第八話 考えろ
わぁ!八話!八話だよ!八話なんだよ!わぁ!
前回のあらすじ
織宮「コラ!勝手に行かないの!」
剣人「これあげるから許してちょ」
織宮「また連絡するわ」
クソ松「籠るぞ!」
剣人「嫌だ!」
こうちゃん「八重島の言う通りだ!」
クソ松「ならお前は教師ちゃう!⸜( ‵_′ )⸝」
こうちゃん「別にええわ!⸜( ‵_′ )⸝」
翔「剣人!準備できた!」
剣人「んじゃ*-ω-)ノ"ばいちゃ」
では、本文をどうぞ
保健室に着いた俺達は、早速魔法の発動の準備を始めていた。
「うし…これでいいな!」
我ながら完璧だ。翔に言われた通りの配置におけている。
「あぁ、完璧だ。さすが剣人だよ。じゃあ、始めよう」
緊張した面持ちで翔が言う。
「オリジナル魔法【浄化の光】!!」
翔の手のひらから、膨大な魔力とそれに伴って眩い光が発せられる。俺は思わず目を瞑った。
そして、それは突然起こった。
「が、あ゛…っ!」
頭が痛い。割れそうなほど痛い。そして、感情が溢れ出てくる。
これは感情だ。今まで溜め込んできた、約12年分ぐらいの。
その中でも、特に大きかったのが罪悪感だ。
俺はクラスメイトである西塔を斬った。まだ助けられる···そうグレイアは言っていた。
そう、まだ助かったんだ。
俺は、まだ助けられたクラスメイトのことをただ無関心に、無情に、無感情に斬り裂いた。
何も感じなかった。
感じることは無かった。
たとえ、魔法に侵されていたとしても、それは言い訳だ。
俺がやったことには変わりがない。
辛い、苦しい、楽になりたい。
こんなことになるなら、感情なんていらなかった。
…いや、そんなことを言うのはダメだな。俺はこの感情を抱え、苦しんで苦しんで苦しみ抜いて、後悔して後悔して後悔して生きていかなきゃダメだ。ダメなんだけど…
俺に…出来るのか?感情が封印されているだけで、封印されていただけでクラスメイトを無感情に殺す俺に、そんなことが出来るのか?
そんな、自責の念が頭の中をぐちゃぐちゃにして行く。
死んだら楽になるのか?あぁ、もう何も考えたくない。
俺はまた考えることを放棄してしまった·····
★木野宮小晴
私は、何をやっているのだろう。
あの日、クラスメイトの西塔君が部屋にやってきた。私は特に警戒するのでもなく、彼に背を向けた。
そしたら急に目の前が暗くなり、自分の声が聞こえてくる。
『あなたは剣人を助けているつもりでしょうけど、彼は助かってない。彼を助けることはあなたには不可能なことなの。だから、忘れましょう?』
そんな声が聞こえてくる。私は何も言えなかった。たしかに私は昔の剣人を救った。でも、救いきれてはいない。
彼の全てを助けることを考えるなんて、傲慢なのかもしれない。私は彼にはなれないし、なるつもりもないから。
でも当時の私はそんなことは考えなくて、自分なら彼···いや、会った時は"この子"って思ってたっけ。とにかく、私ならこの子を救うことが出来ると本気で思っていた。
この気持ちは今でも変わらない。変わっていないはずだ。でも、今になると本当にそれが···剣人を救うこと、救ったことが本当に正解なのかをばかり考えてしまう。
そんな時彼は言ってくれた。異世界と繋がった日の夜だ。
「俺が今こうして楽しいだとか、悔しいだとか、苦しいだとか、色々考えることが出来ているのは小晴のおかげだ。」
と翔と話しているのを聞いてしまった。
剣人は、面と向かって私にそんなことを言ってはくれない。だから、この時は本当に嬉しかったし、ちょっぴり本人に言ってくれればいいのにとも思った。
だから、私はもう逃げない。
私は、正しいと信じるもののために、正しいと信じたいもののために戦うと心に決めたのだから。
★八重島剣人
···どれくらいの時間がたっただろうか。10分かもしれないし、1分かもしれない。もしかしたら1時間かもしれない。
動けない。動きたくない。もう、何も考えたくない。俺はこの感情を乗り越えることが出来ない。
『また繰り返すのか?』
そんな声が聞こえる気がした。
なんでそんなことを言うんだ。またってなんだよ。
もう俺は楽になりたいんだ。
『思い出せ、失っていた記憶を。思い出せ、あの地獄のような日々を』
思い出す?なんだよ、それ。思い出して何になるんだよ。もう、疲れたんだよ。
『お前は、また諦めるのか?せっかく小晴に貰ったこの感情も、翔が教えてくれた、解放してくれたこの感情を。』
うるさい…もう黙ってくれ。頼むから、もう俺を…苦しめないでくれ。
『思い出す気がないなら、しょうがない。否が応でも思い出させてやろう』
そんな言葉を皮切りに、頭の中に映像が流れこんでくる。
「剣人」
「なぁに?おとーさん!」
まだ幼く、親父のことを慕っていた俺だ。
「今から、私達の、いや、剣人に必要なことをする。私の事はどれだけ恨んでくれても構わない。だが、これだけは覚えておいてくれ」
「おとーさん?なんか怖いよ…」
…だんだん思い出してきた。そうだ、親父はこんなことを言っていた。でも今の今まで忘れていた…どうしてだ?
