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The Law of the World  作者: k2taka
第2部
67/93

ナチュラルフロンティア

惑星エアルス。神々が作り上げた光天歴は1000年を迎えて終わり、新たな時代は悪魔たちによる魔天歴へと変った。

そしてワオリたちの活躍によってシュラハティニア大陸が解放され、世界は悪魔や亜人たちを倒そうと動き始める。

そして1007年。


姉と慕うウミミンの登場によって、ワオリはマドカとの最後の話を行い、そして別れを済ませた。

その経験から一回り大きく成長した。

そしてウミミンを仲間に加えてこれからもがんばって行こうとした矢先、

「ここって何て名前なの?」

今まで何とかやって来れた軍の運営。その名前すら決まっていなかったことに今更ながら気づき、緊急会議が始まったのだった。

【第4章】

 深い悲しみから抜け出し、ワオリたちは新たな一歩を踏み出した。幼い頃に旅に出た姉のような存在ウミミンを仲間に加え、ワオリたちは自分たちの事を「ナチュラルフロンティア」という名前を掲げた。共同体として、皆がこの名のもとに努力していくことを誓った。

 皆で色んな意見を出し合った結果だが、会議は白熱した内容だった


「あたちは『みんななかよし』が良いと思うですよ!」

 緊急会議が始まると直ちにワオリが提案した。バオもそれに賛同したが、皆は沈黙した。せっかく元気になったワオリに遠慮してしまう空気だったのだが、

「それは目標として掲げる事であって、名前には向かないよ。」

「そうですかぁ~。それじゃ他を考えるですよ。」

とウミミンが諭した事ですぐに取り下げられた。みんなナイスと心で称賛し、それから様々な意見が飛び交った。

 「反乱軍」という言葉が多かったのだが、自分たちは反乱をしているのでなく、以前の世の中に戻すのだという意見に消えてしまった。

 次に多かったのは「ワオリ軍」とか「チーム ワオリ」や「ワオリと愉快な仲間たち(愉快ってなんだ?)」などワオリの名前を加えていたが、これに関しては本人から、

「恥ずかしいですよ!それにあたちじゃなくて皆の名前ですからダメですよ。」

と拒否されてしまった。

 そんな中でナッチョンが「変に意識するより、あるがままを表したいよね」という言葉から、ユズナが出したのが「ナチュラルフロンティア」だった。

 自然にというナチュラルの言葉と悪魔たちの世界を開拓する最前線という意味を持つフロンティアの言葉を合わせた内容だったが、その言葉の響きに皆が納得して決定したのだった。


 こうして自分たちの軍の名前が決まると、それぞれの担当者を決めて行く。全体の運営に関してはエスケリト城に残っているメンバーと後日相談するとして、まずはこの大陸を攻めるにあたって、役職と共に責任を請け負ってもらうことにした。

「まず、ワオちゃんが代表者として全ての決定権を持ちます。それに関しては異論無いですか?」

 会議の進行役としてウミミンが進める事になった。理由は簡単、組織作りの言い出しっぺだからだ。仕方なく請け負ったウミミン。まず最初に決めるべき代表者に関しては、誰も反論する者はいなかった。

「では、決定とします。しかしワオちゃんもまだ子供です。なので補佐役として誰か付いてあげて貰えますか?」

 その時、パラヤがレンがすぐに申し出たが、他にもやりたいという者が殺到する。それで議論が言い合いになって進まなくなったが、ワオリが「ウミミお姉ちゃまがいてくれると嬉しいですよ」と言ったことでそのまま決定したのだった。

「一先ずお受けしますが、皆さん今一度お伝えしますね。その役職には責任が付きます。つまり上手くいかなかった場合は罰を受けなければならなくなります。

 ですので単にやりたいという気持ちだけでなく、それに見合うだけの能力が必要だと思ってください。」

 そう言われてさっきまで興奮状態だったみんなが背筋を正した。そんな中でワオリが、

「それじゃあたちも罰を受けちゃうですか?」

 と怖がったので、

「ワオちゃんはさっき勝手に出て行ったからしかられたでしょ?」

「あぅ~、そうでした。」

「まださっきのはしかられるだけで済んだけど、もしも戦いで責任者が間違った事をしたらどうなっちゃう?」

「負けちゃうですね。」

「うん、負けちゃうし何よりケガや酷い場合は死ぬヒトが出てきちゃうんだよ。今まではダンガさんがきちんとその辺りを見極めてきてくれたから被害が少なく澄んだと思うよ。」

