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「二人で話したいこともあるだろうから、私は一度席をはずよ。ルイス、お前にも話があるから私と一緒きてくれるかい?」
リュカが言った。
「・・・はい」
ルイスはようやく動き出した。
リュカとルイスは執務室へ向かい、お互い座るもしばらく沈黙を保っていた。
「・・・気づいたと思うけどお前のことを助けてくれた女の子はアンリだよ」
リュカが切り出した。
「・・・」
「私がアンリを助けた時にはすでにイヤリングも身に着けていなかったし、髪も目の色も変わっていたから、今まで気づかなかった。あと、アンリが幼児連続誘拐事件にかかわっていたことは、機密事項となったため、お前にも話していなかった。しかし、もう後戻りはできない。お前は勘違いをしていたのだろうが、エミリ嬢を選んだ。エミリ嬢と結婚するのは決定事項だ。そして、おまえがアンリに助けられたこと、アンリが落としたイヤリングを持っていることは、アンリにもエミリ嬢にも絶対に言うな。死んでも言うな。隠し通して墓場まで持っていけ。」
「・・・」
「ルイス」
「・・・あの時アンリにイヤリングを見られていたらこんなことにはならなかったな。・・・父上、大丈夫です。絶対に誰にも言いません。ばれるようなことはしません」
「あぁ必ずだ」
ルイスは一礼して執務室を後にした。