「いいから聞くんだ。恐らく、今この時の記憶は失われてしまうだろう。【感情操作】の影響で。だがいつの日か繋がる日が来れば解く方法が見つかり、感情を取り戻すはずだ。
私にはこの方法しかないんだ、許してくれ。いつの日か剣人に幸福が訪れることを祈っている」
親父は、繋がることを知っていた…?思考が追いつかない。
まてまてまて、親父が魔法を使えることはさっき知った。でも、何故あっちの世界の事まで知っている?
魔法を使えるのは単なる例外だと思っていたが、あっちの世界を知っているとなると話が違う。なんなんだ?親父は。いや、八重島が何かの秘密を持っているのか?意味がわからない。
そこで、場面は切り替わる。
「剣人よ。すまんかったの。止められなかった」
金髪の老人が俺に語りかける。
あぁ、思い出した。じいちゃんだ。そうだ、じいちゃんだよ。なんで俺は今までじいちゃんの顔を忘れていたんだろう。
「これから辛い、苦しい日々を過ごすことになるであろうが、このことだけは忘れてはならぬぞ。」
じいちゃんは俺に優しく、諭すように話してくる。その姿には、どこか罪悪感を誤魔化しているような姿を感じた。
「お主の父親は、決してお主のことを大切に思って無いなどということは無い。恐らく、都合の悪い記憶は消されてしまうかもしれぬ。じゃがそれでも忘れてはならぬ。何がなんでも思い出すのじゃ」
あぁ、あぁ、思い出したよ。全部、悲しかったことも、苦しかったことも、楽しかったことも、嬉しかったことも、全部全部思い出したよ。
そうだ、俺は別に親父のことを憎んでなんかいなかった。むしろ尊敬していたし、大好きだった。
親父は優しく、厳しく俺に剣術を教えてくれた。
悪くなんて、なかった。
そこでまた、場面は切り替わる。
「剣人、強くありなさい」
凛として、でも優しい声音で喋りかけてくる。
母さんだ。俺は、母さんのことも忘れていた。恐らく、【感情操作】によって都合の悪い記憶として処理されていたんだ。
今まで母さんのことを思い出すことも、違和感を感じることもなかったのは、きっかけまでも起こらないよう細工されていたんだろう。俺が、母さんのことを思い出さないように。
「決して、諦めてはダメよ。諦めたらそこで負けてしまう。負けるなとは言わないけれど、せめて最後まで戦い抜く姿勢を見せてみなさいな。」
これは多分、5歳の時に言われた言葉だ。【感情操作】をかけられる前に、言われた言葉。
当時の俺はよく分かっていなかった。まぁ5歳のガキがこれを理解するって方がおかしいわな。
こんな場面を見せられた後、さっきとは違う声がした。
『思い出したか?あの日々を。封じられた記憶を』
「あぁ、お蔭さまでな。俺は強く生きる。もう、何にも負けない。負けたくない」
『ほう…面白い。今まで見てきた中で1番面白い結論を出す。やはり、龍閃が認めただけはある』
龍閃?誰のことだ…?
