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The Law of the World  作者: k2taka
第1部
36/93

隠れ郷 (20年前の真実)

様々な出会いと別れを経験しながらリオンの旅はいよいよ最後を迎える。

姉シーニャと再会し、あとは故郷を失くしたコロプクルの3名を多種族の集落へと連れていくのみ。

やがてリオン達は最後の森に踏み入るのですが、そこで突如奇妙な空間に入り込んでしまいます。

さて、この空間とは…?

 舞台は再びナハトイデアール大陸に戻る。2頭の馬によって北へと向かっていたリオン達一行。

 やがて森に差し掛かると速度を落とし、馬車が通れる道を選びながらゆっくりと進む。

 当然木が行く手を阻む場所もあって迂回もするが、大地の精霊と会話できるエフェメルによって方向を見失うことなく着実に進むことが出来た。

 途中で森の獣と遭遇することもあったがリオンの一睨みでそのほとんどが逃げだし、あるビッグボアに関しては、エフェメルが子供を守ろうとしていることを感知して自分たちの方から離れてやることにした。

 特に問題(エフェメルがリオンにちょっかい出してシーニャに怒られる件は別)なく進む中、一行は不思議な感覚に捕われた。

 先に気付いたのはパァム。

「あれ?」

 パァムがきょろきょろし始めると、ポォムも同じように辺りを見回し始めた。それからすぐ馬車が停まり、運転席にいたリオンも周囲を見回す。

「なんだこれ?」

 見る限りは昼間の木漏れ日照らす森の中。木々が並び、これと言っておかしな様子はない。だが何かが違った。言うなれば晴れている中で雨の湿気を感じる様な感覚だが、その気は魔力に感化してくる。

「どうしたの?」

 魔力とは縁のないシーニャは皆を見回す。ミムジアナとマフモフもあまり魔力に縁がないため不思議そうだ。

 するとサーシェスが気付く。

「これは…結界ですね。」

「結界?」

「ええ、今この場所は魔力による結界が張られています。」

 シーニャが尋ねたのにサーシェスは応えると、運転席側の扉を開けて外を見る。

「やっぱり・・・。結界の魔法が漂っています。」

 するとエフェメルが強張った顔で呟く。

「まさか…。」

 いつもの悠長な感じは無く、その表情は危機感が表れていた。

「エフィー、何か知ってるの?」

 サーシェスの問いに答えることなく、エフェメルは装備を手に外へ出た。そして警戒しながら周囲を見ていると、瞬時に地面へ手を付けたエフェメルはランドゲイザーの魔法を唱える。

 その魔法によってエフェメルの目の前に地面が隆起し、向こうから飛来した矢を防いだ。

 すると木の上から突如ヒトが下りて来たかと思うと、エフェメルに向かってナイフを斬り付けて来る。咄嗟にエフェメルはレイピアでそれを防ぐと、相手はそのまま蹴りを放ち、そのまま接近戦が始まった。

 相手の放った蹴りを防いで少し間が空いた途端、エフェメルへ無数の木の弦が伸びてきて、その手足を縛りつけた。

「ううぅ・・・。」

 両手両足を縛られて大の字に身体を固定されるエフェメル。すると襲って来た相手ががら空きになったエフェメルにナイフを突き立てようと振り下ろす。

「ガシッ!」「リオン君!」

 そこをリオンが走り込んで相手に跳び蹴りを入れた。吹き飛ぶ相手はそのまま近くの木にぶつかり気を失った。

「!!よくもっ。」

 そこに2人のヒトが現れるとリオンに攻撃を仕掛けようとした。それに合わせてリオンは構えた所、周囲に響き渡る様な声がした。

「やめよっ」

 その声に迫ったヒトは動きを止める。そして持っていた武器をしまうと片膝を付いた姿勢で頭を垂れた。

 ここにきてリオンは改めて迫って来た相手を見た。先に吹っ飛ばした相手も入れて3人共が細身であった。長身で白い肌にさらさらとした金髪だ。何より目をひくのはその耳。エフェメルのように長くとがっている。

