第十五話 似たもの同士と神聖な犬耳
何故こうなったし…
学校へと到着すると、そこからは喧騒が聞こえてくる。
「おい!お前は昔っからそうだ!ごちゃごちゃ理屈を捏ねて、カッコつけて!」
「はぁ!?そう言うならお前だって!バカでおっちょこちょいで周り見ないで突っ走って!」
「「俺は…」」
「「そういう所が大っ嫌いだって言ってんだよ!」」
…これは…典型的な本当は仲良いパターンのやつか。
「やめなよ、2人とも!周りの迷惑だよ!」
「「有紗は黙っててくれ!」」
仲いいなぁ。平和だなぁ。
「剣人…あれ、別にほっといても問題ないよね?」
「あぁ、多分な」
「今日こそは決着つけるぞ!カズ!」
「望むところだ!ユウ!」
そう言い合ったところで、彼らの魔力が膨れ上がる。
「「【魔装・纏焔】!」」
その膨れ上がった魔力を余すことなく全身に纏わせ、彼らの体には炎が現れる。
二人同時に。
「「おぉぉおお、オラァ!」」
拳を突き出した。
同時に。
「「クソっ!」」
衝撃で後ろに下がる。
同時に。
「…なぁ、剣人…」
「あぁ、そうだな、翔。見てられねぇわ。止めるか」
「そうだね。」
そうして俺達は二人の間に躍り出る。
「やめとけ、結構無駄な争いかっこ笑いだ。」
「「はぁ!?カッコ笑いって言うなや!」」
「ま、まぁまぁ!剣人もあんまり煽らない!それに、君達も息ぴったりじゃないか!喧嘩はしない方が…」
「俺達が…」
「息ぴったり?」
「「そんなこと断じて認めない!」」
やっぱりぴったりである。周りも苦笑いだ。
「なぁ、なんで喧嘩してんだ?お前ら。」
「「こいつが気に入らないから!」」
「ふーん…何かあったわけじゃねぇのな?」
「あ、えと…それについては私が」
さっき有紗と呼ばれていた女子が二人を制してそう言う。
「初めはたわいない話をしていたんですけど、そこからちょっとした、ほんとにくだらない喧嘩が始まって、初めは口喧嘩だったから良かったんですけど、気づけばこんなことに…」
「ありがとう。よく分かったよ…」
俺は説明を聞き、すぅ…と息を吸うと…
「テメェら変な理由で人様に迷惑かけてんじゃねぇ!!」
と怒鳴った。些か理不尽である。
「け、剣人…やめ時なよ…」
そう言ってくる翔に、唇に指を当てしー…っとやる。
「いいか?お前らの強さは俺の見立てによればほとんど互角!だがお前達は力で決着をつけたい。なら、ひとつだ!俺達は近々、大会を開こうと思っている!その正式な試合で決着をつけてみろ!」
「ちょ、剣人!?何言ってんのそんなこと決まってな…むー!むぐ!」
何か口走ろうとした翔の口に蓋をする。
「「せ、正式な試合…!」」
俺は、面白そうだと思ったことを実践するために言葉を口にする。
「ああ、そうだ!しかぁし!お前らは恐らく全く同じ練習方法を繰り返すのみだろう!ならば!お前ら2人を俺達が指導するっっ!」
「はぁ!?急に何言ってんだよ、あんた!てか、俺より弱いやつに教えを乞う気は無いね!」
「はっ雑魚がいきがって何言ってやがる!」
「いきがってんのは剣人の方だろぉぉぉ!?」
「こい」
「「はあ?」」
「だから、2人まとめてかかってこいって言ってんだ。」
その言葉に一瞬言葉を奪われた後、二人は俺に向かってきた。
「「その口閉じさしてやる!」」
本当に息ぴったりだ。ますます新たなギルドの主戦力として育て上げたくなる。
そう、俺がここまで煽ったのはギルドの主戦力にするためである。俺達は恐らく魔界へと渡ることになる。これは勘だが、恐らく遠征のクエストが俺達には回ってくる。それに向けて、もしこっちが襲われてもここを守ることが出来る戦力が欲しい。
それが、俺なりに考えた結果だった。
この話は、元々翔にはしていた。だが、こんなに早く決めるとは思ってもいなかったんだろう。信じられない、といった顔をしていた。
だが、これらの考えは全て合理的に考えただけに過ぎず、感情的に考えると、年端の行かないガキが偉そうに同年代を鍛える…と言うものになってしまう。
それを解消させるのが近々開催する予定(次魔界対策課が来た時に言うつもりだった)の大会だ。この大会の成績によって初期のランクを決めることにすれば即戦力の獲得も可能だし、それに向けたトレーニングもしてくれて率先的にステータスにも慣れてくれるだろう。
と言うことを考えながら軽くいなした二人に俺は問う。
「さ、どうするんだ?今お前らは俺に武器を握らせることも無く、拳すら握らせてはいない。そんな格上に鍛えてもらうことの出来る最後のチャンス、無駄にするのか?」