「あぅぅ~、ダンガおじちゃんは凄いヒトだったですね。」

「うん、そうだね。これからは皆で色々考えて、それらの意見をまとめて指示するのが責任者というワケだよ。」

 ウミミンはワオリに質問を交えて考えさせながら物事を教えている。当然それをみんなが見ており、それぞれがこの会議で何を決めているのかを今一度再確認した。

「そう言う訳だから、皆がこのヒトならってヒトになって貰おうと思います。もちろん途中で代わることもあるので、日々努力することも大事ですよ~。」

 それからみんなで話し合い、それぞれの責任者が決まったのだった。


〇戦闘隊長 パラヤ 副隊長 レン・バン

〇作戦参謀 ユズナ

〇生活班長 ナッチョン 副班長 バオ

〇整備班長 ベント


 大まかな部分で以上となった。戦闘に関して強い者を選ぶわけだが、パラヤは視野が広く指揮を執るには適していると思われた。レンは突っ走る所があるため【攻撃部隊長】という役割も担って副隊長に任ぜられた。

 バンに至ってはダンガからの信頼も厚かったことから起用したが、彼自身は守りを得意とする。その為【守備部隊長】として陣の防衛関係にも関わる事となった。

 戦力も大事だが、力任せだけでは勝つことなどできない。その為に作戦参謀を設けた。これにはもちろん、ダンガ相手に意見を出してきたユズナがみんなから推薦された。エルフの郷で培った知識や、彼女の地脈を見る能力などからの起用だが、経験不足が否めない為、ウミミンやゼフィルートが補佐することにした。

 生活班はもちろんナッチョン一択だった。皆を引っ張っていくだけの器量と何よりムードメーカーとしての性格は誰も文句が出なかった。何より、ワオリをしかる事が出来るヒトであり、ある意味この軍のサブリーダー的な存在と言っても過言ではないかも知れなかった。

 そしてバオはナッチョンを補佐及びツッコミできる存在として起用された。愛らしい彼女の性格はみんなを癒してくれるため、その辺りにも期待が寄せられている。

 そして整備はもちろんドワーフであるベントに任された。装備だけに限らず、日常生活に必要なものを用意するのも整備班の役割で、この班には多くのメンバーが充てられている。

 以上4つの班に残った180名弱のメンバーが割り振られた。ちなみに海賊であるレイラは現在エスケリトへと渡航中でこの場にはいない。念のために船を一隻とそれを操るクルーたちは残っているが、戦闘には参加せず、整備班に所属させている。

 それとゼフィルートであるが、【顧問】という役割を与えられた。実際戦闘に関しては最も活躍するのが彼であるが、その戦闘力に他の者達と雲泥の差があるため、独自で動くことを許可されている。

 なお戦闘指南としての顧問であり、戦闘班を鍛えることが彼の役割でもある。


 こうしてナチュラルフロンティアは活動を開始する。最初は戸惑いもあるが、少しずつ慣れていくしかないと皆が頑張っていく。

 そして戦闘班で班ごとの編成が終了すると、ユズナもまた今後の方針をワオリたちと相談していく。夕食時にテーブルをワオリ、ウミミン、ナッチョン、バオ、ユズナ、ゼフィルートの6人で囲っていた時だ。

「さてと、みなさーん。お話ですよ~。これからどうしますですかね?」

 ワオリがみんなを前に言った。すると左隣に座るウミミンが注意する。

「ワオちゃん、それはワオちゃんが決めて皆に意見を求めるべきだよ。」

「あ、そうでした!という事で皆さん、さっきのは無しですよー。」

 その言葉に笑いが起こる。ようやくみんなもこの間のショックから立ち直ってきたようだった。

「まぁ、そうやって意見を聞こうとするのは大事だよね。」

 ワオリの右隣でナッチョンが笑いながら言った。その前でバオがうんうんと頷く。

「そうだね。それで実際に話を進めるけど、ライディンの町はどうするの?いつまでもここに留まるわけにはいかないだろうからどこかで改めて拠点を作る必要があると思うけど。」

 ユズナが匙を置いて尋ねた。前の戦いの後、ライディンは廃墟のままである。そこにいたリズィアンら特級悪魔たちはすでにいないが、再び攻め入るだろうと言う事で周囲を悪魔たちが徘徊している。

