第24話 前夜祭
粗食の日々に耐えて、今日は夏至の祭りの前夜祭。巫女は不参加でも、明日の儀式の準備は大忙しである。聞くところによると、祭りの進行はこんな感じである。
今夜は中央広場で夜通し日の出をお待ちする。最高神官、「日の御子様」、皇族、貴族、属州代表者(大顔はここ)、その他の群衆がひたすら待つ。
日の出を歌で迎え、太陽神に感謝の儀式。酒が捧げられる。
その後は太陽の神殿に移動。主神殿での儀式。太陽神への感謝と、来年の豊作が祈願される。これは巫女も神官も参加する。「南の風」嬢は踊りの主役、私は縦笛の一人として舞台に立つ。
儀式が済めば再び広場に移動。生贄が捧げられ、各部族を代表する一団が踊りを披露する。夕刻まで行事は続き、夜はひたすら飲んで馬鹿騒ぎらしい。
祭りは確かに心浮き立つものがあるけど、食事はいただけないよ。何日も前からキヌアか豆のスープとトウモロコシのパンと生のキクイモだけ、みたいな献立だったのに、今日はスープすらなくて、いつ焼いたのか分からないパンとキクイモと水だけ。火を焚いちゃいけないって何よ。まあ、キクイモ美味しいからいいけどね。薄甘でサクサクしてるし。
「南の風」嬢は三位に昇進した。第一皇子と噂になっているし、もう「属州の者」とか「野蛮」とか言い出す強者はいない。私は五位のまま。掃除はするけど調理はたまに手伝うくらい。
「でも、この半年で、ずいぶん思いがけない事がありましたよねえ」
今日も「南の風」嬢と夕食後のお喋りをする。最近は仲間に加わろうとする人も多い。
「そうね。わたくしは望みうる限り最高のお相手を見つけることができましたけど、これも木洩れ日さんのお陰よね。ありがとう。そして次はあなたの番かしら?」
「な、な、何の事ですか?」
「ほほほ、隠さずとも」
「皇太子様とたいそう親密でいらっしゃるとか」
「羨ましいですわあ」
などという声がかけられる。そんな。周りの人たちにはそんな風に見えていたの?