『これからも、せいぜい面白い人生を歩むことだな。一応、名乗っておこう。我が名は黒龍 カリドラ。全ての竜種を統べるもの。』
その言葉を最後に、俺は思考の渦から脱したーーー
目が覚めるとそこは、保健室のベットの上だった。
周りには心配して見に来たのかクラスメイトや担任の上村先生などが集まっている。そこには、小晴の姿もあった。
「良かった、剣人。目が覚めたのね…」
どこか疲れた様子で、ホッとしたように小晴が言ってくる。
「良かった、そっちも、上手くいったみたいだな。」
心の底からの本心だった。本当に、ホッとした。
体がだるい。だけど、副作用みたいなものと思えばやすいな。
「サンキューな、翔も。おかげで色んなことが分かった。それもおいおい話すから、とりあえず寝かせてくれ。体がすごくダルい」
「すまんが、それは出来ない。」
上村先生、もといこうちゃんがそう言ってくる。
「なんで?こうちゃん」
「だからこうちゃんと呼ぶなと…まぁいい。今はそれどころではないからな。端的に言う、魔物が学校を囲んでいる。恐らくこの部屋に来るのも時間の問題だ。」
おっと、少々まずい状態みたいだ。こうちゃんは冗談は言わないし、過小評価もしない。常に最悪を想定している生き方をしている。息苦しい気もするけど、頼りがいがある大人だ。
「マジか、他のクラスの連中は?」
「今のところ被害はないが、時間の問題だな。白松がここまでは来ないとタカをくくってステータスプレートをみんなに渡さない。自分はステータスを取得しているみたいだが、他の奴らには取らせないつもりだろう。」
あいつ、何してんの?まじで何してんの?状況が見れない典型的な意識が足りてないやつだ。
「八重島、起きたばかりのお前に言うのも悪いが、殲滅に協力してくれないか?」
「敵の数と種類は?」
「それは、僕が説明するよ。敵は岩の化け物だ。種類はロックゴーレムで、数は40から50。一際でかいのが一体。そいつが地面に手を当ててどんどん数が増えている。このままじゃ学校が壊されるのは時間の問題だ。」
岩、か。
「地面に手を当ててるって、召喚しているのか?それとも創り出してるのか?」
「それについては私が説明致しますわ。ロックゴーレムとは、造られた種族。上位種であるヘル・ロックゴーレムによって地上にある石を集められ魔力が宿り魔石ができた存在ですわ。ヘル・ロックゴーレムはとんでもない硬度で、魔法などで貫くのが効果的です。あなたの出番はありませんよ」
…あれ?俺なんかしたかな?レビアスに馬鹿にされてるような気がする…
「お、おう…じゃあ俺は周りの雑魚を相手するかな…危なくなったら呼んでくれよ?」
「あぁ、もちろんだよ。」
トントン拍子で話が進む。ほかのクラスメイトも魔法が使えるものはヘル・ロックゴーレムの討伐の支援、物理戦の得意なものは周りのロックゴーレムを相手取るようだ。
俺達は、屋上へと向かっていった。
「多いな」
翔は40から50と言っていたが、増えたようだ。80はいるように見える。
「ステータスオープン」
ーーーーーーーーー八重島 剣人ーーーーーーーーーーーー
魔力:1130 総魔力量:1130 状態:疲労
物理耐久値:660→6600 魔法耐久値2410→24100
適正魔法:付与魔法 身体能力増加 最大能力値増加
固有能力:言語理解 付与固定Ⅱ 付与魔法Ⅱ 空踏 剣戟強化 隙見 威圧 身体能力増加Ⅲ 最大能力値増加 魔力操作Ⅰ 物理耐性Ⅹ 魔法耐性Ⅹ 超再生Ⅱ 魔力変換Ⅲ
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総魔力量が4桁を超えていた。恐らく最大能力値増加を使用した状態で中級魔法2個と空間魔法を付与したからだろう。
というかそうとしか考えられない。
俺は空間魔法を発動し、纏丸を取り出す。
名前は結局これにした。
「【蒼炎・纏】」
纏丸は素材の魔力伝達率の影響により付与できる魔法は2つだった。そのうちの1つ、【蒼炎・纏】を発動する。
この魔法は蒼い炎を纏わせる魔法で、この炎は強い魔力を当てるか、水魔法(それも中級以上の)を凝縮して当てなければ消えない。
ただ、一定の魔力耐久値に達している相手にはそもそも炎ダメージが入らず、燃え移りもしないので対雑魚モンスターの魔法だ。
「ふぅぅぅ…」
神経を研ぎ澄ませる。俺はもう昨日までの俺とは違う。躊躇だってするし、罪悪感だって感じる。
人だ。俺は、人間だ。獣じゃあない。人なんだよ。でも、俺の前に立ちはだかるやつは…『斬る』
「【身体能力増加】」
俺は【身体能力増加】を発動させたその瞬間、屋上からロックゴーレムへと向かって飛び降りて行ったーー
次回の投稿は出来れば明日中にはしたいなと考えております。