 するとワオリはグッと拳を握って、

「もちろん取り戻すですよ!」

 その想いは変わらなかった。その想いにユズナはうんと頷く。

「そうね…、分かったわ。そうなると、あの地にいる悪魔たちを倒さなきゃだけど、昨日ちょっと偵察に向かったら周辺にゴブリン達もいたわね。」

 それを聞いてバオが不安がる。

「どれくらいいそうですか?」

 目の前でワオリが真剣な顔で尋ねた。しかし偵察のヤーグは翼を傷めて飛べないし、他の者ではとてもじゃないが調べに行けないだろう。

「ん~、こちらから見た感じは数千はいるんじゃないかな?あくまで町の外だけだよ。町の中までは近づけなくて確認できなかったから。」

 ライディンの周辺にゴブリンたちが巣を作って徘徊している。

「それじゃ下手すれば1万はいるって事じゃないの?」

 ナッチョンが驚きを見せる。その声が大きいために周囲の者達が視線を向けた。皆、その数を聞いて不安が表情に現れていた。

「あ…ごめん。」

 まだそうした情報を知らせるには早いと思ったナッチョンはつい口走ったことを謝った。だがそれをワオリが慰める。

「大丈夫ですよ。いずれは知らなきゃダメな事です。それより、ライディンを取り戻すための手段を考えなくちゃですよ!」

「その通りだよ。何より今回は全部を倒さなければならないんだから、それを考えましょう。」

 ワオリに続いてユズナがみんなに聞こえるような大きな声で言った。その声に周囲の者達は緊張をしながらも納得の表情を浮かべた。そこで魚介スープを飲み終えたゼフィルートが匙を置いて発言する。

「先に考えられることを言うが、多分敵はそこに居る数だけでは済まないだろう。前回の後の増援分は考えておくべきだ。」

 ダンガ一人に襲い掛かった大軍。ダンガが奮闘してかなりの亜人や悪魔を殺したが、この大陸中に敵はいるのだから更に多くの数が来ると考えてもいいだろう。

「町の外でいるという事は、あちらは攻めてくるという事を分かっている証拠だ。ワオリたちにすれば故郷であるが、大陸の位置などを考えれば重要な位置にある。だからあの町を手に入れられたら、この大陸の侵攻がずいぶん楽になるだろう。」

 海路が使える南の要所。そこから東の内海や北へ進行することが容易になることから、是非とも奪還すべき場所だとゼフィルートは考えていた。

「そのためにはこちら180名で最低でも2万の敵と戦わなきゃいけないんだね…。そんなの無理だよぉ~。」

 ナッチョンが弱気に発言した。当然他の者達も同意見だった。

「だけどダーケルハイトも絶対数では負けてたけど、戦いには勝ったんだよね。」

 ユズナが呟いた。それを聞いて皆の視線が向かう。4大公の一人パルドスの根城を攻めた時は50名で数万もいる城へと攻め入ったのだ。

「だからしっかりと作戦を練っていれば出来ないことはないよね…。」

 それはある意味無謀なことだと自分で分かっている発言だった。だけど、作戦を任された以上は可能な限りの手段をとっておきたいと思う。そうでなければあの時一人で残ったダンガへ顔向けできないからだ。

 ユズナは周囲に意見を求めた。しかし、誰もが考えはするが口を開く者はいなかった。ダーケルハイトは奇襲が功を奏した。でも今回は廃墟となった町を奪還するために殲滅が目標とされる。しかも相手は攻めてくることを前提に滞在しているのだ。それでは生半可な意見など通じる訳がないと皆が思っていた。

 そんな中、それまでパンを齧りながら様子を見ていたウミミンが視線を入口へと向けた。それに気付いてユズナも見つめると、突然扉が開きそこから三匹の猫が入ってきたのだ。否、猫というにはウミミンほどの体格をしており、三匹とも二足歩行している。円らで大きな瞳の愛らしい顔立ち。三毛と黒毛と白毛の三匹は部屋に入るとまっすぐウミミンへと歩いてくる。

 あまりに自然で敵意を感じられないものだから誰もがじっと見つめてしまっていた。いや、ゼフィルートだけがユズナを守るように体を向けたが、やってきた三匹にウミミンが立ち上がって迎える。

