第15話 見習いの日常
食堂でのいざこざはあったものの、翌日は普段通りお勤めに励む。お掃除の後で、行儀作法と神話についての授業があった。お辞儀の仕方や立ち居振る舞いを指導される。特に難しい内容ではない。続いて創造神から太陽神までの神話を習い、最後は「日の御子様」の家系についてお勉強。中身の濃い1日だった。
夕方は調理を手伝う。今日の献立は乾燥肉と乾燥芋のスープ、トウモロコシのパン、胡瓜、唐辛子、インガ豆。インガ豆にはいろいろな大きさがあるけど、今日のは大きめ。両手で持つくらい。ぷっくりした鞘から豆を取り出して、、、食べない。食べるのは豆と豆の隙間の綿のような部分だけ。甘くて美味しい。
翌日は、お掃除の後に音楽の授業。月に一度は何かしらの宗教行事があるけど、一番重要なのは冬至の日のお祭りなの。もし、演奏が上手ければ儀式に参加させてもらえるから皆、張り切っている。私は試しに縦笛をやってみる。難しい。音が出ない。指導の巫女から口の形を教えてもらって頑張っていたらいきなり音が出て、それからは音だけは出せるようになった。
「スジがいいですね。最初は何日も音が出なくて普通ですよ」
と褒めてもらえたのが嬉しくて、ずっと吹いていたら目眩がした。首都は高い所にあるかららしい。とりあえず、体が慣れるまでは、他の楽器を担当することになった。太鼓なら叩けるかしらと思ったけど、
「太鼓が一番重要なので、ごめんなさい」
と言われてしまった。結局獣の蹄を紐で括って束ねたものをカシャカシャと振ることになった。これも立派な楽器だからと慰められて。
午後の自由時間に別邸から面会人が来た。「大顔」と「新芽」だ。「新芽」は「小鳩」の代わりのような人。二人は差し入れの落花生を持ってきてくれた。そして実家の近況など聞かせてくれる。みんな元気なこと、お兄様が「明星」に振られてしまったこと。どうして?と思ったけど、別の男との間に子供ができて、さっさと結婚してしまったという。なんとも「明星」らしい結末だった。




