ワオリ覚醒
1008年 ダーマンの月。
悪魔大公『ジルデミオン』を相手に奮闘するゼロたち。
優勢で戦い始めたところ、ジルデミオンによってユズナが狙われ、
彼女を守るために、ゼロの左腕が切り離されてしまった。
危機の状況でただ一人マイペースを貫くワオリ。
前回の戦闘で白刀を折れたままにしてしまったワオリが刀を求めたところ、
彼女の内にいるキュウビが刀があると伝えてきたのだった…。
かつて、ナハトイデアール大陸西部に『異種族の町』があった。様々な種族の者たちが住んでいたその地を圧倒的な力でまとめ、そして平和に暮らす地にしたのは、今は亡きワオリの母『マドカ』であった。
『希少種 キュウビ』として強大な力を持っていた当時のマドカに敵う者はおらず、その圧倒的な力はエルフ女王であるセルディアをも上回り、グランデュシュテルン王朝相手にも一歩も引けを取らぬほどであった。
そんなマドカを強者とさせたのは彼女自身の持つ妖力のみならず、常にその右手にあった一振りの黒い刀があった。
『黒天夜叉丸』…そう名付けられた黒い長刀は、マドカが生まれた時より傍にあり、彼女の強大な妖力を得て如何なるモノをも斬り裂いてしまう恐るべき力を持っていた。
だが、マドカがワオリを生むことによってその妖力は激減し、刀もその力を衰えさせた。
やがて悪魔が現れ、マドカはその力の差を感じてワオリに託したのがこの黒き一振りである。この長刀を使って修練したワオリであったが、その幼い体には長すぎることで十分扱いきれなかった。
それからドワーフの作った白刀を手にしてからは、ずっと保管されていたワケだが、キュウビによってワオリはその存在を思い出した。
(そうでした!夜叉丸があったですよ。)
思い出したワオリであったが、すぐにそれを手にする事を躊躇った。
「ワオリ、どうした?」
同じ身体に存在するため、ワオリの心情はキュウビにも伝わる。ただし、どうしてそう思うのかは理解できないのだが…
(…あたち、夜叉丸を前は十分に使えなくてずっと白刀ちゃんを使ってたですよ。体がちっちゃいから使えてないってゼロおにぃちゃまに言われたですよ。
だから今、ここで使っても大丈夫かどうか心配なんですよ)
そんな気弱な事を言いながら、ジルデミオンの攻撃を避ける。小回りの利くワオリなので、相手御攻撃を避けた隙を突くことは可能なのだが、今手にする小刀では距離が足りない。
そんな状況も重なってワオリは焦りを感じていた。
「ワオリ、いまのままダメ!」
そこへキュウビが注意をする。当然自分自身もそれは分かっているため、改めて言われるとワオリは拗ねてみせる。
(分かってるですよ。でも…)
「だったらこのカタナ使う。ワオリ、このカタナのことわかってない!」
言いかけた言葉を遮ってキュウビが強く訴えかけた。
(へ?)
