招かざる悪魔(序章)
惑星エアルス。神々が作り上げた光天歴は1000年を迎えて終わり、新たな時代は悪魔たちによる魔天歴へと変わってしまった。
世界のほとんどが亜人たちの闊歩する悪魔の大地と化し、絶望の中に生きる僅かなヒト達。
それから時は過ぎて1005年。
ナハトイデアール大陸のライディンに住んでいた一部の者達は、何とか南の森に姿を隠して日々を送っていた。その中で手に入れた情報を基にシュラハティニア大陸東部にある「エスケリト城」へとワオリたちは進軍し、見事に城を攻め落としたのだった。
無事にエスケリト城を奪い取ったワオリ達。
2隻の船でナハトイデアール大陸南の森に作っていた隠れ家と行き来しながら、20日かかって300人弱の仲間が城へと集まることが出来た。
その間に石造りの城や門を補強し、周囲に柵囲いを作って侵入を防ぐ手立てを設置した。
幸いにもその間に亜人たちからの攻撃は無く、無事に再会できたことと新しい拠点を祝って皆で宴を開くことにした。
幸いにも周囲の森に動物が生息しており、木の実などもあって食事の問題は無さそうだった。
「ワオちゃーん。」
船を下りてきた仲間たちの中、ワオリの姿を見て駆けてくる一人の獣人。もしゃもしゃした毛玉の耳と、同じもしゃもしゃした毛玉の尻尾を有する少女。走ってくるとそのまま勢いよくワオリに抱き付いた。
「良かったよー。無事でよかったよー。」
ふらつきながらもしっかり受け止めたワオリは、その少女を抱き締めてうんうんと頷く。
「うん、また会えてよかったですよ、ナッチョン。」
「ぶー、もっとこぉ感動的な言葉を言うのだー。」
しみじみ言うワオリに怒って見せる『ナッチョン』と呼ばれた少女。明るいこの少女はワオリと同い年で、隠れ家に入ってから知り合えた少女だ。
西の方で住んでいたが亜人たちの襲撃に遭い、危ない所を丁度通りかかったレイラの海賊船に救われて隠れ家へとやって来た。
何かと明るく、塞ぎこみ易かったワオリに明るく接してくれた優しい少女は今では一番の友達だ。只とにかく捲し立てるかのように話してくるため、どう言えば許してくれるのかと思案するワオリ。するとナッチョンはにっこり笑うと体を放してその両手を握った。
「ごめんごめん、嬉し過ぎて勢い止まらなかったよ。
でも、ありがとうねワオちゃん。無事でいてくれて。」
そう言ってにっこり微笑むナッチョン。だからワオリも同じくにっこり微笑んで返した。
「うん、ナッチョンも無事でよかったですよ。」
「なるほど、ならば私の出番なのだー!」
いくつかの食材を前にナッチョンが張り切る。そして瞬く間に食材を切り分けると焼き物を用意する傍らで、木の実などを磨り潰してソースを作り、サラダにかけて一皿作り出す。
戦いなどはてんでダメなナッチョンだが、料理は凄腕で隠れ家一の料理人となっていた。
再会を祝して宴を催すと聞いて、用意してくれていた食材を前に張りきったナッチョン。他のメンバーと共に調理し、本人曰く簡単ながら8種類の大皿を用意した。
それらを前にして我慢できなくなったメンバーは、城の屋外で集まって今か今かと料理と睨めっこする。
「まずはこの戦いで命を落とした者たちに黙祷するですよ!」
そんな皆を制するのはワオリだ。そう言われて皆は一度気を引き締めて背筋を伸ばす。そしてみんなで暫しの黙祷を捧げた後、ダンガの号令で一斉に料理にありついた。
「うん、やっぱり良いねぇ~。」
ジョッキ片手にレイラがやって来た。歳を重ねて色気を増したレイラ。同時に「海賊女王」と呼ばれるまでの存在になったが、悪魔たちによって多くの仲間を失い、今は2隻の船と100名に満たないクルーしか残っていない。本人も左腕を失い、今は義手を填めている。
「レイラさん、お酒をありがとですよ。」
「いやぁ何、こちらも料理を頂いてんだ。それにこうした宴に酒がないのは寂しいからねぇ。」
