第27話 大変なのはお兄様でした
皇太子様からの思いがけないお話をどうしたらいいのか分からなくて、私は「南の風」嬢に相談することにした。
「うーん、わたくしだったら、お受けしますわ。その前に、皇太子様の側室でも気にしませんけどね」
「やっぱり、そうですか。でもこれって、断われない話って訳じゃないですよね」
「お断りしないほうがいいと思いますわ。お父様のご意向もありますし」
「そうですよね、、、使いをやって、明日は別邸の者と相談してみます」
「大顔」と「新芽」は驚きつつも冷静だった。
「お受けした方が宜しいでしょう。今すぐというお話でもありませんし。第七皇子の成人までは確か3、4年はありますから」
「そうですよ。お嬢様。若様のこともありますし、ここはお嬢様だけでも、しっかりとしたお相手を見つけていただきませんと」
「お兄様がどうかしたの?」
「ええ、まあ」
「新芽」は「全て伝聞ですが」と前置きしてから、言いにくそうに話し始めた。
「若様が「明星」様とお別れに(実際は振られたんだけど)なって間もなく、新しい恋人がお出来になりました。「雨花」様といいます。「雨花」様の父上はもと罪人、母上は人足相手にいかがわしい商売をしていた方です。聞くところによると、毎回支払うのが惜しくなって嫁にもらったとか。そんなことはどうでもいいのですけれど。
「雨花」様ご自身は、小柄で色黒、むっちりと肉感的な方です。未婚の子持ちで、若様よりいくつか年上でいらっしゃいます。傍目にはブス、いえ、とりたてて美しいとも思えぬお方ですが、若様はいたくお気に入られて、旦那様に結婚の許可をお求めになったのです。「明星」様も許されたし、この度も大丈夫であろうと思っておられたようです。
ところが旦那様は激怒なさって、「お前は何故いつも、他人の使い古した女ばかり選ぶのだ。明星もそうだった。他の男と子作りしながらお前とも会っていたろう。お前の品性にはそういう女が相応しいのだ。もう出て行け。お前など廃嫡だ。婿にでも行け!」と仰いました。
追い出された若様は「雨花」様のもとを訪れましたが、「廃嫡?だったら用はないよ」と放り出されたようです。なんでも子供の父親に若様をたらしこむよう言われていただけだったとか。お気の毒な若様でございます。今は神官先生のところで寝泊まりなさっているそうです」
ああ、お兄様。大好きなお兄様。あなたはどうして、、、、