思ってもない言動に気を抜いてしまうワオリ。
「貰った!」
当然その一瞬を見逃すジルデミオンではない。肉薄した中で一瞬の出来事が優劣を決めるのが戦いだ。
ジルデミオンの左の刀がワオリを襲う。
「あぶニャいっ!」
三毛猫みぃちゃんが叫ぶと同時に刃がワオリを捕らえた。
「ガキィィィィン」と激しい音を立てて小刀で防いだワオリ。だが、振り出された剣圧に小さなワオリの身体が押されて弾き飛ばされた。
そして少し離れた場所へと一直線に飛ぶワオリ。瞬く間に地面と激突して土煙が舞い、見ていたユズナたちが名を叫ぶ。
「ワオちゃん!」
手薄になったことでジルデミオンは3匹に対してより攻撃を仕掛ける。即座に補助へ回ったアルツェンだが、到底相手にならず右腕で払い除けられ倒れた。
そこでみぃちゃんと黒猫じょんじーが牽制する中、白猫さんごが倒れたアルツェンを回収してユズナたちの元へとアルツェンを連れていく。
「みぃちゃん、じょんじー、一旦下がって!」
ウミミンが叫ぶとみぃちゃんが振り下ろされた刀に対して強い攻撃を与え、急いで二匹は間合を離した。
当然追撃を意識したジルデミオンだが、その先で黒い攻殻が待ち構えているのを確認したことで足を止める。確か斬り離したはずの腕が元に戻っており、あのウサミミの獣人がかなり高度な魔法を扱えると察した。
「…なるほどな、そこの獣人が高度な魔法を使えるらしい。ここまでお前たちの進撃が成せた理由がよく解った。」
そう言うとジルデミオンは左右の刀を目の前に突き出し、揃えて天に翳した。
「ならばお前たちを倒せば、もはやここにいる者たちは烏合の衆。まとめて斬り捨てるまでだ。」
そう言うと二振りの刀が融合し、一本の長刀となった。そこへ更に魔力をくべて幅広い刃と変化させる。
「ここまで戦った褒美だ。我が最強の一振りで葬ってやろう。」
告げると同時に長刀は無骨な形をした大刀と化した。その幅広い刃は灰色で、余りの魔力に黒い稲妻が走り続けている。
「『斬界刀』…これを手にするのは神共を相手にして以来だな。」
そう言って左右の手腕で正眼に構える。その間にも刀に魔力が込められていき、周囲の空気が震えた。
「だめっ!あれじゃこの周辺一帯が空間ごと斬り裂かれちゃう!」
「クッ!」
「させない!」
ウミミンがその危険度を指摘し、即座にゼロが走り、ネコたちも続く。
ウミミンも残る魔力を振り絞って魔法を繰り出す。が、吸い上げられていく魔力の膜に魔法はかき消されるだけだ。
ユズナも竪琴を弾いて魔法消去を行うが、僅かな効果しかなくてその膨大な魔力を消すには至らない。
その間にもゼロがその刃を折ろうと攻撃を仕掛けたが、手腕以外の腕が動くジルデミオンは左右にある大斧と刃の折れた薙刀で牽制する。
「くそっ!」
先ほどまでより巧みに振り回し、攻撃でなく相手の動きを封じようとするジルデミオン。守り一辺倒となると、さすがにゼロでも近寄ることは困難だ。その間にも魔力は込められ、大刀は灰色から黒い稲妻の色へと変わっていく。
焦る気持ちを抱きつつ、何とか阻止しようと試みるゼロであるが、その動きは鈍い。
腕を落とされたのはウミミンによって時間を巻き戻して元に戻った。だが、それに対してゼロ自身にも負担はかかっている。
そこまでに至る疲労や負傷と共に、ウミミンだけに負わせる事を良しとしなかったゼロは、自分の闘気もウミミンの時空魔法に吸わせた。
腕が繋がった後も戦いは続くわけであり、そこでウミミンが行動できない状況を回避するためだった。
結果、腕は繋がりウミミンの負担も少なくなったが、ゼロの疲労は予想を上回っていた。
幸いにもまだ数度の技は使えるが、ジルデミオンがこれほどの力を繰り出すとは思ってもいなかった。
以前闘ったパルドスに比べて戦闘力が高い程度と思っていただけに、周囲一帯を消滅させるほどの絶対的な力など、ヒトであるゼロからすれば予想の範疇を超えている。
それがヒトとしての想像の限界であり、ゼロ自身が悪魔を嘗めていたわけである。
今更それを後悔しても何も始まらないし、時間の無駄だ。
今すべきはこの技の無力化。そうしなければ全てが消えてしまう。
今の時点でそれが出来るのは自分だと言い聞かせ、ゼロは全てをかける!