ワオリのお礼を受け、そう言ってジョッキを煽るレイラ。
「いいなぁ~、私も飲むのだー。」
「やめろ、お前はまだガキンちょだ。」
「ガキンちょゆーなー!」
ナッチョンがそっとコップに注がれてる酒をとろうとしたが、ダンガがスッとさらって飲み干してしまう。それを見て怒るナッチョン。
そんな様子に笑みを浮かべていると、レイラが問いかけた。
「ワオリ。今回は上手く行ったけど、これからどうするんだい?」
そう聞かれて少し考えるワオリ。
「ひとまずは、この城の防御を強くしたいですよ。攻めて来られることもあるでしょうから、しっかり守れることを考えなきゃです。
そして部隊を作ってジャバルヴァースに行きたいと思ってるですよ。」
かつてドワーフが住んでいた地下要塞都市。そこが破れたことから悪魔たちが復活したのだった。
それを聞いてレイラが眉をひそめる。
「もうあそこは亜人だらけというか、悪魔の根城になってるんじゃないさね?」
「ですね~。でも、今どうなってるかなど全く分からないです。だから行けるとこまで行って、情報を得たいと思ってるですよ。」
「なるほどねぇ。確かに情報が不足しちまってるねぇ。亜人共がのさばって、世界中がどうなってるかなんてわからないもんねぇ。」
レイラが言うとおり、魔陰暦になってヒトの繋がりは消えたと言える。
多くのヒトが亡くなり多くの町が消えた。それによって連絡が取れず、情報も全く入ってこない。風の精霊による『伝信』も、精霊が怖がって使えない世界となっていた。
「あたいらもアジトを追われ、今じゃ遠くへ行く事も出来やしない…。情けない事さね…。」
そう言ってジョッキの残っていた酒を一気に煽った。
「でも、レイラさんがいてくれて心強いですよ。こうして無事にこっちの大陸にも来れたですから…。」
ワオリが少し憂いた表情をした。皆で過ごした街から逃れ、更に遠い海を渡って逃げてしまった。母の仇を討つ事も出来ず、逃げている状況に悔しさがある。
そんなワオリの頭に手を置くレイラ。そしてその頭をくしゃくしゃと力任せに撫でる。
「そんな顔したらダメさ。あんたはよくやっている。それは皆が認めてるんだ。この移動は立派な決断だよ。
あのグランデュシュテルンも島である皇都だけしか残ってないんだ。エルフたちも引っ越しちまった以上、あの大陸にいたら亜人よりも悪魔どもに喰われてたよ。ならこうやって居場所を作っていくしか道は無いさね。」
くしゃくしゃになった髪を手櫛で整えながらワオリは頷いた。
「そうですね…。出来る限り仲間を集めて、またあの地へ戻れるようにしなきゃです。」
「うん、その意気さね。」
レイラは微笑んだ。この小柄な少女に皆が頼ってしまっている。偉大なるマドカという母親から生まれたために、その子に頼ってしまう大人たち。当初はダンガがまとめていたが、次第にワオリにその責務を移していった。一度酷ではないかとダンガに尋ねたが、この子は素質がある。だからこそ支えながら育ってもらうと言っていた。
獣人たちの考えは分からないが、その思いに応えようとワオリは懸命に頑張っている。だからこそレイラも手を貸すことにしたのだ。
そうこうしながら、久方ぶりの宴に皆が楽しみを感じた。
「さて、それではそろそろよろしいかな?」
突如として発せられた耳触りの悪い声。その声にそれまで楽しんでいた皆の気が引き締まる。
「あぁ、せっかくの宴の邪魔をしてしまったか。だが、もう十分楽しめただろう?」
そう言って空いた場所に降りてきた有翼の巨体。2mの身長で下半身は黒い毛に覆われ、足先は蹄がある。そして上半身はゴリラの様に胸板が硬化しており、腕も同じく太く長い。そして顔はカエルだった。サソリのような尻尾もあり、見るからに異様である。
