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スキルチェーン


 俺は一気にテンションが上がった。

 妄想とは思えないほどの爽快感。

 血液が煮えたぎる。

 サイクロプスの肉片は煙とともに消失した。

 

「その技はっ!?」


 シズカが驚いた。

 無理もない。これほどのモンスターを一撃だ。

 どうみても雑魚モンスターではない。


「驚きました。私の『燕返し』を使えるのですね」


 燕返し?特に技を発動したつもりはないが。


「いやただ殴っただけだが。それよりもさっきの攻撃で俺が死んだらどうする。この世界に来るのは初めてなんだ」


「何言ってるあんたの防御力なら傷一つつかねえはずだ」

「あんたの鎧ならまだしも、こんな旅着でか?」


「たしかに装備は初期装備だが。あんたの基本ステータスがべらぼうに振り切れちまってるのさ」


 俺のステータス。たしかここに来る前にヒノがレベルを最大まで上げていたんだっけ。

 確認する方法はないのか?


「ジェイガン。俺のステータスをいったいどうやって確認してるんだ?」


「それはスキル『鑑定』のおかげだな。人にも見せられるからちょっとまってな」

 ジェイガンが手を開き念じると一枚の紙が出現した。


「あれ?一枚?」

「見せてくれ。」


種族:勇者


レベル:100


体力:9999


攻撃力:999


防御力:999


機動力:999


魔法力:999


スキル


チェーン「仲間のスキルを使える」


 比較対象がないからどれほどすごいのかわからないが、最大値といった感じだ。

 それよりもチェーンとはなんだ?


「あんたスキル一つしかないのか?」

「どういうことだ?」


 ほれ、とジェイガンは紙を数枚渡してきた。

 ジェイガン、シズカ、ドラフのステータス表だ

 そこにはスキルがずらっと並んでいた。

 その中にシズカが言っていた燕返しも載っていた。


燕返し「敵の攻撃を回避し瞬時に反撃する」


 なるほど痛みを感じなかったのはかわしていたからか。

 本当にさっきの攻撃は本当にシズカの『燕返し』だったのか?


「だがチェーンというスキルは今まで見たことねえ」


 勇者のみにつく特殊スキルか?

 勇者は万能な能力な場合が多いからな。

 スキルを覚える必要がないなんて、なかなかチートじゃないか。


「少しこのスキルを試してみたい。」

「そうだな俺の『盾殴り』でもやってみるか?」


 俺はジェイガンから盾を借りる。全身を守れるほどの巨大な盾だ。

 盾を構え、壁に向かって突進した。


 ズドドドド!!!!


 壁を粉砕した。しかしその歩みは止まることなく、その先の障害物を次々と吹き飛ばしていく。

 申し分ない威力、このステータスのおかげか。

 そしてやはり味方のスキルを使えるようだ。

 だがステータス表を見ながら使えるやつを探したほうがいいな。

 少し威力がありすぎて不便だ。


 ガンッ!

「痛え!」

 

 俺は自分の頭を盾に思いっきりぶつけた。

 急に技が止まったようだ。

 あたりを見ると俺は森の中にいた。

 少し調子に乗りすぎたか。

 まあいいや、自分のなぎ倒した木々を辿っていけば戻れるだろう。


 「いや」


 さっきもらったステータス表に目をやる。

 あった。


疾風「高速移動」


 シズカのスキル『疾風』これで帰ろう。

 俺のステータスならとんでもないスピードになるぞ。

 俺は駆け出した。まさしく風のようなスピードで。


 だが数分走ったが一向に建物が見えてこない。

 様子がおかしいな。

 暗い森の中で一人。内心かなり不安になってきた。


「ちょっと待つんだ」


 後ろから呼び止められる。この声は?


「勇者よ。パーティの状態を見てみろ」


 目の前に文字が浮かぶ


ジェイガンがパーティから外れました

シズカがパーティから外れました

ドラフがパーティから外れました。


 何?離れすぎるとパーティが解除されるのか?

 

「勝手な行動をとっては困る。ここにいられる時間は限られているからな」


 王女ヒノが先ほどのドレス姿とは違う、原作通りの姫騎士といった格好で現れた。

 ああ今の俺には美しい女神にみえる。

 

「パーティの持続範囲もスキルによって決まるんだ。君はスキルが一つしかないからな。最小範囲でしかパーティを維持できない」

 

「どうやって俺のところに?」


「一応最初から様子はうかがっていた。君が仲間とはぐれてしまったから。私もルナテリアからここまで来たんだ。君は仲間がいないと高ステータスなだけの無能力者のようだからな」


「疾風を発動できていなかったのか」


「ああ。君のもともとのスピードがそれだ。だがそのくらいなら私の疾風で追いつける」


「それにここは迷いの森といってな。さっきの場所に戻るには同じルートでは帰れない」


 何ということだ。俺のスキルにそんな弱点があったとは。


「心配するなここの地形はよく知ってる。ただ今の君は自分の力を制御しきれていないようだ。チェーンは使わずに帰ろう。私が先導するからついてこい」


 たしかにあれだけのスピードで動けるなら、疾風を使わなくてもよさそうだ。

 スキルを使ったら今度はどこまで行ってしまうかわからない。

 俺はヒノの言う通り後をついていくことにした。


 あれからどれほど時間がたっただろうか。

 途中何度かモンスターに襲撃されるもヒノが一人で撃退した。

 だが今だに森を抜けられていない。

 それどころか奥深くに迷い込んでいるような。

 だんだんモンスターの強さが増してきているのである。


「なあいつになったら森を抜けられるんだ」

「・・・おかしい以前と森の地形が違う」

「なあ、それにいつ気がついてた?」

「う・・30分くらい前かな?」

 

 ああ駄女神だ。この人。


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