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急に求婚なんて困ります⑥

白蓮の『骨を愛でる』という恐怖発言の後、春はやっとご飯を食べる事が出来た。


最初は妖界だから目玉の料理とか、なんちゃモンスターの脳みそとかそんなとんでもない料理が出てくるのかもしれないと恐れていたが出てきたのは日本の料亭のような和食料理が出てきて春は目が飛び出しそうになった。


「春は炊き込みご飯が好きだろう?秋明、これは?」

「こちらが栗の炊き込みご飯、そしてこちらがゆばの入ったお味噌汁でして……こちらがかぼちゃの天麩羅…」


____普通だ。普通の食べ物だ。食材も、『栗の味がするのですが、実は××モンスターでして』とかそんな感じはない



「春、気に入らないか?」

「いえ!いただきます……」


春は失礼な考えを捨てて箸を持った。


「春、明日も和食がいいか?それとも洋食?中華もある。食べたい料理を秋明か凛……または白家の者達に言えば良い」

「和食縛りでもなかったのですね」


素晴らしい環境だと春は思ったが、このままここにのめり込んでしまったら帰れなくなりそうで怖くなった。



「ん、美味しい…」

「そうか」


白蓮は嬉しそうに春を見つめていた。


「見つめられると食べづらいのですが…白蓮さんは…」


白蓮の前に置いてある料理を見ると何も箸を付けていなかった。


「今日は少し食欲がないのだ」

「……もしかして、私をここに連れて来たからですか?」

「違う」

「ですが沢山の妖力使われて…」


春はあの時の事を思い出した。


_____そうだ、確かに私をここに連れて来た時、白蓮さんは疲れていてフラフラだった、それなのに無理に白蓮さんを起こして私は……


「白蓮さん」

「違う」

「まだ何も言ってませんよ」


白蓮はゆっくりと頬杖をついて春を見つめた。

ふわりと銀色の髪が顔に掛かり、白蓮は耳に掛ける。



「白蓮さん」

「なんだ」

「私は疲れている時はすぐに寝て休むお方が好きです」

「そうか」


白蓮は頬杖をついたまま動かない。


「……白蓮さん、寝て欲しいです」

「…寝たら?」

「え?寝たら?」


白蓮は黄色の目を細め席を立ち、席に座っている春の横に片膝をついた。


「明日は春と寝ていいのか?」

「ダメです」


即答する春を見て、白蓮も寝ないと即答した。


「もうちょっと難易度低めのものにしてください」

「結婚しよう」

「難易度高いです、それ。あと上がってるんですが」

「接吻」

「ダメです」

「逢い引き」

「私達付き合ってませんよ…?」



どれも難易度が高過ぎて春ができるようなものは一つもなかった。


「春が寝るまで私は寝ない」

「食べ終わったら、凛ちゃんとお風呂に入るつもりなのですが」

「一緒に入ろう」

「…ふざけないでください」


手を握ろうとしてくる白蓮を春はやんわり退け、立ち上がった。


「ごちそうさまでした、とても美味しかったです」

「春、一緒に入ろう」


立ち上がった春を後ろから包み込んで真剣な顔で白蓮が言う。


「……白蓮さん」

「なんだ」

「今寝ないと、もう白蓮さんと口聞きません」

「…」


その瞬間、白蓮の目からポロポロ涙が溢れ出した。


「えぇ!?あぁ!白蓮さん!?」

「春に口聞いてもらえないなら…私は、私は生きる意味が無い」

「あ、え、あのぅ…ですので、寝ていただければ」

「春が居ないと寝られない」

「嘘はいけません」


「……あの、春様。白蓮様が寝られないのは本当の話です」

「え?」


春が秋明を見れば、秋明は説明し始めた。


「白蓮様は春様と別れて200年間不眠症に悩まされてきました。1日5分寝られれば長い方です。もちろん短い睡眠時間は白蓮様のお身体を…」

「秋明、もういい」


次元が違い過ぎて春にはついていけなかった。1日5分なんて、もう過労死で死んでもおかしくない気がした。



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