「借りるぞっ!」
振り下ろされた大斧にゼロは右腕を合わせる。その手には攻殻内にしまい込んでいた一振りの刀があり、振り下ろした刃が大斧を真っ二つに切り分けた。
「ぬぅ?それはエスペティッカの!」
脇目で見たジルデミオンが叫ぶ。ゼロの右手に握られた刀。それは自分の忠実なる部下であり、幾度も刃を交わしあった戦友ともいえる者の一振り。研ぎ澄まされ鈍くも美しく光る刃は、如何なるモノをも断つ。
故に大斧が切り裂かれたが、驚くほどの事ではない。逆に流石の業物と称賛する。
「流石はあ奴の一振りよ。されど…」
そう言ったジルデミオンの手腕にある斬界刀が完全な闇色に染まり、いくつもの稲妻が煌めき疾る。
「一足遅かったな。もはやこの一振りでお主らの全てを終わらせてやろう。」
掲げていた斬界刀を上段に構えたジルデミオン。そこにすかさずゼロが刀を突き出してジルデミオンを狙う。
狙うはその首。掲げられている以上は刀を落とすことも出来ず、首を狙うのが一番だと察した。
だがそれはジルデミオンもお見通しだ。左主腕を手放して、突き込んでくる刃に自ら指し込んだ。
「貴様はよく戦った。故に腕に一本をくれてやろう。」
「クソっ?!」
太い腕によって刀は封じられ、即座に拳を叩きこもうとしたゼロだが、残る2本の左腕がゼロを突き飛ばす。
不意な攻撃を後ろから受けてゼロの身体はジルデミオンの正面へ突き出される形となった。
ちょうどゼロの後ろにユズナやウミミンがおり、その後方にはライディンの町がある。ジルデミオンにしたら恰好の位置だ。
「さぁ、別れの刻だ!」
上段からジルデミオンの右腕が振り下ろされた。ものすごい魔力と質量を携えた一撃が天から襲い掛かる。
もはや声や音さえもその一撃によってかき消される。
絶体絶命の一撃!
ジルデミオンは勝利を確信する。
ウミミンは悔しさに歯噛みしつつ何とかしようと魔力壁を生じる。
ユズナは悲しみに涙を流しながら目の前にいるゼロへ手を伸ばす。
その手の先で、抗う事を辞めない黒き戦士は拳を突き出す。
「ならば!」
ゼロが狙うはその刀を持つ右手。刹那のタイミングで振り下ろす腕を止めようと、そこへ拳を合わせる。
刀の持つ魔力や質量で攻殻が軋み、ゼロの身体を途轍もない負荷が襲う。質量によって攻殻内のゼロの身体にダメージがかかり、その口から鮮血が噴き出す。
嗚咽しそうなほどの息苦しさを感じる。
だけど今これを成せるのは自分だけだと言い聞かせ、体を進ませる。
体中が悲鳴をあげる程に痛む。
何もしたくなくなるほどに気持ちが悪い。
だけど、それはあの時に比べたら軽い症状だ。
かつて悪魔たちによって両親が殺され、自分も生きているかどうかも分からないような時間があった。
そこから動けるようになるまで、何度も死んで楽になりたいと思った。
あの時に比べたら今はまだマシだ。
何より、明確な答えがある。
自分の信じる仲間たちがいる。
だから全てを任せて、今自分が出来る事を成すだけだ。
その想いを拳に込めて、ゼロは放った。
「魔懐拳ッ!」
強大な技に対し、己の全てをかけた拳が抗う。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
「起きなさいっ!」
それはひどく懐かしさを感じる声だ。
「もうちょっとでしゅよ~ムニャムニャ…」
「こらっ!早く起きなさいっ!」
「ハイでしゅよ!起きたでしゅよ!」
ぱっちりと開いた瞳。かつて寝坊して叱られたマドカの声によってワオリは覚醒した。
がばっという勢いで体を起こすと、左右を見渡す。そして目にした状況に今どういう時なのかを思い出した。
「しまったですよ!」
「やっとおきたワオリ。」
立ち上がろうとしたワオリにキュウビが声をかけてきた。
(あい、起きたですよ。すぐに戦いに向かうですよ!)
「まって!」
(ん?どうしたですか?)
「ワオリ、いまいってもどうしようもない」
言われてみると、上段に構えたジルデミオンの刀から凄まじい力を感じる。あんなのが振り下ろされたら、ライディンの町さえも無事では済まないだろう。
(何ですかアレは!あんなの止めないとみんな危ないですよ!)
「うん、だからワオリカタナつかう。」
(えっ?)
そう問い返した自分の右手に黒い刀が握られていた。
「夜叉丸!」
「ワオリ、いまからいっしょにたたかう。」
(ふえっ?)
