1/38
プロローグ
夫が亡くなった。
20年目の結婚記念日だった。
息子に爵位を譲り、これからは夫婦2人でゆっくりすごそうと話していた矢先に病が見つかった。
余命宣告をうけた。
体調が悪いのに、心配する私を逆に労ってくれ、結婚記念日まで頑張ってくれた。
夫とは政略結婚だったが、私を妻として尊重し、大切にしてくれた。
息子は公爵として、娘は王太子妃として、国のため、領民のために、立派に努めている。
夫は私の初恋だった。
子どもの頃からずっとお慕いしていた。
夫は、前の奥さまを亡くされたあと再婚を拒んでいたが、私が無理矢理おさまったのだ。
夫との結婚は絶対にあり得ないものだった。
夫と結婚できる可能性が出てきたとき、奇跡がおきたと思った。この奇跡を絶対に逃がさまいと自分から動いた。父を、夫を説得した。
王命であり、国の安寧のために、夫は私を娶ってくれた。
本当に嬉しかった。幸せだった。
天国で奥さまと会えただろうか。
私は無理矢理妻になった女だ。自分の愛を押し付け、それでも夫は私を20年間大切にしてくれた、愛おしいお方。
もう私から解放してあげないといけない。
嫉妬なんてしてはいけない。
奥さまにお返ししなければならない。
本来は結婚できる相手でなかったのだ。
旦那様とお呼びしてはいけなかった相手だったのだ。
お義父様と呼ぶはずだったのだから。




