閑話 ~イングリッド~
城塞都市イングリッド、別名冒険者の街。街の全方位を巨大な防壁で囲んだ堅固な城塞都市で、バーン王国首都テレーシスの三倍の面積を有している、対して人口は約八千人と街の大きさの割には人口は多くない。これはイングリッドの特異性故だろう。バーン王国の極東に位置するこの都市は、魔獣が跋扈する巨大な大森林を挟んでウォルティア神聖皇国とアドニア帝国二つの大国との国境付近に位置しており、元々大森林の魔獣及び東部二大国に対しての最前線防衛地点として、バーン王国、バリアブル王国、トトス連合国の西部三国によって合同で建設されたのがこのイングリッドである。
バーン王国の領土内に位置している為、名目上はバーン王国の都市となってはいるが、西部三国合議の元で税制や法律は独立しており、実質的には冒険者ギルドと西部連合軍による騎士会という組織によって取り仕切られている。
イングリッドの最大の特徴はその独特な形状にある。その他に類を見ない形状を言い表すのは非常に困難であるが、敢えて端的に表すとするならば幾重にも重なった鏃だろうか。四方八方に向けられたその鏃は、まさに攻寄る外敵を打ち払う矢の如く佇み、外敵には畏怖を我々には安心感を与えてくれる。
また、円錐状の丘の上に造られたイングリッドは綺麗なシンメトリーになっており、防衛拠点としてだけでなく、その独特で美しい構造は美術的側面からも非常に価値が高い。
丘の頂上に建てられた大砦を中心に会議場や冒険者ギルド本部などの重要施設を取り囲む第一城壁。居住施設のある居住区、小売り販売店舗の並ぶ商業区等を囲う第二城壁。歓楽街や大森林産の素材を売買する店舗等が立ち並ぶ外周区を囲む第三城壁の三層構造になっており、始めてイングリッドを訪れた者は、その美しく勇猛な形状と、城壁の大きさに圧倒されることだろう……
「以上、吟遊詩人兼冒険者ベアロの旅行記、イングリッド編冒頭より。」
そう締めくくったギルバートに感嘆の声と共に拍手が送られる。ギルバートは少し恥ずかしそうに笑いながら、語りで乾いた喉をエールで潤す。食後の余興に少しと語り出したのだが、少しって割には結構ガッツリ語ったな。
「確かに城壁の大きさにはビックリしました……」
「ギルさん凄いですね、全部暗記してるんですか?」
「先程語った冒頭の部分だけですけどね。冒険者になる事を決意してから、何度も読み返していたらいつの間にか覚えてしまいました。」
「それって確か有名な冒険者が執筆した本ですよね~?本は読んだことないですけど、ベアロって名前だけは耳にしたことがあります。」
「冒険者ベアロ、二つ名は「旅人」。特定の拠点を持たず、各地を転々と放浪する冒険者です。古代遺跡やダンジョンを数多く発見している事で名前が知れ渡っています。後モンスターの生態研究にも多大な貢献があり、その道では第一人者と言われています。それらの功績でAクラス昇格の際、ギルドから冒険騎士の称号授与を打診されましたが、制約の多い冒険騎士よりも只の冒険者が良いと言って授与を断った話は有名ですね。人によってはもっとも冒険者らしい冒険者と称賛する方も多いです。華の有る英雄譚は有りませんが、僕も彼の大ファンですよ。」
いつかお会いしてみたいです。と鼻息荒く語るギルバートは少年の様に目を輝かせている。
「それにしても、ほんと面白い形の街ですね~。普通街って丸いか四角いものじゃないの?」
「そうですね。この街はなんか尖ってますね。」
