プロローグ
初投稿となります!
色々お見苦しい点もあるかもですが
とりあえず完結まで持っていくことを目標に頑張りたいと思います!
よろしくおねがいします!
夏の夜、雨や風が木々を鳴らす。
お気に入りの黄色い傘が役割を果たさず、身につけた雨がっぱから水滴が滴り落ちる。
俺はここに何をしにきたのだろうか…。
ぁあ、そうだった。俺は夜遅くまで帰ってこない叔父を探しにきたのだった。
強風で呼吸ができない。
さしていた傘を前方に向け、強風をどうにか防ぐが
傘の骨組みが悲鳴を上げ、今にも折れるのではないかと思わせる。
耳には、突風が作る空気の渦の音、激しく揺れる木々が擦れる音、傘に雨が当たる炸裂音だけが永遠に聞こえ続ける。
サーッと細かな雨が崩れたアスファルトに当たる音が途切れることなく聞こえる。
境内中央にそびえ立つ大木は、昼間の鮮やかな緑を失い、黒く塗りつぶされている。
恐る恐る、大木へ近づいていく。
大木が作り出す影に包まれるほどの距離まで近づくと
大木の前に佇む人影に気づく。
闇夜に目を凝らしてみると、大柄な男の後ろ姿であることがわかった。
暗闇に目が慣れてくると、男の容姿、服装がわかってきた。
白衣に紫色の袴。そして、袴には白い紋様が刻まれている。
そして、白髪交じりの短髪。
暗闇の中、突然声を掛けられたのにも関わらず、
こちらを振り向こうとする仕草さえ感じられなかった。
不思議に思い、更に近づく。
男の背中には見慣れないものが突き出ていた。
「ひっ」
思わず、小さな悲鳴を上げる。
突き出していた正体、それは、真っ赤な血に染まった刀の刀身だった。
ぽたっ、ぽたっ、と鮮血の雫が滴り落ち、夥しい量の血液が水溜まりを作っている。
刀身が引き抜かれると同時に男の体が崩れ落ち、地面に転がる。
そして、刀の持ち主の姿が辛うじて確認できた。
10代くらいの少女だった。
返り血に濡れ、怪しく濡れた深紅の着物。
腰まで伸びた黒髪が雨に濡れ、黒い輝きを放っている。
前髪は顔を覆い隠すほど伸びていて、その隙間から辛うじて見える瞳が
宝石のルビーの様に冷たく、昏く、じっとこちらを見ていた。