【漫才】異世界転生
ボケ・男
ツッコミ・女
二人「どうもこんにちは!」
ボケ「みなさん、世の中には色々なビックチャンスというものがありますよね?」
ツッコミ「例えば?」
ボケ「例えばですよ、宝くじに当たる、とか、思いがけないイイ所に就職が決まるとか」
ツッコミ「なるほどなるほど、確かに人生が変わるかもしれない大きな出来事ですよね」
ボケ「キレイなお姉さんが僕の目の前でハンカチを落とす」
ツッコミ「ずいぶんベタな展開ですよ」
ボケ「お嬢さん、ハンカチ落としましたよ、なんて言って声をかける、みたいな」
ツッコミ「ドラマでも見ない展開ですね」
ボケ「僕が横断歩道を渡ろうとしたら、急に見たこともないような高級外車に轢かれそうになる。」
ツッコミ「おっとあぶない高級住宅街付近は要注意」
ボケ「そしたら「大丈夫でしたか? お怪我がありませんか?」なんて言って、年頃の社長令嬢なんかが降りてきたりする」
ツッコミ「歳の頃は22、3、大学卒業したくらいの、髪が長くてヒラヒラの服着たね」
ボケ「そして、それがきっかけで交際が始まるみたいな」
ツッコミ「大概の場合、それは男女逆やけどね」
ボケ「通りを歩いていたら、女の子が絡まれてる」
ツッコミ「これまたベタな展開。ニ回目ですよ」
ボケ「それを僕が颯爽と助けるわけですよ。すると、その女の子が実はアイドルだったりして、僕のこと好きになっちゃうとかね」
ツッコミ「まず助けられるかどうかのハードルがバチ高いけどね」
ボケ「まあ、巷には色々ビックチャンスが溢れていると思うんですけど」
ツッコミ「今言ったのは巷で見かけないやつばかりだったけどね」
ボケ「僕、実は最近世の中にあるビッグチャンスの中で注目しているものがあるんですよ」
ツッコミ「声潜めなくていいよ。聞きにくいから」
ボケ「異世界転生?」
ツッコミ「ボリューム戻せよ」
ボケ「異世界転生ってもう引き返せなくなった残念な状態の人生をリセットして、別の世界に生まれ変わり、最高の形で新たに始められるわけじゃないですか?」
ツッコミ「現状を残念って告白していますけど大丈夫ですか?」
ボケ「人間関係のしがらみもなく」
ツッコミ「誕生日すら一人で過ごすボッチ何だから関係ないんじゃ?」
ボケ「美男美女に囲まれる中世ファンタジー的な世界に生まれ変わりチヤホヤされる!」
ツッコミ「緊張して溶け込めないタイプじゃない?」
ボケ「強敵を指先一つで倒すような世界最強でかつ最高のアイテムが簡単に作れて、王様や貴族に必要とされて、エロい感じ美女や清楚な感じの美少女に追いかけまわされる!」
ツッコミ「ちょっと小声で言った方がいいですよ、恥ずかしいから」
ツッコミ「それもこれも転生する時にもらうチートスキルや特殊なユニークスキル、初期からガチ盛りボーナスポイントマシマシのステータスや転生時の基本特典アイテムボックスや生まれる時から出会うことを約束された最強のマスコット的なパートナー付きの転生のおかげ!」
ツッコミ「専門用語が多すぎて一般人は完全に置いてけぼり」
ボケ「異世界転生はとにかくもうとんでもないビックチャンスなんですよ! だからね、もし異世界転生することになった時に、僕失敗したくないわけですよ」
ツッコミ「失敗?」
ボケ「転生する時にね、女神さまにこんなスキルをくださいってお願いするパターンかもしれない」
ツッコミ「お願いするパターン?」
ボケ「うまく自分の希望がうまく伝えられないと困るじゃないですか? なんで練習しておきたいなと」
ツッコミ「なんで、私が付き合わなきゃならんの?」
ボケ「女神役っていうと他に思いつかなくて……」
ツッコミ「気に入った、今すぐやろう! ……あなたをこれから異世界に転生させます」
ボケ「うわ、マジか!? 本当に異世界に転生できるんですか?」
ツッコミ「あなたが慣れない異世界でしっかりと生きていけるように特別な能力やスキルを授けましょう。どんなものがほしいですか?」
ボケ「あ、っと、えっと、落ち着け、落ち着け俺……今の俺にないもの、生きていく上で大事なものってなんだ? まず金か! 金だな! まずは大金を得るための力がいる!」
ツッコミ「生まれ変わる前のあなたがすでに持っている力だが、あなたは使わなかった。それでもその力がほしいのですか?」
ボケ「ま、マジで!? 俺持っていたの!? じゃあ、美女に囲まれてモテモテになる力とか!」
ツッコミ「あなたは容姿等に関係なく数多の女性と関係を持つことができる力をすでに持っていたが、使わなかった。それでもその力がほしいのですか?」
ボケ「ええっ!? 彼女いない歴=年齢のこの俺が!? じゃあ、みんなを喜ばせたりするような最高のアイテムを作る力は!?」
ツッコミ「すでに保有しています。使っていないだけなのです」
ボケ「ええっ!? もしかして俺、すでに転生済み? あの、転生取りやめてもらっていいですか?」
ツッコミ「もういいよ」