 やがて先ほどの声が囁くように言った。

「聴こう、黒き肌の者よ。何故この地に足を踏み入れた。」

 柔らかな声の中に有無を言わせぬ威圧感があった。その声にエフェメルは丁寧な口調で答える。

「突然入ってしまったことは謝ります。私たちはリュナエクラムへ向かっておりました。まさかこちらに居るとは思わず、侵入してしまった所です。」

 その口調にリオンは知っているのかと思った。しかも目上の人のようだ。

「ほぅ、お前たちの郷はこちらとは真逆の地にあるだろう?なぜここを通る必要があるのだ。」

「私は郷を出ております。そして事情によりリュナエクラムまでヒトを送っているのです。故にこのまま通らせて頂けませんか?」

 そう言った途端、前に控えていた者が声を荒げた。

「黙れっ!御方様の質問だけにお答えせよ。」

 面を上げたその顔は美形だった。細長い顔で彫りの深いその顔がエフェメルを睨みつける。リオンがムッとして構えようとしたが、声がそれを制した。

「止めよ。わらわが話しておるぞ。」

「ははっ、申し訳ございません。ご容赦を!」

 血相を変えて再び平伏す男。

「よい。…さて黒き肌の者よ。そなたは今ヒトを送ると申した。それはそこにいる者の事か?」

 リオンは自分の事かという風に右手で自分を指す。それを見ながらエフェメルは否定した。

「いいえ。そちらの馬車に乗っている者です。」

「ふむ、中から珍しい気配を感じるな。姿を見せるが良い。」

 その声に控えていた二人が動こうとするが、リオンがそれを牽制する。

「自分で下りられるよ。」

 そのリオンの言葉に男たちは怒りの表情を見せるが、再び声がした。

「お前たちは控えておれ。それよりフィリップを手当てするのが先じゃろう。」

 そう言われて二人は気を失った仲間の下へ急いだ。そしてエフェメルはリオンに皆を呼ぶよう願った。すると、

「ねぇ、声のヒト。エフェーおねえちゃんを放してくれない?別に悪い事する気はないよ。」

 そう言うと離れた二人は驚き怒りを見せる。同時にエフェメルさえも驚いた。

「ちょっ、ダメですよリオン君。」

「だって、そのままじゃつらいでしょ。それとも縛られてるままが良いの?」

「良い訳ないですよ。そりゃあリオン君が縛りたいと言ったら別ですけど…って、この御方にお願いなんかしたらダメですからね。」

「む~。」

 納得しないリオン。だがすぐにエフェメルを捕らえていた弦は緩み消えていった。解放されたエフェメルは再び驚きを見せたが、その場で片膝を付いて伏した。

「お聞き届け下さり感謝いたします。」

「あ、ありがとう。」

 かしこまるエフェメルの傍ら、リオンはにっこり笑って礼を述べた。

「ははは、これは何とも楽しい者じゃ。お主、名を聞きたい。」

 するとリオンは少し考えてから膨れっ面になって言った。

「ん~、ヒトに名前を聞くときは、先に自分から名乗るのが礼儀だって師匠が言ってたよ。」

 それを聞いてようやく介抱を始めた男たちは怒りを通り越して恐怖に震える。

またエフェメルも「うわー」っと叫びながらリオンを黙らせようとした。

「あーっはっはっはっは。」

 とても楽しそうな笑い声が辺りに響く。それまでと違い大音量の為、咄嗟に耳を塞ぐ一同。やがてひとしきり笑ったあと、その声は応えた。

「ハァハァ…これは愉快じゃ。これほど笑うたのは久しぶりじゃ。

 ウム、お主の言う事はもっともじゃ。良かろう、わらわから先に名乗るとしよう。

 わらわの名は『セルディア・コム・リュヌイール』。この『リュヌイオン』にて長をしておる『ハイエルフ』じゃ。」

「ぼくの名前は『リオン』。よろしくね、セルディアさん。」

 最早エフェメルは頭を伏せて震えるしかできなかった。

 エルフは精霊族であり、細身で尖った耳が特徴のヒトである。ダークエルフと違って肌は白く、身体はスラッとしてスリムな感じだ。そして性格もかなり違う。ダークエルフはエフェメルのようにヒトと親しく接するが、エルフは自尊心が強く、相手を見下す態度がある。

 相反するエルフとダークエルフ。元々は同じ種族だったが、考えの違いから一部のエルフが離れ、信仰する神を換えたことで生活も変わり、その影響から思想や体形なども別となってしまった。

 そんなエルフは長命で、中でも創成期に誕生した者たちを『ハイ・エルフ』と呼び、彼彼女らはこの世界が誕生した頃から生き続けている。そのためダークエルフも道は違えても祖はハイエルフであるため、畏まってしまうのは仕方のない事なのだ。