「通常の街は中心となる場所があって、そこを起点に人が集まっていく、利便性を考えると中心にできるだけ近い方がいいって誰でも考える、だから全方向均一に広がっていって円形に近くなるんだ。四角くなるのも似たような理由だな。イングリッドは最初から街というより要塞として造られたからね。利便性よりも防衛的観点から形作られたんだよ。」
「トゲトゲだと防衛し易いんですか?」
「……そうらしいね。」
「なんで防衛し易いんですか~?」
「えっと……」
「丸いとダメな理由は~~?」
「…………」
流石にそこまでは分かっていなかったのか、言葉に詰まるギルバート。アビーの奴ギルバートが答えられずに困ってるの楽しんでやがるな。意地の悪い奴め……
「アビー、その位にしとけ。代わりに俺が答えてやる。」
「ユート知ってるのかい?」
俺の助け舟に、ギルバートが助かったとばかりにこちらを見る。
「いや、お前の話を聞きながら、街を攻めるならって考えてたら気が付いた。たぶん死角を減らすためだろう。」
「この街を攻めるって……流石だねユートは。」
何が流石なのか意味が分からない。ギルバートの感心したような視線がむず痒い。
「だから正解かどうかは保証できないぜ?」
「それでもいいよ。聞かせて欲しい。」
「違ったら罰ゲームですね~。」
「なんでだよ!……いいか、このジョッキの丸みが通常の円形の城壁だとする。」
手元にあったエールの入った木製のジョッキをテーブルの真ん中に置く。他の皆はうんうんと頷きながら俺の話を聞いている。
「皆は攻める側、城壁の上にいる敵は弓主体の編成だとしたら、安全地帯はどこだと思う?」
「まず……弓の射程の外まで離れた場所……ここは安全だね。」
ギルバートがジョッキから少し離れた場所をトンと指で指し示す。
「まぁ、そこは確実に安全だな。そうだな……このラインが矢の射程ってことにしよう。」
ジョッキの少し外側を、円を描くようにぐるりと指し示す。
「はいはい、しつも~んっ!」
「ん?なんだ?」
「魔法の援護はありますか?」
アビーが無駄に元気よく身を乗り出しながら手を挙げる。
「今回はイングリッドの形状を防衛面で分かりやすく考える為なので無し!」
「ええ~~~!!ブーブー!指揮官の怠慢だ~~!」
「ええい鬱陶しい、その代り防衛側にも魔法使いはいません。」
ブーブー言いながら纏わりつくアビーの襟首を掴んで引きはがし、椅子に向かって放り投げ座らせる。
「まっ、それなら許そう。」
すっぽりと椅子に収まり、そのまま椅子にふんぞり返りながらアビーがそう言う。
「お前は誰目線なんだよ……」
「でも……そうすると普通に考えて射程の外から、城壁に近づけば近づくほど危険ですよね。」
「そうですね。近づけばそれだけ狙いも正確になるでしょうし……」
「まぁ、隊列を組んだ弓部隊の攻撃は、面制圧だから狙いなんて有って無いようなもんだけどな。」
「面制圧?ってなんですか?」
「面制圧っていうのは、文字通り点じゃなくって面…つまり一定の範囲を目標とするって攻撃スタイルだ。」
「………さっぱり分かりません……」
俺のざっくりとした説明に、クレアが申し訳なさそうに呟く。苦笑いをしながらギルバートが助け舟を出す。
「個人戦の場合基本的に、攻撃対象を決めて行うことになる。例えば、エリク君がユートに矢を放つ、これは点への攻撃になる。」
なんで標的が俺なんだよ……エリクが「外さない」とボソッと呟くのが聞こえる。
「小隊規模ぐらいの戦闘でもそれは変わらない。目標が複数になるだけで、誰かを選んで攻撃する点への攻撃は変わらない。」
「成程…複数の中からユートさんに狙いを定めて攻撃するってことですね。」
どいつもこいつも……お前ら俺に何か恨みでもあるのか?
