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第拾参話 「イキドマリ」
「あいつの婆ちゃん家って、どこだっけな……」
しばらく遊んでいなかったので、完全に場所を忘れてしまった。せめて、電話が繋がればいいが――、
「くそっ。あいつら……先に、ゲームしてやがるな」
もう五時前だ。ヤバい、早く行かないと。その思いに駆られ、オレは焦りながらも、道を思い出そうとするが……わからない。
ここは、もう当てずっぽうで行くしかないな。きっと、そのうち当たるだろう。そう思い、
「――はぇ? なんだよ、これ……」
曲がり角を曲がった先に、不自然な真っ黒い壁があった。――おかしい。こんなに特徴的な壁があったら、きっと記憶に残っているはずだ。それなのに……いや、それより、早くあいつの婆ちゃん家に行かないと。
そう気持ちを切り替え、オレは黒い壁に背を向けて歩き出した。すると、後ろから視線を感じ――、振り返った先に広がっていた光景はまさしく『異様』だった。なぜなら、
「――――」
黒い壁の中央にある大きな黄色い瞳が、オレを射抜いていたのだから。