「うむ、それでは仲間を紹介して貰えるかな、リオン。」

「わかった。まってね。」

 そう言って場所に向かうと、後部の扉を開いて皆を呼んだ。それによってシーニャたちが続々と出て来る。

 そしてコロプクルを見た時、セルディアは納得した。

「なるほどのぅ。北の雪の小人族がかような地まで来るとは。なるほど、この者たちを送っておった訳か。」

「左様でございます。」

 エフェメルが答える。するとその横にサーシャスが進み寄ると一礼した。その後ろにはパァムとポォムが控え同じく礼をする。

「お初にお目にかかります、ハイエルフの長様。コロポクルの長、サーシェス・レナ・ヴィリオと申します。」

「うむ、お初にお目にかかる。遠い所をはるばるようこそ。」

「労いの言葉、いたみいります。後ろに控えるは我が一族の者パァムとポォムです。この度は突然の侵入にさぞ驚かれたと存じます。」

「丁寧な挨拶、感謝する。貴殿が申される通り、突然の事に驚いてな、それで黒き肌の娘に無理をさせてしまった様じゃ。許せ。」

「勿体のうございます。」

 さらに畏まるエフェメル。ここまで緊張して畏まったエフェメルは珍しいと、リオンは注視してしまった。

「それから…ヒトと猫者が2人か。珍しい組み合わせじゃな。」

「うん、僕の仲間だよ。」

 リオンがすかさず答えた。するとしばらくしてセルディアは伝える。

「ふむ、これほどの魔力所有者が集まった事で我が結界に影響を及ぼした訳か…。まぁ、せっかくこうして知り合ったのも何かの縁じゃ。直接顔を合わせるのも良かろう。

 衛士たちよ、この者達を案内いたせ。」

 それに驚いたのはエルフの守衛を任された者たちだ。エルフでは守衛を任された者を『衛士』と呼ぶ。ようやく目が覚めたフィリップと言う者と2名がそれを聞いて畏まる。

「畏まりました。」

 代表であるフィリップと言うエルフが返事すると、二人は引き続き警備を任せて、自分が案内役を買って出た。


 そこからはまるで森が生きているように木々が移動し、馬車が通れる道が現れた。皆が馬車に乗って向かおうとするとき、シーニャがフィリップの腕に傷があるのに気付いた。

「あ、怪我してますよ。」

 そう言って近づこうとした時、フィリップは突如腕を振り払うようにして振り向いた。突然の事に驚いて尻もちをつくシーニャ。それを見てリオンが怒りを見せる。

「あ、申し訳ない。…だが大丈夫なので構わんでくれ。」

 フィリップはそう言うと踵を返す。リオンは文句を言おうとしたが、シーニャに止められ、それで手を差し伸べてシーニャを立たせる。

「大丈夫おねえちゃん?」

「うん、いきなりだとびっくりするよね。私も驚いて足が滑っただけだから。」

 そして立ち上がったシーニャはお尻に付いた土を掃う。そこにエフェメルが近付き耳打ちした。

「シーニャちゃん。ここでは下手に接触しない方が良いですよ。」

「え?どうしてですか。」

「エルフはほんの20年ほど前にヒトと一悶着あったんです。それが未だに解決せずにいがみ合ったままなんですよ。だからここは静かにしておきましょう。

私たちダークエルフも仲違いしていますからね~。」

 せっかくなのに残念だとシーニャは頷くしかできなかった。

 そして馬車に乗り込んだ一行はフィリップの先導で道の先へと進む。窓から眺める外は森のまま。しかし進むにつれて木々が青々としてくる。季節は既に秋も半ばのシーヴァス後半。本来は紅葉に包まれし樹木が見えるはずなのだ。同時に空気も程よい温かさになってくる。

 エフェメル曰く、エルフは森と知恵の神セイバスを崇拝し、ハイエルフはセイバスより多大な恩恵を受けた種族である。それによって森を思い通りに操る能力を持っているらしい。それでエルフたちは自分たちに適した気候で日々を送っている。


 やがて森を抜けてエルフの郷に着く。背の高い木々が立ち、木の枝が絡み合って足場を作り、そこに住居を構えている。階層を設けており、らせん状に木の幹に階段が設けられている。またすぐそばには大きな泉があり、様々な光が泉の上を舞っていた。

 その様子は幻想の世界を思わせる美しさがある。そして郷のエルフたちが泉の水を汲んだり、木の実を齧ったり、はたまた竪琴を奏でたりして優雅に生活している。

 だが、馬車に気付くと一様に気を引き締めて殺伐とした雰囲気に変わる。そしてフィリップの姿を確認すると、再び先程の作業などを行う。

「何だかすごく睨まれてる気がするんだけど。」

 馬車の中でシーニャが呟く。するとエフェメルがその肩を抱く様に寄り添う。

「馬車に乗っていても、精霊族なのでそこに何がいるかを精霊たちが嗅ぎ付けるんですよ。一応私たちは御方様にお招き頂いたのでこれで済んでいますが、もしも知らずにここへ迷い込んでしまってたら一瞬にして殺されてしまいますよ。」

 その言葉に身を震わすシーニャ。そんな姿にニコニコしながら抱きしめるエフェメル。

「だぁいじょうぶですよ~。おねえさんがちゃんと守ってあげますからね~。」

 それを聞いて泣きそうな顔で抱き付いてくるシーニャ。それに思わずにやりとしてしまうエフェメル。大人の女性になったとしても、やはりシーニャはかわいくて仕方がないのだ。

