第12話 掟は意外にゆるかった
「それでは、太陽の神殿で生活する上での注意点を説明します。巫女には一位から五位までの序列があります。私は二位の「月明かり」です。あなたたちは見習いに過ぎませんが、特別に五位の位と個室を賜りました。自分よりも上位の者には「様」を付けて呼ぶこと。では私を呼んでみなさい」
「月明かり様」
「よろしい」
「南の風」嬢と私は「月明かり」様の説明を聞く。
「基本的に神殿の敷地の外には出られません。面会は許されていますが、居住区に連れて行くことはできません。お勤めについてはそれぞれの指導者に尋ねなさい。
ここは巫女の神殿です。成人男子は入れませんが、皇族と上位神官は例外です。ただし居住区には入れません。巫女は神官の居住区には入れません。要所要所に見張りがいます。決まりを破った者には罰が与えられます。何か質問は」
思ったほど厳しくはなかった。ホッとしていると「南の風」嬢が不満そうな声を上げた。
「それでは、お相手が見つからないではありませんか」
「あなたは何をしに来たのですか?太陽神にお仕えするためではないのですか?」
「それは、そうですが」
「三位になれば、臣下の者に与えられることがあります。貴族の側室も夢ではありません。二位になれば皇族の側室になることもあります。「日の御子様」と皇太子様はご自分のご姉妹から正室様をお迎えになりますし、皇族のかたは血縁者から正室様を選ぶことが普通ですから、正室は諦めなさい」
何と。兄妹で結婚と。下々の者には考えられませんなあ。でもちょっと素敵。
「では、一位になると、どうなるのですか?」
「南の風」嬢は諦めきれない様子。
「一位は皇族の血を引くお方のみです。太陽神の妻ですから、一般的な意味での結婚はしません」
ほうほう。勉強になります。
その後はお勤めと言われる労働作業を見学して回った。獣毛を紡ぐ者、機織りをする者、酒を作る者、楽器を奏でる者、舞を舞う者、これらはすべて太陽神とその御子のためのもの。それから自分たちのための掃除や料理、もちろんお祈りも欠かせない。何だか忙しそう。私たちは見習いだから、とりあえず掃除と料理から始めることになった。