「中隊規模以上の戦闘になってくるとこれが少し変わってくるんだ。バラバラのタイミングで矢を放つんじゃなくて、指揮官の合図で一斉に矢を放つ。狙いを個々で付けてるとタイミングが合わないから、決められた範囲に当たる様に撃つ。これが面への攻撃。」
「決められた範囲ってどうやって分かるんですか?方向は分かりますけど、距離はバラバラになりませんか?」
「同型の弓を使って同じぐらい引くように訓練するんだよ。後は角度を決めて撃つだけ。仰角30度~みたいにね。」
「けっこういい加減なんだね~。」
「矢による面攻撃は、目標地点に矢の雨を降らせることが目的だからな。そんなんで十分なんだよ。練度の高い弓部隊は如何に絶え間なく矢を放てるかだからな。実際当たるかどうかは二の次なんだよ。」
「………角度……そうかっ!そういうことか!!」
おっ!ギルバートは答えに辿り着いたか、流石優等生。残りの二人は……未だ思案中か……しょうがない答えを投下してやるか。
「それに仰角つけて狙った目標に当てるのって相当難しいんだぜ。コイツは平然とやっちまうけどなっ、エリク。」
「!!………な、何?」
我関せずと果実酒をチビチビ飲んでいたエリクに声をかけると、話を振られると思っていなかったのか、肩をビクッと反応させこちらを向く。自分の反応が恥ずかしかったのだろう、顔を赤くしながら拗ねたように返事してくるエリクの仕草に、少し戸惑いを覚える。
覆面で分かりにくかったが、エリクは結構多様な反応をすることが分かってきた。今の様にこちらを変な道に誘いそうな仕草に困惑しないと言えば噓になるが、覆面を外して以来から前よりも皆と普通に会話をすることができる様になったのは喜ばしい事だ。語彙が少ないのは相変わらずだが、覆面のままだと喋り難かったんだろうな……
「弓を使うお前が一番良くわかると思うが……どうだ?」
「…………条件は弓だけ?」
「そっ、弓だけ。言っとくがお前の技量で考えるなよ。それだと答えにならねーからな。」
考える素振りもなくエリクの手が動く。興味ない風を装っていたが、どうやら耳はこちらを向いていたようだ。
「なら…ここ。」
「え?でもそこは……」
「???」
エリクの解答でクレアとアビーは更に分からなくなったのか、戸惑いの表情で頭上に疑問符を浮かべている。
「だってそこは……城壁の真下ですよ?一番危ないんじゃ……」
エリクが指し示した地点はジョッキの真横。つまりは城壁の真下だ。遠距離の攻撃は近いほど当てやすく、遠くなるほど当てるのが難しい……間違いではないのだが、部隊単位の弓攻撃においては正解でもない。
「まぁ当然城攻めにおいては危険地帯なんだが、弓に限定するとここは比較的安全地帯なんだよ。
「え~~、近い方が当てやすいじゃないですか~?」
「まあ聞け、いいか?隊列を組んで行う部隊単位での弓攻撃ってのは、基本曲射なんだよ。直射だと前列の人間が邪魔で撃てないだろ?そして一定距離から近づかれると曲射が非常に難しくなる。」
「なんでなんで?仰角ドンドンつければいいだけじゃないの?」
アビーが弓を構える仕草のまま背中をグーッと反らせていく。アビーよ、その角度だと矢は後ろに飛ぶぞ……
「城壁の高さもあるから、ほぼ真上に向けて撃たなきゃならないんだぜ。風向き一つで自分に向かって落ちてくるかもしれない矢なんて撃てるかよ。」
「あっ!そっか、自爆しちゃうかもしれないんだ。」
「だから近づかれると前方数列しか弓を使えなくなる。更に、壁際まで近寄られると……」
「壁が邪魔……真下に撃つのも技量がいる…」
エリクがジョッキに付いた水滴を指でなぞりながら付け加える。水滴が指をつたってテーブルにポトリと滴る。エリクの仕草に妖艶なものを感じてしまいドキリとする。
コイツ顔を出して以来、仕草が妙に色っぽい時があるんだよな……!!って、いやいや、俺にそっちの趣味は無い無い!!