「エルフはもう少し温厚な方たちと思っていましたが、少し違うみたいですね。」

 そんな二人を見ながらサーシェスが呟く。パァムとポォムはマフモフと一緒に窓から外の様子を眺めていた。すっかり仲良し3人組である。

「ま、あまり好意的にはなれないでしょうね。ご覧のとおり閉鎖的な空間で生活していますから郷の外に対してあまり興味を持ちません。更には寿命が長く自尊心は高いですから、相手に対して高圧的な態度をとるでしょう。」

「そうなのね…。そう聞くとダークエルフは随分親しい感じに思えるわ。」

 説明の終わったエフェメルを見ながらサーシェスは思ったままに言う。

「あ、正直ダークエルフも似た感じですよぉ。エルフほどではありませんがぁ、閉鎖的ですね~。わたしはぁ好奇心旺盛でしたから~部族の中ではぁ変わり者だと思われてますよ~。」

「ああ、そこは否定できないわね。」

 冷ややかな目で見るサーシェス。視線の先でシーニャを抱きながらナデナデしてる態度を見ると、変わり者と言う部分は大いに頷ける。

「ちょっとぉサーシェス姉さん。そこはカバーするとこですよ~。」

「うふふふふ。」

 笑う隣でミムジアナも笑顔を見せた。ミムジアナたちキャッティアは精霊族と言う種族は良き友人であり、美しく見えるその容姿は憧れの対象である。

 故に好意的に接しようとするも、エルフにしたら無理に相手するほどだとは思っていない。

 エルフとは、言うなれば長い長い時間を勝手気ままに生きる種族なのだ。


 やがて馬車が停まる。その前には大きな大きな巨大樹があり、馬車の前には幅広い階段が並べられている。それを登った先に大きな木造の建築物が建てられ、その巨大樹と同一化している部分も見受けられる。建築物は神社のような形をしており、とても神聖な雰囲気に包まれていた。

 馬車を降りた女性陣はその大きさに口をあげて見上げる。エフェメルも初めて見る木の存在感に驚きを隠せない。

「こちらへ。」

 フィリップが階段脇に控えて登るよう勧める。それでリオンが踏み出すと、女性陣も後を続いた。階段を登りきると大きな入口があり、左右にライトアーマーを着込んだエルフの兵士が立っていた。

 ギロッと睨みつけて来るが気にせず中へ進むリオン。その後ろにサーシェス達が続き、シーニャとエフェメルが入ろうとすると、兵士の持つ槍が行く手を阻むように突き出された。

 睨むエフェメルに対して兵士は怒鳴りつけるように言う。

「神聖なる場へ入れることはまかりならん。」

 すっかりシーニャは委縮して顔を蒼ざめる。そんなシーニャを庇うように立つエフェメルが兵士と睨み合う中、リオンが戻ってきた。

「ねぇ、仕事かもしれないけど、おねえちゃん泣かすなら許さないよ。」

 その声は怒気が孕み、強烈な闘気が兵士に襲い掛かる。それを間近で受けて兵士は震えあがった。しかし自分はこの場所を守らなくてはならないという強い意思があるため、どうにも身動きが取れなくなってしまう。

 そして迫るリオンの右手が槍を掴むとその掴んだ場所が握力によって潰れた。それを目の当たりにしてもう一人が構えようとすると

「よせっ!御方様がお招きになられたのだぞ。」

 フィリップが階下から叫んだ。それを聞いて兵士たちは直立の姿勢を取り直す。リオンは握りつぶした槍を兵士側に放り捨てると、蒼褪めたシーニャに寄りそう。

「だいじょうぶ?おねえちゃん。」

「うん、大丈夫だよリオン。」

 顔は蒼褪めたままだが、何とか歩き始めるシーニャ。エフェメルはホッと息を吐いてからシーニャを支えるようにしながら先へ進んだ。


 入り口をくぐり抜けると、少しの廊下があり、更にそこを抜けると大きな部屋へと入った。様々な光が灯り、漂っている。その一つ一つが精霊であり、その空間を無邪気に遊んでいるようであった。その床は木の板で敷き詰められ、壁もまた木の板だが、天井は遙か彼方まで続く空洞であった。

 そして部屋の奥は大きなソファーがあり、何枚もの白い布が敷かれた上で、大きな体の美しい女性が横たわっていた。白い肌にやや緑がかった長い金髪。エルフ特有の耳は更に長く、顔は言わずと知れた美人顔だ。只その目は閉じられており、寝ているのかと思ってしまう。

 そして横たわる体は彫刻の様に美しく、ダークエルフほどではないが肉感があり、薄布1枚を羽織っただけの姿であった。

 部屋に入り数歩歩むと、エフェメルは片膝を付く。それに倣って他の者も片膝を付き、リオンもそれに倣った。自由奔放と言えど、相手はこの地の偉い方であり、その棲家に来たのだ。それなりの態度を示すのは礼儀だと教えられている。