「おかえり~。首尾はどう?」

 すると先頭の三毛が口を開いて喋った。

「ただいまニャご主人様。言われた通りやってきたニャ~ 。」

「喋った!」

 バオが頬を染めて呟いた。明らかに猫たちを愛でたがっている。同時にユズナも口元を押さえながら頬を染めている。

「ごくろうさま、ありがとね~。」

 労うウミミンに頷く三毛猫。その後ろにいる少し小柄の黒猫はその緑の瞳でじっとウミミンを見つめており、白猫は各テーブルにある皿を赤い瞳でじーっと見つめていた。

「さんごちゃんがお腹空かせてそうだね。ナッチョちゃん、この子たちにスープ貰っていい?」

「う、うん…良いけど…何なのその3匹…?」

 ナッチョンが驚きのまま尋ねると、その隙にバオがすごいスピードでスープを用意に走った。その間にウミミンがみんなに説明をする。

「紹介するね、ウミミの分身体たちだよ。」

「分身体?」

 ゼフィルートが尋ねる。それに頷き一つで説明を再開するウミミン。

「そう、ウミミの魔力を具現化した子達だよ。この三毛が『みぃちゃん』黒が『じょんじー』白が『さんご』。ほら皆ご挨拶して。」

 すると三毛のみぃちゃんが両手を顔の横に上げて、

「みぃですニャ。よろしくですニャ。」

と挨拶する。その両手の肉球にワオリは興味津々だ。続いて、

「さんごニャ~。」

 白毛のさんごが挨拶するが、その瞳はスープの魚介を捉えて離さない。そして最後に、

「じょんじ~…」

 それだけ言うとじーっと正面を見つめる。無口なタイプのようである。

 それが終わった時、バオが器用に3枚の皿を持ってきて空いたテーブルにそれらを置いた。

「ネコちゃんたち、どうぞ食べて!」

 興奮した様子で進めるバオ。どうやら猫が好きらしい。

「ありがとうバオちゃん。ほら、ご馳走になってきなさい。」

 ウミミンに言われてみぃちゃんが代表して礼を言うと、三匹はテーブルのスープ皿に顔を近づけて舐め始めた。その辺りはネコなんだなぁと思うが、その愛らしさにバオは頬を染めてすぐ傍で見つめ、愛らしい物好きなユズナも視線を奪われている。ワオリやナッチョンは物珍しそうに瞳をキラキラさせている。

 そんなみんなの視線が猫たちに向けられる中、ゼフィルートは椅子に腰かけてコップを持つウミミンに尋ねる。

「あの猫たちに何かさせていたのか?」

 するとウミミンはニヤッと笑う。

「さすがよく見てるね。あの子たちにちょっと偵察と一緒に仕掛けをお願いしていたんだよ。」

「仕掛け?」

「うんそう。これでライディン奪還は少し楽になったはずだよ。」

「何をしたんだ?」

「うん、実はね…」

 皆が猫たちに見蕩れる中、ウミミンの話を聞いたゼフィルートは耳を疑った。

「出来るのか?そんなことが…。」

「うん、問題ないよ。」

 当たり前のような返答に目の前の少女の才能に驚愕するゼフィルートだった。

「それが本当なら、この作戦は必ず成功だな。」

「まぁ、せっかく仲間に入れて貰ってるから任せてね。」

 二人だけの会話の後、改めて皆に説明されると、誰もが驚きそして期待した。

 新制されたナチュラルフロンティア。その開幕戦の火蓋がいよいよ切って落とされようとしていた。


お読み頂きありがとうございます。


この軍はナチュラルフロンティアという名前になりました。

この名前は色々考える中で浮かんだのですが、自分では気にいっています。

それとウミミンですが、いよいよ次回その力がお披露目されます。

同時にワオリも大きな経験を積んだことで、一段回大きくなった成果を見て頂こうと思っています。

もちろん、ゼフィルート達も今まで以上に活躍する予定です。


なによりも、今回出て来た猫たちは色々やっちゃいそうです(笑)

猫たちの名前に関しては、あるゲームの友人に貸してもらいました。

それぞれの猫に活躍させるつもりですので、楽しみにして頂ければと思います。


次回戦闘回ですが、少し内容が大きくなりそうですので2回に分けるかもしれません。

何にせよ、楽しんで頂けるよう励みますのでどうぞよろしくお願いします。

それではまた次回まで、失礼します。

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