第18話 第一皇子改造計画
兄上を叩き直して欲しいと、皇太子様が仰ってから十日ほど過ぎた。皇太子様曰く、根回しだそうだ。そして今日が決行の日だった。
「おおい、第四、ここかあ?ボキュの美人先生がいるのは。月の女神ちゃん似だって?ほんとだあ。ママキジャちゃんて呼んでいい?」
四人の使用人に周りを囲まれてやってきたのは第一皇子様だった。背はあまりお高くない。なのに胴廻りはずいぶん太くていらして、色も白い。「南の風」嬢に満足した様子だ。
「先生なんていいからさあ、ボキュのお部屋で遊ぼうよ。小型女神像、見せてあげるね。いいでしょ。オネエサン」
「私に貴様のような弟はいない」
「えっ?」
「先生ではない。上官殿と呼ばんか!このたわけ」
「ちょっと、、、」
「貴様、そのぶよぶよの腹は何だ。働きもせず、部屋にこもって人形遊びばかりしているからだ。無駄飯食いが。このゴミクズ、虫けら野郎め」
「、、、、、」
もはや返答もない。しかし「南の風」嬢は容赦ない。
「皇族の務めも果たさず、さりとて耕しもせず、貴様のような奴のために我が西州は食糧増産に励んでいたのか。嘆かわしい。だいたい三十過ぎで未だ子供どころか妻の一人も持てなくてどうする。貴様のような奴には、「日の御子様」のお力を持ってしても、嫁なんかこないだろう。違うか!」
第一皇子はぐったりとうなだれている。いちいち図星なのだろう。涙どころか鼻水まで流れている。
「悔しくないのか!貴様、ずっとそのままでいいのか!?どうなんだ!?」
「、、、悔しいです、、、、」
「聞こえんぞ!」
「悔しいでえす!」
「そうだろう。だから私が貴様を鍛えてやる。虫けら野郎から人間にしてやる。嬉しいか!?」
「嬉しいでえす!」
「よし、それでは本日の訓練を始める。まずは神殿の敷地内100週だ。私に続け。四人、お前たちもだ。こいつが逃げたら捕まえろ」
「はっ」
なんと、四人は監視だったのだあ。根回し根回し。
ずいぶんと時間をかけて100週を終えた第一皇子に「南の風」嬢は声をかける。
「よし。今日はこのくらいにするか。明日からは本格的に始めるが、私も忙しい。日の出とともに始める。神殿前に集合だ。逃すなよ」
最後のことばは監視員に向けられた。死んだ動物のようになった第一皇子は四人に引きずられて帰って行った。