「御前を失礼いたします。」

 エフェメルが言うと、淡い光の精霊が横たわるエルフの顔に飛んで行く。そして少し彷徨う様に跳ぶと、横たわったエルフが瞳を開いた。深い緑色の瞳が開いた瞬間に訪れた者たちの心を掴む。

 掴まれてしまったシーニャやミムジアナ、子どもたちは美しいと思い頬を染める。一方でそれを抵抗できたリオンは何も思わず、エフェメルとサーシャスは抵抗に力を注いで冷や汗を流した。

 精霊族の女王として生き永らえるセルディアが持つ『女帝の覇気』が発動したのだ。

 そして体を起こしたエルフは再び瞳を閉じて言う。

「許せ。久々に目覚めて覇気を発したままであった。」

 そう言うと周囲の空気が軽くなった気配がした。そして再び目を開くと、先程より淡い色の緑の瞳が輝いていた。

「これで大丈夫じゃな。

 さてよう参られた旅の者たちよ。わらわがセルディアじゃ。」

 そう言うと座り直し、両肩にかかった髪を手で払う。それによってさらさらした金糸の様な髪が流れる様に舞って後ろに落ちて行った。

「ま、せっかくじゃ。畏まらずとも座るが良いぞ。」

 そう言って指先で床を指し示すと、順番に切り株が生えて来た。そこに精霊たちがどこからか白いクッションを運んできて上に載せる。

「ではお言葉に甘えて。」

 エフェメルが言うと、皆が一斉に起立し、目の前に用意された椅子に腰かけた。ふわふわした感じで座り心地が良い。

「それと、門の前で兵士が止めてしまったであろう。怖い思いをさせてすまなかったな。ヒトの娘よ。」

 シーニャに瞳が向けられて謝罪の言葉が送られた。シーニャは「とんでもないです」と言いかけたが、すぐにエフェメルが横から告げる。

「シーニャちゃん。エルフの世界でそこは謝罪を受けるのが礼儀です。ヒトと違って遠慮は相手に対し失礼になります。」

 そう告げられてコクコクと頷くと、頭を垂れて「謝罪頂きありがとうございます」と返した。

「うむ、そう言って貰えて助かる。黒き肌の娘にも手間を取らせたな。許せ。」

「はい。」

 こうして一先ず挨拶を終え、セルディアは右手をあげて空中でピアノの鍵盤を弾くように指を動かせた。するとそれぞれの目の前に木の柱がせり上がり、頂点に丸い板が出来る。その上に再び精霊たちがグラスを置いて、果実水を入れていった。

「喉を潤すが良い。」

 そう勧められて飲む一同。爽やかな口当たりにほんのりと甘さがあり、とてもおいしい飲み物だった。

「さて、来て貰ったのは他でもない。近頃世界が騒がしいと思うてな。話を聞かせてほしいのじゃ。」

 飲み物の余韻に浸る中、セルディアから出された言葉はそれであった。20年ほど前に結界で実際の世界と隔絶しているエルフ。永遠と言う寿命の彼女らからすればそれはほんの僅かな時間なのだが、ハイエルフであるセルディアは何やら気になることがあるらしく、それを問いかけてきた。

「では、私の方から現在の世界についてお伝えいたします。」

 そうエフェメルが言うと立ち上がり、数歩前へ進んで跪く。ちょうどセルディアの手が届く位置であり、ハイエルフの手がエフェメルの頭に触れた。

 見ている者にしたら何をしているのかと思うだろうが、エルフは直接触れ合い許可することで情報の共有が出来る。なので今、エフェメルは隠密ギルドにて得た世界の出来事を知識の範囲としてセルディアに見せているのだ。

 やがて瞳を開いたセルディアは手を除ける。

「ふむ、興味深い内容じゃった。感謝するぞ黒き肌の娘よ。」

「はい、お役に立てて光栄です。」

 エフェメルはそう答えると自分の席に戻った。それを見送ってセルディアはリオンに目を向ける。」

「今知識を得たが、そなたが海魔を倒した事に相違はないかの?」

「うん、実際はたくさんのヒトと協力したけど、師匠に教えて貰った悪魔はぼくが倒したよ。」

 あっけらかんと話すリオンに、セルディアの興味は増す。

「ほう、その悪魔を倒すのがいかに難しい事か、お主の師匠さえも叶わなかった事ぞ。流石に竜の力を秘めし者じゃな。」

 そう言うと、今度はサーシェスへと顔を向ける。

「コロポクルの長よ、事情は知った。心痛を察する。」

 そして目礼した。それに対してサーシェスが姿勢を正して礼を返す。

「お心遣いとお言葉、感謝いたします。確かにあの者たちを思うと今も心痛くなります。されどこうして遺された我らは彼らの為にも生き抜かねばなりません。幸いにもこうして支援下さる仲間がいることに、心から感謝しております。」

