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第10話 神殿入り

夏も近い美しい朝だった。「小鳩」や「大顔」、別邸の者たちに見送られて私は州知事もとい元州知事のおっさんとともに神殿へ向かった。


昨夜「小鳩」に、また退屈な生活に戻るのはつらいかと聞いてみた。もし望むなら、3年間ここに残ってもいいよと言おうと思って。「小鳩」は


「帰る所があるから、旅は楽しいのですよ。州都でお嬢様のお帰りをお待ちしております。」


と落ち着いた様子で答えた。そうか。それなら良かった。


「私のことより、大変なのはお嬢様です。明日はシッカリ猫をかぶって下さいませね。特にお言葉使いなど」


と言われてしまった。共通語は話せるけど、緊張すると年寄り臭い喋り方になると言われたことがある。だって神官先生の言葉って古いはずだもんね。私が生まれるずっと前の言葉なんだから。

ハイハイと返事をして、私たちは神殿はどんな所かしらと色々想像したりして夜を過ごしたのだった。





そして昼近く、私の神殿入り誓いの儀式は終わった。私だけではなくもう一人も一緒に。おっさん情報によると彼女は密林地帯に広がる西州の長の姉だという。私は長の娘だから序列では彼女が上。やはり推薦人を連れている。こちらも上級貴族だという。


彼女の名前は「南の風」。南の風って暖かくて優しい風なんかじゃないから。ここ「四つの州の国」で南の風は強烈な寒風を意味する。何でそんな名前。密林で暑かったんだろうか。彼女自身は外見も悪くない。年齢は20歳を何歳か過ぎている様子。お互い相手の様子を見ながらも声をかけることはない。言葉が通じるかどうかも怪しい。


部屋の一角で巫女たちがざわめく。


「皇太子様のおなりでございます」


私たちは頭を下げたまま殿下お待ちする。ツカツカと足音が近づいたと思うと「よっ。待たせたな」と皇太子殿下は屈託のない笑顔で登場された。お若い。20歳を少し過ぎたくらいかな。


「父上はお忙しいので、代理で来たぞ。楽にしろ」


殿下は第四皇子でありながら皇太子に指名された方だという。


「兄上方はみな頭も体も弱くてな。ハハハッ」


いや、ちっともおかしくないから。



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