
『先生の名前はぅ゙ぅ゙日村ぅ゙ぅ゙亮吾だ』
なんか呻いているけど大丈夫か?
本当にこの人が教師で。
『まぁなんだ。3年間か1年間かそれとも数時間か分からないがよろしくな』
数時間ってなんだよ。
数時間で死ぬのか俺は!
『では私から、普通ですみませんね。土御門と言います』
その名前を出すと一部の生徒から悲鳴が上がる。
悲鳴要素あったか?
『ああ、お察しの様に私陰陽師を家業としているので妖怪の皆さん、おいたが過ぎたらメですよ』
妖怪の生徒にとって人外モンスターの日村先生よりも土御門先生の方が怖い存在らしい。
(喋るのが億劫だから念話で失礼する。超能力者の足利だ。よろしく頼む)
全員ゲテモノじゃねぇか!
教師の色が濃すぎるわ!
『えー、この場には居ない養護教諭のパナケイア先生は日本食のドカ食いで気絶しているのでこの場にいません』
大丈夫かよその養護教諭……。
保険の先生なら体調管理くらい自分でしろよ……。
『えー、いきなり印象の強い先生が多かったと思いますが皆さん仲良くやっていきましょう。では本校のルールについて土御門先生お願いします』
『はい、えー、本校の生徒は皆特殊な種族や家業の人々ばっかりなので基本外部とは遮断されたこの校舎内で生活をしてもらいます。ただ議事堂に来るまでに映画館がこの上の階にあったりするように生徒の不便が無い娯楽や設備がこの学園の中に取り揃えられています』
『本校では金銭のやり取りは問題になるのでお金の代わりとなるポイントとそれを扱う専用のスマホを支給します。電子決済ってやつですね』
なんかその設定どこかの実力主義の学園モノの小説で読んだことがあるぞ。
『えー、誠に残念ながら本当は某実力主義の学園みたいにクラス対抗で色々争ってもらう形にしたかったのですが、入学してくれたのが22名しか今年は集まらなかったので1クラスになります』
言っちゃったよ。
実力主義の学園モノ言っちゃったよ!
『なのでポイントは生徒個人の成績で反映されます。内容は後ほど表を配るのでそれで確認してください』
『ただ外部と完全に遮断というわけでは無く、部活動などで大会として外部に行く時は普通に出場して構いません。大会結果によっては皆さんの将来も左右されると思いますので頑張りましょう』
簡単な入学式が終わり、一同は教室に移動するのであった。