 サーシェスの言葉は嘘偽りなく清らかであった。故に周りの精霊たちの光が強くなる。彼らの中には感情を司る精霊たちもいて、そこにいる者の心情を彼らが表してしまう。それだけに嘘ややましい心を持っていると、精霊たちによってそれが晒されて解ってしまう。

 さっきエフェメルがシーニャに言ったのは、精霊が反応を示す為でもあり、遠慮の心は僅かながらの虚偽を示してしまうために、エルフではやましい心だと思われてしまうのだった。

「そうであるな。我らエルフも同族の死については感じることがある。それまで死とは無縁と思っておったが、それを知った時は流石に堪えたモノじゃ。」

「まぁ…。どうか安らかなる眠りをお祈り申し上げます。」

 サーシャスが祈る。それに伴ってパァムとポォム、それにマフモフも倣った。

 シーニャもまたそれに続くが、セルディアは顔をしかめた。それに対してリオンが尋ねる。

「どうかしたの?」

 そう聞かれて慌てて言葉を濁すセルディア。

「いや、少し考えごとじゃ。」

 しかしその周囲の精霊が深い蒼の光を強める。そして僅かに赤い光も・・・。

 如何にハイエルフであろうとも、精霊の光を制御することは出来ない。悲しみの蒼に混ざった怒りの赤。それを目にしてセルディアはしまったと感じる。

 それをエフェメルは仕方ないとだんまりを決め込み、サーシェスは気になりつつそこを踏み込むことはしない。

 だけど双子はその赤を不思議に思ってしまう。

「怒ってる?」

 ポォムの言葉に3人がハッとした。併せてパァムもうんうんと頷く。

 サーシェスが黙らせようとするが、リオンがそこを突いた。

「何か嫌なことがあるの?」

 子どもゆえの真っ直ぐな意見。この時初めてセルディアはやり難いものだと感じた。今までは相手を見抜くために役立っていたが、久々の客を迎えて今更後悔してしまう。だけど、退屈を凌ぐために自分で招いたのだ。今更覆す訳にはいかなかった。

「えっとね、リオン君~。」

 エフェメルが変わりに説明しようとしたが、セルディアが制した。

「よい。わらわが話そう。」

 思いもせずその顔を見つめるエフェメル。するとその顔に憂いある笑みが送られた。

「こうして話すことも意味があるのやもしれぬ。だが、この話で不快に感じるやもしれぬが、そこは許してたもれ。」

 最後の言葉はシーニャに向けられていた。という事はエルフがヒトに対して持つ憎しみの感情についての話だと察する。

「・・・はい。」

 無理に聞かなくてもという思いはあるが、聞いておかなくてはならない気もした。そして覚悟を決めたシーニャは耳を澄ませた。

「うむ。では語るとしよう。

 すでに知ってのとおり、このエルフの郷は結界によって浮世と隔離した世界にある。それはヒトと接することを拒絶したからなのじゃ。

 ある事件によって、我らエルフとヒトは仲を違え、以来我らはヒトを憎む対象と考えておる。」

 そこで一旦話は区切られる。そしてシーニャを見るが、真剣な表情で話を聞き入っていた。特に問題なさそうなので話を続ける。

「知っておるやもしれぬが、20年ほど前に起きた事じゃ。まだその時はこの様に結界などはなく、誰もがこの地に訪れる事が出来ておった。互いにモノの売買などをしておった。

 そんな中で、ある男が村に来た。唄を唄い旅する者だったらしく、この地に来て唄っておった。それを聞き入ったエルフの娘がおってな。やがて二人は意気投合し恋仲となったのじゃ。」

 聴く女性たちの顔が頬を赤らめる。年頃と思いながら続ける。

「互いに惹かれあい、エルフの奏でるハーブの音に男の唄が調和し、それはとても見事なモノじゃった。わらわも聴き入っておったものじゃ。

 やがて、男が旅を続ける日が来る。エルフの娘は引きとめようにも男は訳あって旅をしていたらしく、結局娘は郷を出て男に着いて行ってしまったのじゃ。所謂駆け落ちじゃな。」

 そう言うと女性たちがやや興味を見せた。やはり恋の話は気になるのだろう。

 だがセルディアは浮かない表情になる。そして精霊に合図を送ると、新しい水差しが運ばれた。それをグラスに入れると一気に飲み干す。あまりの荒っぽい飲み方に見ている者たちは唖然とした。