「ユートさん、ユートさんってば!!」
「ん?いや、なんでもない。」
「間抜けな顔でボーっとしたり、突然首振ったり……怖いよ。まぁ、間抜け顔はいつもの事だけどねっ。」
アビーがやれやれと首を振りながらしれっとバカにしてくる。
「大丈夫ですか?顔が赤いですよ……」
「すまん、なんでもない……えっと、どこまで話したっけか?」
対してクレアは優しいな……
「壁が邪魔で弓じゃ真下に攻撃し難いってところだよ。本当に大丈夫?回復魔法かけてあげようか?頭の病気に効くかどうかは分からないけど。」
アビー、お前は後でシメる……
「まーあれだ。壁沿いに少し離れたところから狙おうにも、壁の丸みが邪魔で狙いが付けられない。ちなみにここまで近いと魔法による攻撃も限定される。威力が大きすぎる魔法だと城壁自身にダメージ与えちゃうからな。」
「成程~~。自分達を守る城壁が、敵側にも利用されちゃうんですね~」
「そういうこと。それに狙いが付けられないってことは目視出来ないってことだからな。円形の城壁だと闇夜に紛れた敵の斥候なんかも真上からじゃないと発見しずらいんだ。まぁ実際何でも有りになると感知魔法なんかも有るから、そんな単純じゃないけどな。」
攻撃方法に関しても、投石や焼けた油を撒いたり、防御側は高さを生かした攻撃が可能となるので、実際は今言ったほど簡単ではないのだが……
「話を戻そう。今話した様に丸い城壁には防御面で死角が多い。対してイングリッドの形だと……」
テーブルの上に手を広げ、中指の右側面を指し示し
「ここに敵が城壁のここに取りついたとしても……こっちから攻撃することができる。」
そう言って人差し指を指し示す。
「特にこっち側からは丸見えだからな。攻める側は真上と側面からの攻撃を受ける事になる。」
「攻める側からすると絶望的だね。」
「そういうことだ……となると攻める側としては攻撃のなるべく薄い所から攻めたいよな?」
「普通そうですね~。」
「この形状で攻撃の薄い所ってどこだと思う?クレア。」
「えっ?えっ!?えっと……ここ?……違いますね……」
クレアは暫くオロオロとしながら考えた後、恐る恐る俺の指の先端を指さす。
「ここ……ですか?」
「正解。尖った先端部分が一番攻撃が薄くなる。」
「ほっ……良かった。」
正解にほっと胸を撫で下ろすクレア。
「ただ、この先端部分は狭い。当然一度に登れる人数も少なくなる。防御側はその分対処しやすいし、少人数じゃ仮に城壁を登り切っても囲まれて終わりだ。」
「矢の雨が降る中を大人数で登るか、勝率の薄い少人数で登るかの二択ってことですか。」
攻城兵器なんかが有れば多少違うんだが、この大森林を攻城兵器を抱えての進軍は相当骨が折れる事だろう。
「で?ユートならどうする?」
「ん?どうするって何がだ?」
改めてこの城塞の設計者に感心していると、ギルバートにそう尋ねられた。
「この鉄壁の城塞の攻め方を考えていたんだろ?君ならどう攻める?」
「………歩兵と弓兵だけじゃどうにもならん。相当な戦力差が有っても攻め落とせる気がしない……」
そもそも攻城戦は攻める側が圧倒的に不利なのだ。正攻法では守る側の三倍以上の戦力差が無ければ落とすことは難しいといわれている。
「囲んで兵糧攻め……も考えたが、大森林の中で囲むのは骨が折れそうだし、援軍を考慮すると現実的じゃない。」
「歩兵や弓兵だけじゃなく、魔法なんかも使ってなんでも有りならどうだい?」
そもそもこの大森林の中、補給線を確保するのは至難の業だろう。補給部隊は常に魔物の襲撃を警戒しなければならない。そうなれば当然補給速度も鈍るし、到着できずに最悪補給が滞る。そうなると、兵糧攻めを行っている側が先に干上がってしまう可能性も有りうる。
