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第拾漆話 「変わりゆくモノ」
「じゃあな」
「ああ、またな」
外に出て行く四人の友達を見送りながら、俺はため息を吐いた。なぜなら――、
「散らかしすぎたなぁ」
夜中まで騒ぎまくっていたせいで、部屋中がカップラーメンやお菓子のゴミで埋まっている。まるで、ゴミ屋敷だ。
俺はカップラーメンのゴミを両手で持つと、キッチンに向かった。そして、余ったつゆを排水溝に捨て、使用済みの箸に手を伸ばす。
――箸以外に洗い物はないので、その点は良かったと言えるだろう。
そんなことを思いながら、俺はスポンジを手に取り、
「――え?」
左手で持っていた箸が突如、魚に変わった。何を言っているかわからないと思うが、本当なのだ。本当に今、箸が魚に――、
「あ、れ?」
見当たらない。魚が、見当たらないのだ。――多分、俺が驚いて魚から手を離した隙に、どこかに行ってしまったのだろう。
――その後、部屋中を探し回っても結局、何も見つかりはしなかった。ただ、これだけは言える。
決して、見間違えではないと。