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制作依頼先探し_企業編

 曲作ってくれる人この指とーまれ!


 なんて言って自発的に指にとまってくれる人なんかいないので、まあ依頼先は自力で探しました。

 決して少なくない金額が動くので、できれば信頼できる企業にお願いしたいと思っていました。主題化制作を請け負ってくれる会社さんは幾つかありましたが、それぞれが公開している情報だけでは比較にならず、どうにも決めかねていました。

 まあ、サンプルとか聞きながら、どこにお願いしようかなぁと考えている時間は楽しかったですけどね。買い物は何を買うか悩んでいる時間が一番楽しい、というアレです。


 一応。

 個人作曲家の方でも良かったんですが、格安数万程度で作ります! っていう人ばかりが目に付いてしまって。敷居が低いのはいいのですが、安かろう悪かろうでは、今回の目的にはそぐわない。顔も知らない個人にお願いするには、やはりどうしても発生するリスクを、金額的に無視できない。輪をかけて探しづらかったというのもあり、結局企業さんにお願いすることになりました。

 是非私に作らせて欲しい! というファンでも現れようものなら二つ返事で了解し予算全額提示した上で見積もりからお願いしていたところでしたが、それは前述の通りありえませんでしたので。ええ。


 で、次に何をしたかというと、制作会社四社をピックアップして、各問い合わせフォームに見積もり依頼を出したんですね。予算コレくらいで六十万文字超える小説の主題歌作って欲しいんだけど、詳しい見積もり出してもらえます? という主旨の。


 返信は全社すぐさま飛んできました。ただ、四社中三社がGmailの迷惑フォルダにぶち込まれていたのには軽くキレかけましたが、まあ今後は迷惑フォルダも確認しましょうという教訓にしてスルー。皆さんもお気をつけください。


 どんな返信が来てどう思ったかを、社名を伏せつつ書いていきます。


 まずA社。

 調べた感じ、私が問い合わせた四社中では最大手だったかと思われます。

 詳しい見積もりと共に、歌手サンプルまで付けていただけていました(すばらしい!)。その質、その数もさることながら、特筆すべきは、そのサンプルに外国人歌手の方まで含まれていたことですね。

 さすが海外に支社を持っているだけのことはある。洋楽希望なら企業としては最有力候補間違いなし。

 残念だったのは、高品質の期待が大きい反動で、若干予算オーバーしてしまったことでしょうか。私も決してオカネモチではないので、この選択肢はちょっと微妙。

 作詞だけでも自分でやれば、ちょっと安めにできますよとも書いていただけたんですけどね。

 できるわけねー!

 私を誰だと思っていやがるチクショー! エーン!


 次にB社。

 詳しく見積もり頂戴って言ったのに!(涙)

 というところに尽きました。他社比較してるから、作詞にはいくら、レコーディングにはいくら、という感じで詳しく書いて欲しかったのですが。半分以上マニュアル対応で総額だけ送られてきました。ヴェェェ。

 消費税はおまけして予算きっちりで請け負いますよ、というあたりは良かったんですけどね。もう一押しして詳細を聞いても良かったんですが、まあ保留。


 次にC社。

 なんか他社批判が書いてあるぞ……あの会社は品質が悪いとか、そんなような。もちろん社名は伏せられてましたが、頭文字だけでだいたい分かる……。

 たぶん、そういう個人の感想が顧客から送られていたことは事実だと思うんですよ。嘘を言っているわけではない。でもそれここで持ってきちゃいます? と、非常に不信感を煽られました。いきなり他社の悪いところが出てくるくらい、自社の良いところがないのか? そんな風に私は思いました。

「X社は品質が悪いらしいのでやめた方がいいですよ」

 ではなく、

「他社では品質がしばしば問題になりますが、弊社は大丈夫です! なぜならこれこれこういう独自の工夫をしていて……」

 という感じで話してくれたなら、こちらも安心できたんですけどね。

 あ、見積もりはきちんと詳しく書いていただけていました。一番お安かったです。察し。


 次にD社。

 先に書いておくと、最終的に私はこのD社さんに依頼することになりました。

 予算を比較するために見積もりを依頼したわけで、D社さんも詳しく書いてくださったのですが、私が注目したのは別のところ。

 要約すると、こんなことが書かれていました。


 貴方の作品をいま読み進めています。

 製作者はちゃんと作品に目を通し、作風にあった曲をご提供します。


 なんてことだ……私はド肝を抜かれました。


 その時点ですごい文量の小説でしたので、私から送った最初の問い合わせにも『全部読まなくていいですよ、短くまとめた資料をこちらで作りますので』と書いておいたんです。

 それに対し『できるだけ短めにまとめてください』と注文してきた会社さんもあり、残念ではあったもののまあ当然の反応だろうなぁと思っていました。


 そこへきて、これですよ!

 全部読むって! ぜんぶ!

 元々公式ページにも、原作の雰囲気を大事にしている、という旨のPRはあって、いいなーと思ってはいたのですが。まさかここまで有言実行の姿勢があるとは思いませんでした。


 もちろん、リップサービスという面も大いにあるのでしょう。だとすればなかなかに、売れない作家の心理を心得ていらっしゃる。

 けれど、読んだか読まなかったかなんて、出来上がったものを見れば一目瞭然なんですから。おべんちゃら並べて見当違いな曲渡して評判を落とすくらいなら、『じゃ、資料お待ちしてますねー』とでも言っておけばいいんですよ。完成後に『え、作品と曲が合ってない? 資料が悪かったのかも知れませんねー』という言い逃れもできる。

 それを、ちゃんと小説の連載分全部、目を通すって言ってくださったんです。

 感動ものじゃありませんか?


 私は、詩も音質ももちろんすべて、可能な限り最高のものが欲しいと思っていました。

 けれどそれ以上に、私の書いた『夏夜の鬼』に合った曲が欲しかったのです。

 一流歌手と一流作曲家が、一流の環境で作った曲を渡されたら、そりゃあ嬉しいですけども。それが小説に合っていなければ、私にとっては微妙な曲でしかないんですよ。

 そこに理解を示してくださったのですから、もはや迷いはありませんでした。

 そういう経緯で、制作会社を選ばせていただきました。


 あと、予算満額ならピアノとオーケストラアレンジも付けますよ、というD社。なんて素晴らしい。見積もりやって良かったと心底思いました。


 あと、お礼は全社にちゃんと返しました。依頼に至らなくとも、見積もってメール作って返信するだけでも大変ですので。縁がなくともマナーには気を配りたいですね。

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