それまで陽気に楽しんでいた者たちが急いで身構える。ぐるりと戦闘員たちが囲むと、ナッチョンたち戦えない者は城の中に退避した。
「貴様だけか?」
ダンガがワオリの横に来ると語りかけた。それに対してカエルの口が開いて答える。
「もちろんだ。お前たち如き私一人で十分だ。」
殺気が籠る。それを手を挙げて制したダンガは続けて問うた。
「さっきの言い方だと随分前から見ていたようだが、何故いきなり攻撃しなかったんだ?」
それを聞いてカエルの顔が忌々しげに笑った。
「それは面白かったからだ。」
「何?」
「君たちがここを攻めた時から見させてもらった。海上から砲撃し、そして南北から挟撃で僅かな手勢ながら見事な襲撃だった。
それから暫く見せて貰ったよ、どんな事をするのかとね…。」
それを聞いてレイラが驚いた声で言う。
「あれを見ていたというのかい?」
「その通りだ。偶然夜空を見ながら飛んでいたら、船がいることに気付いてね。それでしばらく様子を見ていたのだよ。そしたら城が落とされた。いやはや、久々に楽しませて貰ったよ。」
自分たちの仲間がやられるのを見ていたという言葉にその場の皆が怒りを見せた。
「仲間がやられていると言うのに黙って見てたと言うことですか?」
ワオリが問う。その言葉にカエルはさも当たり前だと告げる。
「当たり前だ。久々にヒト共が動いているんだ。楽しまない訳にいかないだろう。それにあのような輩と同一にしないでくれたまえ。あれは放っておいたら勝手にここに住みついただけの事。仲間などと思った事も無い。」
その言葉に驚く半面、自分たちが悪魔という種族について何も知らないんだと気付いた。
「…それじゃあなたは一体だれですか?」
ワオリの問いにカエルはハッとすると愉快気に笑って言った。
「はっはっは。これは失礼。私は『バーロン』。お前たちが言う所の『上級悪魔』だ。」
それを聞いて皆が戦慄する。ライディンを落した悪魔は中級が3体だった。そしてそれらを指揮する一体の悪魔大将軍。
あの時の中級悪魔の強さに誰も太刀打ちできなかった。それよりも高位の存在。つまり力は上である。
聞いて震えだす者もいるが、怖気ずに闘争心を剥き出しにする者もいる。
「ふむ、私に敵わないと知っても戦おうとするのか。」
カエルが感心した様子を見せる。それにダンガが答えた。
「我らはお前たち悪魔を倒して、再び自分たちの生活を取り戻そうと決めたのだ。逃げるならば最初からこの城を攻めたりはせぬっ!」
それを聞いて悪魔はほくそ笑んだ。
「うん、立派な主張だ。それに免じていきなり殲滅することは止めてあげよう。しっかり力の差という物を教えてあげようじゃないか。」
「ぬかせっ!」
バーロンの言葉に怒りを見せて若い獣人たちが襲い掛かる。その鋭い爪が襲い掛かろうと言うのに悪魔は身動きひとつせず、笑みを浮かべたまま立ち尽くした。
「貰った!」
繰り出された拳。振り下ろされた腕。それぞれに硬く鋭い爪があり、亜人たちを屠った自慢の武器だ。それらがバーロンに届いたかと思った瞬間、僅か数センチの間に目に見えない壁があり、それぞれの攻撃は弾かれた。
「なにっ!?」
驚きつつも攻撃を続ける3人。先ほどとは場所を変えて更に力強く仕掛けるが、どれもバーロンの薄皮一枚にさえ届かない状態だった。
やがて埒が明かないと分かり下がる3人。するとカエル顔は愉快気に笑みを浮かべた。
「おや?もうおわりかな?」
そう言うと埃でも払うかのように肩や胸元を掃って見せた。
「…攻撃が効かない?」
今仕掛けた狼の若い獣人が驚きのまま呟く。それに乗じて仲間たちも驚いた表情で悪魔を見た。するとバーロンは2度頷いて見せる。
「そう。我ら悪魔はその身に魔力を持って様々な障壁を纏わせている。階級が上がるにつれてその障壁効果は多く強くなる。今お前たちの攻撃を防いだのはその障壁の一つだ。