俺が指揮官ならこんな街に手を出さずに進みたいが……それもダメだな。イングリッドの兵によって魔物よりも確実に補給線を分断されて詰む。
「魔法ならどうですか~?大規模魔法で壁ごと吹っ飛ばしちゃえば?どっか~~んって。」
アビーが手を大きく広げながらそう言った。どっか~~ん……発言がアホっぽいのは横に置いておくとして
「あ~~~!!今なんかバカにしたような目で見ましたね~。」
俺の視線を敏感に察知したアビーの喚きを放置したまま考え込む。
ふむ、大規模魔法か……分厚い城壁を破壊するとなると、発動するのに相当な時間と人数が必要になる。しかもこれだけの城塞を築いた設計者が、魔法への対策を全くしていないとは考えにくいが……
「それしか手はないだろうな……ただし、大規模魔法は囮だ。魔法兵部隊を餌にしてイングリッド内部に居る兵を釣る。」
この作戦はタイミングがシビアだな。伏兵を出すタイミングが早すぎれば逃げられるし、遅すぎれば貴重な魔法兵をごっそり失うことになる。
「魔法発動阻止の為に討って出てきたら伏兵を使って包囲殲滅。数を減らし混乱したところで一気に攻城戦に移行……上手くいけば少ない戦力、しかも短期間で攻め落とせる。」
正直この作戦でもかなり分が悪いだろう。まず一定数以上で攻めて来てくれないと意味が無い。少数精鋭で来られると、防衛側の人数を減らすという作戦自体が成り立たない。しかもタイミングは非常にシビアときているし、作戦自体誰でも少し考えれば思いつくようなものだ。この街の中枢である騎士会相手にすんなりと成功するとはとても思えない。攻め落とすという観点からすると、このイングリッドは本当に鉄壁だ。
ただ……攻め落とす事に拘らなければ、街を落とす手が全く無い訳でもないが……
どちらにしろ、通常の軍や魔物が、城壁も守りを固める人間も曲者揃いであるこの城塞を攻め落とせるとは思えない。
「はいは~~い!!」
アビーが勢い良く手を上げ、無駄に元気良くアピールしてくる。
「なんだ?」
「隊長!とっておきの作戦を考えました!!」
とっておき……ね。ニヤリと笑うコイツの顔から察すると、ろくでもない臭いしかしないんだが……
「………一応、聞くだけ聞こう。」
「一応ってなんですか!!しっかりと聞いてくださいよ~~」
「え~~い鬱陶しい!!分かったから早く話せ。」
「ちぇっ!ケチッ!!」
まったく……何がどうケチなんだ?俺に絡みつこうとするアビーを払い除けながら話を促す。
「私の魅力で内部から攻め落とす!!どう!?」
「……どう?って聞かれてもな……」
こんな風に~~と言い俺に流し目を送りながら、腕を絡ませてくるアビーを無視しながら考える。
ふむ……コイツの魅力が通用するかどうかは置いといて……どんなに外側から見て厚く堅い壁でも、内側からは意外に脆いものだ。確かに内部から攻めるってのは悪くない考えだ。先程俺が考えていたのも似たような案だしな。
さっきからアビーは考え方は、戦略として割と的を得ている。もしかしたらコイツには軍師としての才能が有るのかもしれない。ただ、コイツの作戦で突っ込む軍の中には居たくない……
バカと天才は紙一重って言うしな……アビー、恐ろしい子……
「せめて見た目と性別を一致させてから作戦決行してくれ。」
「むっか~~!!言ってはいけない事を言いましたね。そんな事言うユートさんは、今晩私の魅力をたっぷりとお見せしますからね。ふっふっふっふ~~~」
体を不気味にしならせながら、不穏な発言をするアビー。
ごめんなさい。疲れてるから今夜はゆっくりと寝かさせてください。
祈りに近い俺の思いは、果たして聞き届けられるのかどうか………