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無知で無力な村娘は、転生領主のもとで成り上がる  作者: 緋色の雨
第一章

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エピローグ

 一時間前に一話投稿して、本日二度目です。

 リアナ達がレジック村に滞在してから三日が過ぎた。最初こそ万全の体調とは言えなかったアリアだが、いまではすっかり元気になっている。

 もちろん体力は別で、床に伏しがちだったアリアの体力は落ち込んでいる。

 ただ、アリア自身は苦しくならないことが嬉しくてしょうがないのだろう。部屋の中や家のまわりをちょこちょこ歩き回っては、そこかしこでバテていた。


「……もぅ、子供なんだから」

 リアナの家が管理する畑の前。はしゃぐアリアを見て、リアナが苦笑いを浮かべる。

「実際、まだまだ子供だろ。いままで思うように遊べなかったんだからしょうがないさ」

 リアナの独り言にリオンが答える。さっきまでカイルにすぐに役立つ農作業のノウハウを教えていたのだが、いつの間にかこっちにやって来たようだ。


「はしゃぎたいのは分かりますが……アリアって、凄く大人しい女の子だったんですよ?」

 それなのに、あのはしゃぎよう。まるで人が変わったみたいですと呟く。


「気持ちは分かるけどな。でも……そういうものみたいだぞ」

「……そういうもの、ですか?」

「死んだ妹と再会したときはまるで気付かなかったからな。精霊魔法に恩恵のダブル。オマケにアリスブランドまで作って。あんなチートキャラになってるって、誰が予想するんだよ」

「……リオン様って、ときどき良く分からないことを言いますよね」

 言っていることは分からないけれど、その横顔はどこか楽しげだった。だから、きっと悪い話じゃないんだろうと、リアナも微笑む。

 そうして、穏やかな風の吹く畑の前。リオンと揃って農作業を眺めていた。


「ところで……リアナはこれからどうするつもりなんだ?」

「え、どうするって……どういうことですか?」

「アリアは、これからも村で過ごすんだろ?」

「あ、はい。アリアがそうしたいって言うので」

 日に日に体調を良くしているアリアは、いままで出来なかったこと――父や母の手伝いをしたいと言っている。そして……口には出さなかったけれど、恐らくはリアナと一緒に。


「リアナは……村に残るつもりなのか?」

「……あたしは、リオン様に助けていただいた恩がありますから」

 だから、恩返しをせずに、学園を辞めるなんて出来ないとリオンを見上げる。だけど、リオンはそんなリアナに対して、小さく首を横に振った。


「俺は領主として当たり前のことをしただけだ。だから、恩返しなんて必要はない。妹の側にいたいなら、学園を辞めたってかまわないよ」

「……リオン、様」

 リアナは平静を装いながら、手をぎゅっと握りしめた。リオンに、自分は必要ないと言われているように感じてしまったからだ。

 だけど――


「ただ……な。リアナはソフィアと仲が良いだろ? それに、アリスやクレアねぇ、ミリィにもなんだか気に入られてる。そんなリアナには……いや」

 リオンはなにかを言いかけ、そこで一度言葉を切った。そうして頭を振り、リアナの方へと身体ごと振り向いた。そうして、まっすぐにリアナを見つめる。


「俺が領民みんなの幸せのために協力して欲しいって言ったとき、真っ先に頷いてくれたのはリアナだった。パトリックと口論になったのも、俺を護るためだったって聞いてる。そんなリアナに、俺の領地経営を手伝って欲しいんだ」

「協力……ですか?」

「そうだ。領地を豊かにして、領民を幸せにする。俺にはリアナが必要なんだ。だから……頼む。学園に残ってくれないか?」

 リアナをまっすぐに見つめる黒い瞳に魅せられて、思わず両手で口元を覆った。恩返しは必要ない。けれど、リアナを必要としている。

 そう言われていることに気付いたからだ。


 数ヶ月前まで、リアナは無知で無力な村娘でしかなかった。

 妹を救うために農作業を頑張っても、なんの成果も得られなかった。そんなリアナを、リオンは必要だと言ってくれた。

 リアナは、ポロポロと泣き出してしまう。


「リ、リアナ!? もしかして、嫌だったのか?」

 リオンを誤解させてしまった。それに気付いたリアナはぶんぶんと首を横に振る。煌めくしずくが、ポロポロ零れ落ちていった。


「嫌なんかじゃ……ないです。どうか、お願いします。あたしに、妹や両親や村のみんな。そして、リオン様をお助けするための知識を教えてください」

「……それは、ミューレ学園に残ってくれると言うことで良いのか?」

「はい、リオン様。妹にはあたしから話します。だから、あたしをこれからもずっと、ずっとずっと、リオン様のお側に置いてください!」

 リオンをまっすぐに見つめ、強い意志を秘めた笑みを浮かべた。

 そのときのリアナお姉ちゃんの表情は凄く凄く可愛くて、あれを見て恋に落ちない人はいない――とは、後のアリアの言葉だが、そのときのリオンがなにを思ったかは定かではない。


 ただ、今日この日より、リアナはリオンにもっとも信頼される教え子の一人となった。そうして、領地に様々な革命を起こす様々な事件に関わっていくことになる。

 

 エピローグまでお付き合いくださってありがとうございます。

 リアナの物語はヘイトの高いエピソードを中心に構成したので賛否あると思いますが、異世界姉妹を書き始めた頃を思い出しながら書きました。

 二章は書く予定ですが、更新時期などの詳細は未定となっております。また、後日キャラ紹介をアップしますので、そのときになんやかんやご連絡させていただきます。


 ――楽しかった、続きを読みたい。

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