1 異世界のマリエール
マリエ―ルは黒死病に罹患したが異世界のマリエ―ルに助けられアイテムボックスも得た。
1 異世界のマリエール
8歳のマリエールは何時ものように下人の娘と話し込みに戻った。下人の娘といっても貧民の娘を下人が買い取ったのだ。30代半ばの下人には普通には結婚相手はいない。貧民の娘を買い取り妻にするしかない。マリエールからみると同じ年頃に見えるがもっと年長なのかも知れない。何時も下人と来て一緒に出来る仕事なら一緒にするが、無理な時はマリエールと話す。何時ものことなので誰も咎めない。マリエールは夕食後熱を出した。
医師の診断だとコレラつまり黒死病らしい。感染力は弱く単発性のものなので世話するものを限定すれば自宅での治療可能と言われたが翌日には意識がなかった。
何日経ったのだろう。マリエールは意識が戻った。知らない白い空間だった。一人の少女が立っている。マリエールより年嵩だがそれが年を重ねたマリエールだと判る。10代半ばだろうか。
「私は異世界のマリエール、違う世界のマリエールが危機の時それを助け能力を与え天寿を全うするか不老不死を選べば私は不老不死から開放される。取り敢えず病気を治しアイテムボックスを与えよう。」
白い空間が消える。再び目を開けるとマリエールの私室だった。パジャマだったので着替えようと起き上がった。直ぐメート゚が気付き騒ぎになった。
しばらく経って平穏が訪れた。しかしマリエールの心は平穏ではなかった。これまで見聞きしたことの意味合いを見いだし、異世界のマリエールの意識が有った。世界は矛盾に満ちている。
マリエールは全ての側近を集め今後の方針を説明した。
「私のアイテムボックスには共有部分があり、食料品を無尽蔵に引き出すことができます。貧民、教会、医療施設に配ることがあなた方の重要な役割です。」
と言ってアイテムボックスを開けだした。主に護衛騎士達に役割を振った。一人の護衛騎士が、
「ちょっと待ってください。私はそのような仕事は出来ません。下人にでもさせてください。」
マリエール隣の文官に割り振っ゙た。
「他に仕事に不満のある方は見えませんか。」
不満を言った護衛騎士は翌日反逆罪で処刑され家は取り潰された。
8歳の少女は独裁者になった。しかし彼女の態度が豹変するのは支援に反対された時だけ起こるものでそれ以外は聡明で美少女で穏やかな仕え安い主人だ。
伯爵令嬢の不思議な噂は王都に広がった。そんなマリエールに興味を持ったのは、10 歳の王子だった。その場には彼と同年配の少女がいる。
「きみの妹さんは凄い能力者のようだね。我々に協力して貰えば計画が捗るのではないかな。」
マリエールの姉は懐疑的だった。マリエールの関心事は貧困者の支援である。王子のように国の発展を願っている判ではない。
「誘うのは構わないですがあの子が王子の思う様な子とは思えないのですが。」
とにかく、マリエールに声を掛けることになった。姉はマリエールに、
「今度の土曜日の午後王子様があなたことを勉強会に呼びたいそうなんだけど都合どう。」
土日は彼女に都合はない筈だ。
「別にないけど私なにするの。」
「王子の勉強会はどうやって人々を幸せにすることだからあなたの考えと一緒になる部分が多い筈だと考えて見えるの。聞いて貰ったり質問に応えて貰ったりかしら。」
マリエ―ルは了承した。
マリエ―ルは王子の勉強会に誘われる。