「…2日考えさせてください」
「俺もお願いします」
こうして喧騒は去っていった。
~
「剣人~!何勝手に話を進めてるんだ!」
「なんだよ、お前も乗り気だったじゃないか。」
「そうだったけど!そうだったけども!」
あ、そうだ。もう通信石(通信魔法を付与したあの魔石のこと。魔界対策課の面々にはもう渡しておいた)で連絡入れて準備しておいてもらおう。
「あ、剣人いた~」
「おう!小晴!」
「ワン!」
「あ、モモスケじゃん!かわっ!相変わらずかわっ!」
「ワン!」
モモスケも心無しか嬉しそうである。
「あ、そうだ。小晴、後で練習場に着いてきてくれないか?」
「え~別にいいケド」
「おっけー、じゃあいつからなら行ける?」
「んー…30分後くらい?」
「分かった、じゃあ30分後な!」
そう言って俺は練習場へと向かった。
~
「剣人~来たわよ~」
さて、ここで練習場の説明をしておこう。
練習場は広い。しかし、入口で転送したい人物の名前を唱えれば、とぶことができる。
ここで練習場について詳しく説明を付け加えておこう。
練習場は、小さくて大きい、狭くて広い。これの表す意味は、自身達、もっと端的に言えば魔力によって広さ、大きさが変動する。それは縮んだりすることは無く大きくなる一方で、魔力を地面に込めることで広がっていく。
そして広がった敷地は、広げた本人の許可なく入ることは出来ない。
そして本人はその場所へと自由にテレポートできる。
練習場は魔力を込めることにより自由自在に地形を変えることが出来、特殊な鉱物も生成することが可能。
しかし、生成するには条件があり、正確な知識を有することが絶対条件である。
ここまで聞いていると、「なんだそのぶっ壊れ性能」とか、「設定飛びすぎ破綻するやろ」とか「は?クソやんチートかよ読むのやめよ」とか言う人も出るかもしれないが、この後のせって…ん゛ん゛!条件が鬼門である。
それは、練習場で物体を作るのは膨大な量の魔力が必要な上、作られた鉱物や物質は練習場内では本来通りの性能を発揮するが外での使用は劣化してしまう、というものである。
ここまでだとまだ、「劣化って言っても大したことないんでしょ」や、「膨大って…翔ぐらいあればし放題じゃないの?」とか言われもとい叩かれそうだが、こう言えばわかりやすいだろう。
魔力は100メートルの小山を作ろうと思えば今の翔(24000強)の魔力を持ってして1ヶ月後不眠不休で永遠と注いでいかなければならないレベル。
劣化は魔力伝導率などは変わらないが耐久値の劣化が激しく10分の1程度になる。
ちなみに、剣人の纏丸も当初練習場の素材で作ろうとしていたが、外に持ち出した途端試し斬りで壊れたので断念、神の使徒に頼み込み刀を恵んでもらった。ついでにグローブの素材も。
以上作者の説明終わり
ーー閑話休題
「お、来たな。」
「で、どうしたのよ?」
「ふっふっふ…この前、ゴージスの再戦の話を持ち込んできた時の話を覚えているか?」
「え゛…よ、よく覚えてにゃいな~」
噛んだな。
「じゃあ思い出させてやるよ…お前はこういった、『ゴージスに勝てばなんでもひとつ言うことを聞いてあげる』と!」
「うぅ~…何する気なのよ。やっぱりエッチなこと考えてるんだ。だから私をこんな所に…」
「そんなわけなかろう!俺はただ、お前の犬耳をいじくり回したいだけだ!」
「え…それってエッチなお願いに入らないの?」
「え…?」
「曲がりなりにも女子の体に触れて、あろう事か弄くり回すんだよ?耳って敏感なんだよ?」
確かに…今の小晴の耳は元の方は髪で隠れて見えないようになっているだけで、まだある。それを考えて飾りのように考えていたが神経は通っているらしい。
確かによく考えたらそんな無駄な進化があるわけないと思う。
「この耳って、普段は音は聞こえないんだけど、本能的に何かを感じ取った時にこっちがメインになるみたい。結構遠くまで聞こえるわよ?」
「ほぉ…」
「…ほんとに、触りたいの?」
「…いや、小晴に強制してまで絶対に触りたいなんて死んでも思わない。無理矢理なんて嫌だしな。」
小晴に強制するなんて…お仕置きぐらいだな。
「……」
「どうした?急に黙りこくって」
「…剣人なら…その…いいよ。」
「へ?」
「だから、剣人ならいいよ、って言ってんのよ!何度も言わせんな、バカ!」
マジか!おいおいおい!犬耳!犬耳やぞ!