「済まぬな。心落ち着けるために無礼な姿をさらした。許せ。」

 リオン達にもおかわりを運ばせると、話は再開した。

「娘はエルフの郷で高位の者の親族であった。まだ若きエルフの娘が出て行ってしまったことで、そのエルフは男が攫って行ったと激怒し、直ちに娘を追ったのじゃ。

 娘たちはすぐに見つかると思っておったが、実際に見つかったのは半年してから。そして見つかった場所は男の育った町であった。

 直ちに娘を返すように町の長へ願い出た。しかしそれは出来ぬと断られた。理由を聞こうにもその場では誤魔化すばかり。

 それに業を煮やしたエルフは強硬手段として男の住む館に攻め込んだのじゃ。

 それに対してヒトもまた応戦し、町は多くの犠牲を出した。」

 そこまで話すとセルディアは一呼吸置く。聞き入る者たちは顔を強張らせていた。その中で、エフェメルだけは悲し気に俯いていた。

「やがて娘を見つけた時、その娘は衰弱しておった。痩せ衰えベッドに横たわる娘の姿を見てそのエルフは怒り、横にいた男を殺してしまったのじゃ。

 目の前で愛した男が殺される。衰弱していた娘はそれによって心を痛め、この郷に戻されたがそう長くは生きられなんだ…。

 今も覚えておる。あの娘の顔は忘れる事が出来ぬ…。」

 口惜しさにセルディアの表情が曇る。そのエルフの娘の事を思えば、可愛そうで瞳が熱くなる女性たち。

 それでも話は続く。今のままでは色々謎が残るために…。

「そんな娘が衰弱していた理由じゃが、実は娘は子どもを授かっておったのじゃ。」

 その話に聞く者たちはさらに驚きを見せる。

「ヒトとエルフの間で生まれた子。エルフが生まれる時は森の精気を得て、それに自らの精気や魔力を与えて産み出すのじゃ。それを自らの精気や魔力のみで生み出すとなれば、母体にどれだけの負担がかかるか…。

 それを行ってしまったことで娘は衰弱しておった。まだ若い故に子を宿す術など知らなかった娘、そこにヒトが宿させてしまったことで、無理やり子を宿らせたとエルフたちは怒ったのじゃ。

 エルフのしきたりを知らぬが故に、そのような結果が生まれた訳じゃ。」

「そんなっ、それは知らなかったがために起こった悲劇じゃないですか。そんな一方的な怒りは良くないと思います。」

 思わずシーニャが言った。ヒトであるがため、あまりに一方的な態度に怒りも覚える。

 思わぬ言葉にエフェメルは肝を冷やし、慌てて止めようとした。だが、先にセルディアの言葉がシーニャに向けられる。

「確かに一方的じゃ。じゃがな、娘に教えねばならぬ事も教えられずに衰弱しきった姿を見た親の気持ちは何とする?付いて行ってしまったとしても、親としては男に連れ去られてしまったと思うであろうし、今となってはその真意は分らぬ。いくら考えようとも、感情とはどうにも出来ぬものではないかのう?」

 そう言われると言葉が出せなくなる。向こうが一方的な意見を発してこちらが否定してみても、結局それもまた一方的な見解になってしまう。今ここで話を聞く限り、解決などないのだ。

「それとな、何よりこちらがヒトを許せぬことが他にあるのじゃ。」

 その言葉にシーニャは目を見張り、聞くことにする。

「先に結果を申せば、娘はこちらの郷に戻した。だがヒトの町を襲い、それによってヒトに害を成したという事で高位のエルフと共に向かったエルフたちから数名が自刃した。

 これで手打ちとするヒトであったが、こちらは娘の子を返すように要望したのじゃ。せめてこの娘の心が癒されればと思ってな。

 されどあ奴らは子を返そうともせず、挙句は行方が分からぬと言い放ったのじゃ。

 わらわとて攻め入ってしまったことはこちらの落ち度とする。様々な事情を組みしても、先にヒトを殺めたはこちら故に自害したことには、もう文句は言わぬ。

 されどじゃ、子どもを親の元に返さぬのは如何なものじゃ?父親がおらねば母親のもとに返すはヒトであっても当たり前であろう?

 じゃからわらわは再三にして訴えたが、行方分からぬの一点張りじゃった。

そして願い敵わぬまま、娘はこの森へと還って行ってしまったのじゃ。息を引き取る間際にさえ、子どもの事を心配してのう…。」

 涙を流すセルディア。そしてシーニャも言葉は出せず、ただ涙を流していた。もちろん他の者達もだ。

「このままではわらわはヒトを襲いかねぬ。その為にわらわはこの郷を隔離いたしたのじゃ。もう、あのような悲しみはご免なのじゃ…。」

 その話をしているセルディアは女王ではなく、一人の女であった。涙を拭い心を落ち着けようとする姿。それが分からぬシーニャではなかった。

「これがわらわたちエルフがヒトに対して憎む理由であり、そのためお主に辛い思いをさせてしまった。お主が悪いわけではない故、そこは謝るがわらわたちの気持ちはわかってほしい…。」

