第14話 私たち、引かれてます
食堂で夕食を食べながら、「南の風」嬢と私はお喋りをしていた。
「南の風さんの話し方はとてもきれいだけど、どうやった身に付けたの?」
「高原都市の貴族を拉致、いえ、お招きして、ご指導頂きましたのよ。おほほほ」
ふうん。なるほど。
夕食が終わっても私たちはお喋りを続けた。新入り二人の物珍しさからか、何人か集まってくる。お題は「今までで一番美味しかった食べ物」。私はいろいろ悩んで、大蜥蜴を挙げた。川鰻がいいという人、いやいや野豚でしょう、という人もいた。
「わたくしは、猿が一押しですわ」
「南の風」嬢は胸を張る。猿ときたか。美味しいと噂には聞くが、食べたことはない。
「可愛がっていた猿が食べごろになったので捌いてもらったのですけれど、皮を剥いたところはまるで人間の✳︎✳︎✳︎みたいでビックリしましたわ。でも味はとてもいいんですのよ。また頂きたくなりましたわ」
うっとりした様子に反して話の内容はグロい。他の方々も引いている。
「ふん。属州のハナタレ娘たちは言うことが野蛮ねえ」
少し離れたところから、冷ややかにこちらを見つめる一団があった。確かに朝夕涼しくて、風邪気味だった。
「風邪は引いているけど、ハナは垂らしていませんよ」
「そう言う意味じゃないわよ」
「私の風邪は喉からなんです。蜂蜜が手放せません」
「だから、違うってば」
「見習いのくせに、個室を賜わったり皇太子様に馴れ馴れしくしたり、許せないわ」
「そうよ。おまけに他民族のくせに」
「巫女の誇りが傷つけられました」
言われ放題である。誰も助けてはくれない。「南の風」嬢も口を開かない。ただその表情は厳しい。
「属州の者は小さくなっていればいいのよ。せいぜい無駄な努力でもしていなさい」
潮が引くようにみんな去っていく。「南の風」嬢と私はそっとため息をついた。