「では、有難く…」
「んッ…ひぅ」
小晴が変な声を上げているが、強い精神力でスルーする。今は犬耳に集中するんだッ!
「ひゃっ…んん…どう、なのよ」
「あ、あぁ、すごくサラサラしてて触り心地がいいよ。」
「ん、そう。…アッ」
~5分後
「ふぃ~堪能したァ!」
「はぁ…はぁ…はあ…」
小晴の顔は真っ赤だ。
「あ…えっと~なんかごめん」
「なんか、じゃないわよ!すごく恥ずかしかったんだから!それに、何だか胸の奥が疼く感じがして…しゅごかった…」
「ん?ごめん最後の方なんて?」
「き、聞こえてないならいいわよ!」
「んー…そう?ならいーや」
なんて言ったんだろうな?ま、そこは踏み込むべきじゃないだろう。
「あ、そうだ。小晴、1回家に帰っとけ。親が心配してるらしいぞ?」
「あ…忘れてたわ。ココ最近、色々ありすぎて、ねぇ…」
「そうだよなぁ。」
あ、そうだ。
「なぁ、小晴は魔界に興味って…ある?」
~
「おし、揃ったな。」
「もう、急な事であんまり準備できてないじゃない!か」
「はは、小晴、許してあげなよ。剣人も、小晴と冒険ができるって気持ちがはやってるんだよ。」
「そ、そうなの?ふふっ、そうならそうと早く言ってよね!」
そうでも無いんだがなぁ…
俺達は、小晴の親御さんに顔を見せに行くついでに魔界へと行ってみようということで校門前で待ち合わせていた。
「これが、魔界対策課もとい冒険者ギルドとしての初めてのクエストだ。気合入れてこうぜ。」
そう、この遠征は新設された【冒険者ギルド】に出された初めてのクエストだった。
小晴の耳を弄ってから2日後、予定通り学校へと到着した岩倉さん達8人(新しい人たちを連れていたが、自己紹介などはなかった)を図書館へと案内し、冒険者ギルドとしての地盤を固めた。
そして俺の付与魔法【念話】を使い魔石に喋りかけた言葉を日本全国に飛ばすとんでもない裏技によって日本の状態を通達、そして冒険者ギルドの設立を宣言し、各地に職員を派遣することとなった。
それと同時に腕っ節に自信のあるものには約1ヶ月後に決まった大会(正式名称は冒険者選定大会)の通知も済ませ、参加する人は十日後にオープン予定の各地ギルドに参加申し込みをするよう通達した。
通貨の勝ちもだんだん戻ってくるようで、ギルドでは魔物の素材や情報も高く買い取るようだ。
情報に関しては偽の情報や価値のない情報には対価を払わないらしいが、どう嘘を見分けるかが今後の課題となりそうである。
そして翌日、一足早く出来た【冒険者ギルド:東京支部】からの依頼により、元千葉沿岸だった今は地続きになっている地域の調査と魔物の種類、攻撃性などの調査を依頼された。
範囲は自己で管理し、できる所まで入って欲しいが安全マージンを取ってくれとの事。
そうして俺達の新しい生活が始まっていくのだった。
お楽しみいただけたでしょうか?
ぜひ
「面白い!」
「また読みたい!」
「続きが読みたい!」
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また、
「ここ矛盾してない?」
「ここ、どうなってるの?」
「意味わかんないんだけど」
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