 シーニャは何も言えず、ただ深く礼を返す。今の事を自分に照らし合わせてみれば十分すぎるほど分かる。リオンと別れた時の自分がそんな感じだった。それが他者によるとなれば憎しみが湧かないはずがない。

 それなのにきちんと理性では解ろうとする聡明さ。そうした様々な中で大きな人種戦争を起こさないように己を律する強さ。セルディアがいかに立派な女王であるかを知ることができた。

 でも、ヒトであるために言葉にはできない。何も発することができない故に礼をもって応えるしかなかったのだ。

 言葉に出来ずともそこは精霊の居る空間。シーニャの悲しみや相手への思いやりなどが精霊によって表される。それを見て、セルディアは話したことを後悔せずに済んだ。


 するとそれまで大人しかったリオンが口を開いた。

「ね、エフィーおねえちゃん。その子の居場所ってわからないの?」

 エフェメルは涙を拭いながら答える。

「それについては分からないですねぇ。今のところ、生死もわからないですよぉ。」

 するとセルディアが口を挿んだ。

「生きてはおるはずじゃ。娘が還る間際にわらわに子の魔力を託したのじゃ。娘の魔力を受け継いでおるゆえ、娘はずっと子どもの居場所を探っておったのじゃ。その結果、場所の特定は出来たのじゃが、動けぬ身だけにそれが敵わず、還る前にわらわはその魔力を託された。じゃから今も生きておることは分るのじゃ。」

「それはどちらですか?」

 エフェメルが懐から地図を取り出す。それをセルディアが見つめると、一か所に光が表れた。

「その光の場所におる。」

 この地より東に光は在った。目指す多種族の集落『リュナエクラム』を越え、内海をも超えた場所に光は灯っている。内海の向こう、それは多種族を差別するヒトが住む世界。グランデュシュテルン王朝の領地内であった。

「ここに大きな町は無かったと思いますからぁ、集落が出来たのかもしれませんね~。それにしても王朝の領域内ですかぁ…。陸地は繋がってますがぁ、確かここに壁を作ってますねぇ。」

 そう言って地図の上に指先で直線をなぞる。そこはナハトイデアール大陸本土と孤島の様な南西部が唯一繋がっている陸地。その上に壁を作り、南西部からの進行を食い止める役割を持っている。

「それじゃ。実は郷の者を向かわせたことはあったのじゃが、その壁があって容易に向こうへ向かわせることが出来ぬ。」

 するとリオンが意思を示した。

「だったらその子を迎えに行ってあげるよ。」

 セルディアの顔が驚く。が直に居住まいを正すと、険しい顔になる。

「その気持ちは嬉しい。だがそれは容易ではないぞ?なによりわらわはそれを頼むために呼んだのではない。迷い込んだそなたらと只、話がしたかっただけじゃ。これを語ったは我が失態ゆえ、気にせずともよいぞ。」

 永い時を生きるため、エルフは退屈である。だからこそ他者と語り合って見知らぬ世界の話を聞くことは娯楽なのだ。特に事件後は隔離しているため、迷い込んだリオン達と語ることをセルディアは切望した。もしもシーニャとエフェメルがいなければ、郷の者たちも集まって来ただろう。

 それだけを望んだ訳で、この事件を語ることは想定外であった。しかし今となっては感情に任せて語り過ぎたと後悔する。ヒト科の種族の中で魔法に最も精通する種族であるエルフ。聡明な印象だが、多種族との交流が乏しいが故に感情を抑制する事には慣れていない種族である。

「うん、ぼくがそうしたいって思ったんだよ。だから様子を見に行って、もしも連れて帰って来れたら、その子を可愛がってあげてね。」

 リオンとしては、親がいない悲しみが解る。自分は孤児として拾われ、そしてシーニャと共に育った。でも、かつての集落は亜人たちに滅ぼされ、姉と二人で生き抜いた。

 やがてヒトに出会い姉と離ればなれになった。あの時の寂しさは忘れる事が出来ない程に苦しかった。暫くはずっと泣き続けた。

 でも今はシーニャと再会して一緒に居られている。その喜びは日々を楽しいものへと変えてくれた。共に家族といる事。それがどれだけ幸せで嬉しい事かをそのヒトとエルフの間に生まれた子は知らない。

 もうすでにその子に親はいない。でも、自分を思ってくれるヒトが傍にいることは大事だと思う。向こうでそういう相手がいて、幸せに暮らしているならばそれでいいけど、もし悲しそうなら連れて来ようと考えた結果である。

「優しいのう、お主は・・・。然らばすぐにとは申さぬ。まずはコロプクルの皆を安住の地へとお連れし、そしてそこへ行く用事がある時にお願いするとしよう。

わらわはその日が訪れる時を心待ちにすると致そう。」

 セルディアはそう言ってリオンに願いを込めたのだった。


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