障壁に攻撃を通せない以上、お前たちは私に傷を負わせる力を持っていないと言うことなのだよ。」
それを聞いて愕然とする一同。驚愕し、そして戦慄する。戦えぬものは恐怖を感じ、その怯えた表情を見てカエルは愉悦する。
「そう!その顔だ。その顔が見たかった。恐怖に怯える表情は実に気持ちが良い。」
悦ぶバーロン。そしてそのまま両手を広げてみせた。
「さぁ、かかって来なさい。更なる絶望を見せてあげよう。」
あからさまな挑発だが、獣人たちはかかって行く。その傍らでダンガがワオリ達を逃がそうと話しかけた。
「お嬢、今のうちに逃げろ。」
「ダメです。皆で一緒に行こうと言ったですよ。」
「だが、このままでは…。」
「どの道、あの悪魔は逃がす気ないですよ。ならばみんなでやれる限りやるですよ。」
そう言うと後ろにいるナッチョン達に視線を向ける。恐れているが、ワオリの視線を受けて大きくはっきりと頷いて見せた。
怖いが、本当ならすでに終わっていたかもしれないのだ。それにここで逃げてもすぐに捕まるのは目に見えている。ならばみんなで一緒にという気持ちが彼ら彼女らにはあった。
「ここで終わるのは悔しいですが、そうならない為にもがんばるです。」
そう言うワオリにダンガはもう言葉は無かった。
「分かった。ならば奴を倒して突き進むのみ!行くぞ、お嬢。」
「はいです!」
心を一つにしてワオリ達はバーロンに挑んだ。
皆が懸命に力を尽くす。
一人を相手に束になって掛かって行く。
そして戦えぬ者たちは陰から見守り、声援を送る。
そして時は経ち、そこには一体の悪魔が立ち尽くし、周囲には満身創痍となった獣人たちが横たわっていた。
「ハハハハハ、よくぞ挑んだと褒めてあげよう。逃げることも考えるかと思ったが、皆がも逃げずに挑んできた。敵わぬと知りながら挑むとは哀れだ。」
上機嫌で叫ぶバーロン。周囲の者たちは息絶え絶えで、もう立つ事も出来ぬ程に疲弊し、重傷者は虫の息という状態だった。城もバーロンの攻撃によって壁は崩れ、その破片や戦いの余波に当たって闘えぬ者たちも倒れている。
数名に至っては既に息を引き取った者も…。
「せっかく出て来たと言うのにこんなにも早く終わってしまうとは、余りに惨い。しかし城の一つは落としたのだ。王が復活成された後では初めての偉業だ。誇っても良いぞ~?」
バカにした物言いだが、最早それに言い返せるだけの余裕はなかった。
「それにしても、よくまぁこの程度で私たちと戦おうなどと思ったものだな。怖いもの知らずとはまさにこの事。隠れていればまだ生き続けられたと言うのにな。」
そう言って言葉はある方向へと誘い始める。
「生きていればもう少し力を蓄え、そして情報を集める事も出来ただろう。そのまま生き続けて暮らす事も良かったかもしれん。
なのにこうして皆で現れ、そして私の手で倒れた。誰がそんな愚かな提案をしたのだ?その者のせいでお前たちはこうして死を迎える羽目となっている。哀れな者たちよ。かような愚策を用いた扇動者のせいで死なずとも良いのに死を迎えるとは、余りに哀れだ。」
バーロンは死に行く者たちの感情を仲間内にぶちまけさせようとしたのだ。既に「恐怖」や「優越」という悦ばしい感情は得た。そして更に得たいと思ったのが「憎悪」であるが、そこに「裏切り」というトッピングを与えると尚更美味しい感情になると思ったのだ。
退屈になってきた中で遭遇したイベントに、最大級の愉悦を得ようとした「悪魔のささやき」。それによって心弱き者は憎しみの感情が芽生え始める。
(悦い…非常に悦いぞ!このまま活かしたとて生気ない者など楽しくも何もない。だからこそ、ここで全てを頂くようにせねばな…)
そう思いながら、ヒト達の憎悪を楽しく見ていた。
だが、ここで思わぬ事が起きた。
