ナットウセブン
ぴこーん、ぴこーん、ぴこーん
「い、いかん。ナットウエナジーが減少している!
ナットウ警備隊、至急、納豆のフィーディングを!」
「はい、こちらナットウ警備隊。
これより納豆のフィーディングを開始します。口を開けて下さい」
「あ~ん」
ボボボボボボボボボボボ!!!!!
「...え?...おい、ウソだろ、違うよ、違うよ。
これドライ納豆じゃん。糸引き納豆じゃないじゃん。
あああああ...パワーが...」
ズズ~ン...
「フーハハハハハ!ナットウセブンよ!もう力尽きたか」
「...うう、ハレンチパンツ怪人め...!」
「これで俺様の血となり、肉となる女子用の下着を
盗み放題だなあ!?おい!がははは!!
...あ、いや、妙齢の美女とか、中身の質は関係ないです...
いや、うん。基本的に布が好きなんですよ...あ、というか
今、戦闘中なんで、後でお願いできます...?
...フ-ハハハハ!街中の女子用の下着を盗んで羽毛の替わりに
布団に入れて安眠してやる!!ヒーハハハハ!!!」
-------------------------------
茨城県水戸市 ナットウ警備隊本部
バン!
「おい、ヒドイじゃないか!
ドライ納豆なんてパワーが出るわけないじゃないか!
糸引き納豆を魯山人が編み出した424回正確にかき混ぜることによって
ポリグルタミン酸とナットウキナーゼを効果的に抽出し
空気中にある自然界のパワーと人間界に蠢く欲望をも取り込んで
初めてナットウパワーが生成されるとあれほど説明しただろうが!!
納豆だったらなんでもいいっていうわけじゃないんだ!!」
「ナットウセブンで人間の姿に戻ったダン隊員、お帰りなさい。
いや、俺たちはわかってるんだけどさ、
アンヌ隊員が毎回毎回出撃の度に糸引き納豆をかき混ぜるのが
臭いわ、二の腕は太くなるわいいことない、
って言って今回のドライ納豆を強引に採用したんだよ...」
「だって~え、納豆3パックx10セット=30個を
一気にかき混ぜるってどんだけ臭いかわかる~?
ホント、せめて巨大化する前に納豆欲しがってよ。
なんでいつも巨大化してから欲しがるのよ。
ホント、水戸生まれのワタシでもついてけないわ...」
「アンヌ! なんだ、最近、妙に冷たいじゃないか。
今朝も女友達との京都旅行の土産、皆に生八つ橋配っていたのに
俺だけ固い八つ橋だったじゃね~か。どういうことだよ」
「だって、ダン...最近冷たいんだもん...昔はよく給湯室で...」
「あ、そういうこと...バカ、はいよ」
「...この水色の箱...ティファニーの...?」
「覚えてるか?今日、アンヌと付き合い始めて3年目の記念日だって...ゴメンな、
サプライズさせようと思って最近わざと冷たくしてたんだ...
キリヤマ隊長の妻だったアンヌを奪ってもう3年...。
あの時は修羅場だったな。まあ、運良く俺が納豆菌で巨大化する
ことがわかってキリヤマ隊長を異動させて円満解決させることが
出来たからよかったけど...
アンヌ、なんだか気恥ずかしいけど、改めて言うよ
...愛してる」
「...ダン...もう!寂しかったんだから...!バカバカバカ...!」
---------------------------------
「フーハハハハ!下着下着いい!ヌノ~!!」
「う、納豆が切れ始めた...」
「ナットウセブン!ナットウフィード!!」
「あ~ん...
こ、これは...ス、スゴイ!スゴイ糸引きだ!
これぞまさに何も入れずに納豆だけを305回かき混ぜて
そこで初めて醤油を入れ、さらにそこで119回アドオンして
計424回で完成となる魯山人リミックス!!
パワーが、ああ!パワーがみなぎる!!
これが愛のパワーか!これはまさに糸引き納豆というより
『愛しき納豆』!!」
こうして愛の力をも得たナットウセブンは
今日も北茨木市から取手市辺りまでの
平和を乱す者を相手に死闘を繰り広げているのだ。
つづく
『ナットウセブン』次回予告
「な、なに?!日本中の納豆菌が買い占められただと?!」
「いや、もう正直言って、いちいち職場に私情を持ち込む
ダンさんやアンヌさんについていけないっすよ...
なんで俺らが二人の愛憎劇に付き合わなきゃいけないんですか」
納豆菌買占め騒動の最中に
隊員のこれまでの不満が爆発!
次回『ナットウセブン』 、
第23話 「春闘」
ご期待下さい