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第6話 旅とはつらくて美味しいもの

いや〜参った。旅がこんなにしんどいものだとは知らなかった。だってずーっと歩きだよ。そりゃあ私だって、遠くの畑まで行くときもあるし、野良作業だってしますよ。でも一日中歩いて、それが何日も続くんだから。道は確かにいい。故郷の北州から高原都市にある首都までは街道があって、所々に宿泊所もある。食料や毛布なんかもあるし。でもしんどいことに変わりはないよ。


「あと、何日くらいですかあ」


私は旅の道連れ州知事のおっさんに話しかける。


「今日で三日目でしょう。まだまだですよ」


当たり前だろという言葉が聞こえたような気もする。首都にある太陽の神殿に巫女留学することになって移動中。ついでにその他の旅仲間を紹介しよう。まず私の世話係の女性。名前は「小鳩」。

続いてお父様の部下。男性。名前は「大顔」。これは多分あだ名だと思う。彼は首都にあるお父様の別邸にいる部下と交代する予定。以上2名はお父様が手配した人達。


続いておっさんの従者、男性2名。面倒だから「一号」「二号」と呼ぶことにする。おっさんが一緒に旅をしているのは、私をスカウトした責任プラス任期終了、ということらしい。付いてくる女はいない模様。


ああ何だかお腹が空いてきちゃったよ。お昼ご飯まだかなあ。煎った落花生をぽりぽり食べながらも黙って歩く。ああ、ナマズのスープ飲みたいなあ。鹿肉と、茹でたイモと、鳥肉もいいなあ。それから熟れた万寿果。蕃柘榴もいい。鳳梨も。果肉が透き通るくらい熟したの。


「日の御子様」は食糧増産に力を入れておられて、もともとその土地に無い作物でも気候に合いさえすればどんどん導入すべしというお考えでいらっしゃる。古くから北州は灌漑農業に成功していて、雨が少ない割に多種の作物が育つ。果物や家畜も導入されて、海の幸も豊富で、天国よ。特に私は果物に目が無いの。でも、首都は寒くて農業には適さないというし、なんだか憂鬱。


そうこうするうちに昼食になった。今日は街道沿いの村の村長宅にお呼ばれです。

出たよ出たよ。これは食用鼠かな。姿そのまんま。固いけど美味しいよね。仙人掌のスープも美味しい。かすかな粘りがクセになる。その果実は甘くてみずみずしくて、もっと好き。茹でたイモやら、豆の煮物やら、いやあ盛りだくさん。ごちそうさま。

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