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第28話 ころりん ころらど

数日の後、私の返事を聞きに皇太子様が神殿にいらした。女官二人をお連れになっている。神殿内の人払いされた一室にはいる。


「石っころは恥ずかしくて来られないそうだ。さてと、お前たち、壁に寄って後ろを向け」

「かしこまりました」


女官二人が後ろを向く。


「耳を塞げ。目を閉じろ」

「かしこまりました」


「さて、返事を聞く前に言わせてもらう」


皇太子様は言葉を切る。


「木洩れ日。すまない。本当はオレがお前と一緒になりたかった。お前と同じ物を見て、喜びを分かち合い、ともに子供を育てたかった。でも、オレは皇太子でいなくてはならん。国のためにやらなくてはならない事があるんだ。だからせめて弟の正室になってほしい」

「皇太子様、、、」

「オレの名は「虹を架ける者」だ。お前だけはそう呼んでいい」

「では、虹の皇子様。私は属州出身ではありますが、「四つの州の国」と「日の御子様」に忠誠を誓った身。謹んでお受け致します」


私は恭しく礼をする。


「ありがとう。父に報告した瞬間から、もうこんな風に会うことはできなくなるだろう。だから、最後に聞かせてくれ。オレのこと、その、、、好きか?」

「もちろんです。いつも俺様な殿下を、お慕いしておりました」


皇太子様はそっと私の頬に触れたあと、落花生の耳飾りを片方外す。


「付けてくれ」


私は殿下の左耳に耳飾りを付ける。


「さようなら。愛しい人」




それから間もなく「南の風」嬢は二位に昇進、私は三位に特進した。おやつ会議以外で皇太子様に会うことはなくなった。

春になれば第一皇子様と「南の風」嬢は西州へと出発なさる。そちらで結婚の儀式が行われるという。

私は第七皇子の婚約者として認められつつある。正直、正室というのは誰も予想していなかったようだ。今では「属州の姫」とは「思わぬ幸運を掴んだ者」を意味するらしいよ。

それからお兄様は、、、「父上の選んだ娘を娶ります」と約束して家に戻ることを許された。今度こそ素敵な女性と結婚できますように。


そういう訳でこのお話はおしまい。めでたしめでたしではなかったけれど、いつかきっと懐かしい思い出話になると思う。


木洩れ日視点これにて完結。



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