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第七話

 リリアのがっかりした様子を確認した公爵はライオネルとエドモンド・ウィアーに視線を移し、二人に話を始める。


「我が国は家の跡継ぎとその配偶者や婚約者以外の者の恋愛には性別関係なくおおらかな国だ。しかし、公爵家の者として醜聞を耳に入れないですむように頼む」


 公爵の話からエドモンドとの関係を示唆されたと思ったライオネルは、父親にエドモンドとの付き合いをまだ告白していないため、何処から二人の関係がわかったのか焦るのだった。


「父上! それはどういう意味でしょうか」

「お前、ウィアー君とは恋人同士だろう」

「父上……」


 父親の公爵に直接的な表現で尋ねられたライオネルは返す言葉に困るのだった。言葉に詰まるライオネルを気にせず、公爵は話を続けるのだった。


「跡継ぎの時であれば醜聞につながるから全力で阻止したが、今はそうではない。人としてウィアー君は良いと思う」

「閣下……」


 公爵の二人の関係を認める発言にエドモンドは驚きを隠せない。


「ライオネルにしてはよくやったと思う。領地でお前を支えてくれるものが必要だ。ウィアー君なら確かだろう。」

「父上、エドモンドとの付き合いを許していただけるのですか?」


 ライオネルの言いように公爵はニャッと笑いを浮かべる。


「許すも何もウィアー君がうちに来てくれることほど心強いものはない」


 エドモンドは目を潤ませている。


「閣下、もったいないお言葉……」


 公爵は嬉しそうに話を続けるのだった。


「正直、うちの領地は我が国に侵入しようと隙を伺うベルンハルト国と国境を接しているから、君のような実力のある者は大歓迎だ」

「ありがとうございます」


 エドモンドは公爵に頭を下げる。


 先ほどキースに注意されたからか話が終わったみたいなので、リリアが怒りながら話し出す。


「リリアがいるのにライオネル様に恋人っておかしくないですか?」


 キースがリリアを睨みながら言い放つ。


「レオは跡継ぎではなくなったからおかしくはないな。うちの国ではよくあることだ。貴女は今も自分をレオの特別な存在だと思っているかもしれないが、レオは陛下から承認された結婚を止めることが出来なかっただけじゃあないか。偉そうに言うな!!」


 エドモンドもその迫力ある顔でリリアを(にら)む。


「私は愛しいレオのためになら、何でも出来る。大げさだと思われるかもしれないが、自分の命もレオのためになら投げ出せる。貴女はレオのために何かしたのか?何が出来るのだ?」

「……」


 答えられないリリアを見たキースが冷ややかな目で言い放つ。


「君はウィアー君と違って、レオを支えるどころか公爵家の者としての義務から逃げまくってたな」

「逃げてません!! 出来ないから出来ないって言っただけです~」


 必死に弁解するリリアにキースが聞いた側から返す。


「レオの事を思うなら、出来ないなりにやろうと努力してもよかったんじゃあないか?」

「しました~でも、出来なかったんです~」


 公爵が思わず口を挟む。


「努力したと言う割に諦めが早かった気がするのだが」

「リリア、かなり頑張りましたよ~」


 へこたれずに言葉を返すリリアにエドモンドは冷たく言い放つ。


「自分で頑張ったと言う者に限って、大したことはしていないものだ」

「リリア、ホントに頑張ったんですもの~」


 キースがリリアを攻めるように話す。


「頑張ったなんて、どうとでも言える。なんの努力もしないで人の気持ちをつなぎ留めれると思っているような人間、本来ならレオには相応しくない。身の程わきまえろ!!」

「……」


 キースに言葉を返せないリリアにライオネルが謝るのだった。


「リリア、ゴメン。結婚することになっているのに、君を見ていると、正直言って好きだと言う気持ちは減ってしまっているんだ。勝手なこと言って申し訳ないけれど、僕が今一緒にいたいと思うのはエドモンドなんだ。彼はいつも僕の為を考えて行動してくれてる。僕も彼に気持ちを返したいんだ。」


 公爵が場を閉めようとする。


「リリア嬢、申し訳ないが、我が家としては貴女よりエドモンド君を取りたいんだ。しかし、卒業パーティーの事件のせいで、結婚しないと言う選択もできなくなってしまっている。結婚式後は生活には不自由させないので、ライオネルの恋人の件は目を(つぶ)ってもらおう」


 公爵の言葉に呆然とするリリア。

 養子に入った男爵家や学園でちやほやされ慣れていたリリアにとって、自分より他の人間が選ばれると言う事に気持ちがついていかなかった。

 が、取り合えず、今後の生活を考えて、今の状況の中で少しでも有利にしたいと顔を青くしながら、公爵に一言言うのだった。


「……わ、わかりました~。その代わり、リリアに不自由をさせないでくださいね~」



※リリア、フルボッコ(死語?)過ぎて、気の毒になってきました。

でも、男爵家の養子になる前は平民だったからか、生まれ持ったものか、リリアはいろいろあったのにへこたれて無いので、鋼のメンタルの持ち主な気がします。

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