普通このような責められる状況になると、自分は違うと逃れようとするものだ。それがまた後ろめたさとなったり「欺き」という感情となって楽しめるのだが、一瞬にしてささやきの効果は消え失せる。
「あたしですよ・・・。」
バーロンの目の前に横たわるイヌ耳の少女。プルプルと震えながらも体を起こそうと動き出す。そして更に言葉が発せられた。
「あたしが決めたですよ。…みんなでまた平和な暮らしをしようって・・・。」
そう言って向けた顔。まだ幼さ残る少女の大きな瞳は、悪魔を睨みつけていた。
「ほぅ、こんな幼い子供が…。ならばお前はこれだけの仲間たちを道連れにしたと言うのか?」
「そうですよ。」
バーロンの問いにあっけらかんと答えるワオリ。そして少女は母の形見を杖代わりに身体を起こした。
「あたしだけでは、何もできなかったですよ。お前たちに町を壊され、お母様や仲間たちも殺された。悔しくて悔しくて、ずっと何とかしたいと思って来ました。
そして今回、この城が攻めやすいと情報を受けたから、あたしは皆にお願いしたですよ。
『みんなでまたあの町に戻ろう』って。
だからあたしがみんなを誘ったです。だからあたしがみんなの悲しみや悔しさを引き受けるですよ。」
そして立ち上がるとよろよろとバーロンに向かって歩いて行く。
「お嬢、ダメだ…」
倒れ伏せたダンガが止めようとする。その声に周囲からも止めようとする声が生まれる。
「ワオリ様、逃げて下され」
「ワオリ様が居たから頑張れたんだよ。」
「お嬢様!」
「ワオリさまっ!」
動けぬ者たちが懸命に少女の名を呼ぶ。そこにあるのは「敬愛」という仲間を想う心。その優しく温かな感情がワオリを支え、逆にバーロンは忌々しく思う。
「止めろっ、気持ちが悪い。お前たちはもう終わろうとしているのだ、こんな小娘一人に踊らされてな!」
そう吐き捨てるように悪魔が言うが、仲間たちはズタボロになりながらも、心は安らかにそして清らかで居られた。
「違う」
「これは俺たちの意思だ。」
「こうしていられるのはワオちゃんのおかげだよ!」
「そうさね、皆ワオリを慕って勝手にやってるのさ。」
「むしろ、まだ幼きお嬢に背負わせてしまって我らが情けない位だっ!」
ダンガはそう言うと立ち上がろうとし始める。それに乗じてレイラや戦うメンバーのほか、手を取り合ってナッチョン達も立ち上がろうとする。
そうした光景にバーロンの表情が険しくなった。
「貴様か、貴様がこの不快なものを生み出したのかっ!」
長い腕が伸び、ワオリの頭を掴んで持ち上げた。
「ぐぅっ!」
痛みで呻くワオリ。そして周囲が何とか助けようとするが、今だ起こせぬ体に声しか発せられない。
「此奴を殺せばお前たちは絶望を覚えるのか?ならば目の前で見せてやろう。そして絶望を私に見せよ!」
「やめろーっ!」
バーロンの腕に力が入る。仲間たちが悲痛に叫ぶ中、ワオリは思った。
(お母様、ごめんなさいです。あたちはがんばったですがここまでです。どうか赦して下さい…)
思い浮かぶは優しかった母の顔。その母の顔が笑顔を見せた。
「おかあさま…」
お読み頂きありがとうございます。
第2部からは内容によって短かったり長かったりすることになりますが、
物語の区切りが良い所で切るためという事でご了承ください。
第1部では平均して1万~1万5千内の文字数でお送りしてきました。
そうしたいのは山々ですが、こちらは世界観がガラリと変わっているため、
区切りを適切に使って行こうと考えております。
その分、早めに掲載できるようになりますので、その辺りでご勘弁くださいませ。
さて前回から続いての2話目です。
今回は新たなキャラを出したものの、早くもピンチという状況ですね…。
一体どうなるのか?それは次回にという事にしておきますね…。
それではこれからもどうぞよろしくお願い申し上げます。
また次回まで。