キュウビの声にワオリが何を言われているのか理解できない。
「いまからワオリのからだ、いっしょにつかう。」
(できるですか?!)
「うんできる。だからワオリ、いっしょにたたかう『きょか』して!」
「きょか…するですよ。」
一瞬何かとわからなかったが、それはキュウビが一緒に戦うことだと悟って許した。
その途端、ワオリの身体に熱が走り、痛みが襲った。
「いたたたた!」
強烈な痛みだったが、それは僅か一瞬だった。やがてそれが収まるとワオリは頬を膨らませる。
「も~痛いですよ!」
「もうおわった。これでたたかえる。」
呟いた自分の声に、その口からキュウビの言葉が返された。
「あれ?」
おかしいと感じたワオリだが、即座にキュウビが指示を出す。
「ワオリたって。からだはワオリがうごかす。」
自分の口からキュウビの言葉を聞かされる事に?マークを並べつつ、立ち上がるワオリ。するとそこでまた?が並ぶ。
「あれれぇ~?」
視線が高い。そして自分の身体を見まわしてようやく気付く。
「あたち大きくなってるですよ!」
そう、ワオリの身体が大きく成長した姿となっていたのだ。そして体に纏うは黒い着物。…それはワオリにとって懐かしい見覚えのある着物だった。
「これはおかあしゃまの着物ですよ!」
「うん。マドカのふくきてる。いま、ワオリはマドカとおなじおおきさ。」
「なんですとっ!?」
改めて自分を見る。長い黒髪に成人女性としてスラリとしたスタイルをしている。そして尻尾はいつもの尻尾が太くなっていた。
頭を触ってみると、イヌ耳も頭の大きさに比例して大きくなっている。
「あたち、いつの間におっきくなったですか!」
「ワオリ、せつめいはあと!いまはすぐにカタナをもつ。」
言われてワオリは宙に浮いた状況の黒天夜叉丸を掴んだ。
「ウクッ!」
途端にワオリの身体から妖気が吸いだされる。
「!・・・これでだいじょうぶ。『ようき』はこっちであつかう。ワオリはたたかって!」
痛くなくなったことでワオリは改めて黒天夜叉丸を見つめ、視線をジルデミオンに向けた。
「からだおおきいといろいろちがう。それをこっちで『ちょうせい』する。ワオリはおもうままにたたかって!」
今一度黒い刀を見て、ワオリは不敵に笑った。
「わかったですよ。キュウビちゃん、一緒に戦うですよ!」
「うん!」
嬉しそうな返事にワオリの気持ちが高揚する。そして今何をしなければならないかを感じ取る。
その間にゼロが刀を出して至近距離に入った。
だけどそれをジルデミオンが左腕を犠牲に防ぎ、最早絶体絶命のピンチになっている。
「危ないっ!行くですよ!!」
黒天夜叉丸を掲げ、ワオリは一直線に駆け出した。
「やめなちゃーいっ!」
ゼロの魔懐拳が届こうとした時、その右背後から声がした。
セリフからワオリと思うが、その声が大人びている。
次の瞬間、襲いくる巨大な刃に黒い刃が吸い込まれるように合わされ、
斬界刀が真っ二つに絶たれると、魔力と大質量が消えた。
誰もが考えていた結果と違うために動きが止まる。その間に黒い刃を放ったワオリらしき着物姿の女性がジルデミオンの向こう側で残身状態のまま屈んでいた。
「なんだと?!」
最も驚くのは必殺の一撃を放ったジルデミオンだ。絶対に揺るがぬと思った勝利を一瞬のうちに消されてしまったのだから…。
そしてそれだけに大技を繰り出したが故に、その巨体に負担が押し寄せる。それまでのダメージと共にうずくまる悪魔大公。
最大の好機を失ったことでたちまち危機へと陥ってしまう一方、ピンチの後でチャンスを得た黒き攻殻は、繰り出そうとしていた拳をその頭部へと叩きつける。
「喰らえっ!」
「ぐふっ!!」
兜が割れてジルデミオンの顔面にゼロの拳が突き刺さる。そしてそのままゼロは核を掴むとすぐに引きずり出した。
「俺たちの勝ちだ。」
「…そのようだ。見事だ、ヒトたちよ。」
修復によって顔が戻ったジルデミオンはなにやら達観した様子で呟いた。
「…貴様も見事な武人だった。…滅!」
そう言ってゼロは核を握りつぶした。これによってジルデミオンの身体が霧と化して消えていく。
「悪魔王よ。お許しを…」
それだけ呟くと、ジルデミオンは口を閉ざした。代わりに聞こえてくるのはユズナの鎮魂の歌。
歌に乗って霧となったジルデミオンの身体は光と化し、この大陸を浄化させていく。
こうしてナハトイデアール大陸も悪魔たちから解放された。
「やっと終わった…。」
ため息をつきながら尻もちをつくウミミン。さすがに疲労が激しく魔力もほとほと尽きかけているが、悪魔大公を倒したことで一息つくことが出来た。傍らで座って歌い続けるユズナに目を向ける。彼女の歌によって浄化されていく大陸。『ドルイド』という立場のウミミンに大地が喜んでいることが感じられた。
そこにやって来た着物姿の女性。ウミミンは笑顔を向けて彼女を迎える。
「お疲れ様ワオちゃん。」
「あい、お疲れ様ですよ。」
マドカに似て美しい姿の妹分にウミミンは今一度安心のため息をつくのだった。
場所は変わる。
「!」
ソファーでくつろぐ男の目が開かれ、途端に鋭くなる。同時に横で立つ女性も神妙な面持ちで俯いた。
「まさかジルまでもがな…。」
悪魔王デュークは即座に呼び鈴を鳴らす。と即座に使い魔が現れ、二人の前で膝をついた。
「いかがな御用でございましょうか?」
「ディアールノに戦闘準備させよ。準備次第ここへ来いと伝えろ。」
「承知いたしました。」
使い魔は首を垂れた後、姿をくらませる。
「デューク様…。」
憂いた表情を向けるミューラルにデュークは激しい闘志を漲らせながら宣言した。
「このまま放置は出来ん。ジルの弔いに軍を送り込んで殲滅させる!」
その言葉にハッとするミューラル。そしてすぐに表情を変えて一礼する。
「承知いたしました。」
再び悪魔大公を倒したことにより、いよいよ悪魔王自身が動き出す。
そしてまた場所は変わる。
真っ白な世界。そこにある3m四方の白い壁。
そこには壁に手足を埋められて項垂れた姿の銀髪の女性の姿がある。
それまで彫刻のようにピクリとも動かなかったのだが、突如その腕を埋める白い壁にヒビが入った。
それから日々は広がり、ついには女性が力を込めると両腕が壁より解き放たれた。
残るは両足を埋める部分。
女性は自由に動かせる腕の感触を確かめたあと、足を埋める壁に手を添えた。
「……んっ…」
一言呟くと白い壁も崩れ去り、女性の身体はようやく自由となった。
さらさらと長い銀色の髪を流しながら大きく体を伸ばす女性。
「あ~、ようやく待ちに待った瞬間ね!」
長き我慢からの解放とあって、弾むような喜びの声を吐く。そして女性は真っ白な空を睨んで笑みを浮かべた。
「さぁ、ここから形勢逆転よ…。待ってなさい、お兄様。」
お読み下さりありがとうございます。
長い雨が早くも秋雨前線だったという事に驚きつつ、物語を書いておりました。
さて、今回で何とか第6章は終わりとなります。
ジルデミオンを如何にすればとあれこれ考えながらでしたが、
結局はなるようになったという感じです。
何より今回、一番書きたかったのがワオリの覚醒でした。
一先ずその姿を今回お送りしましたが、詳細はまた次回以降に記します。
そしてジルデミオンが倒れた事で、悪魔軍が一気に動き出します。
併せて囚われていたあの人も復活します。
様々な者たちがワオリたちへと向かって動き出しました。
そしてこのお話もようやく終わりへとむかいます。
まだまだ書かなきゃならないことはありますが、次回以降も楽しんで頂けますよう
がんばって参ります。
では今回はここまでに致します。
何やら季節が早まった感じですね。
皆様、体調などには十分ご留意くださいませ。
次回もどうぞよろしくお願い申し上げます。




