対話
何か面倒くさくなって来たのであそこから逃げたがあいつから独特の主人公の匂いが漂っていやがったからな。後々、ヤバい事になるかもしれんがそれも良いだろう。さてと、今はここにある金品を『盗賊袋』に入れてあとは何か価値がある物はないかと探していたらいつの間にか先程まで居た檻に着いてしまった。
「貴方は誰?さっきから騒がしかったけど急に静かになったけど?」
檻に入れられている一人の女の獣人が問い掛けて来た。
そういえば、さっきまで女体化した状態で居たから気付く筈がないなと考え
「あー……自分は通りすがりのこそ泥さ。さっきまでの騒動に紛れて金目の物を盗みに来ただけさ」
「お願い助けて!!」
「ここから出して!!」
「鍵を取ってきて!!」
藁にも縋る思いで目の前の男に助けを求める者達に豪はイライラしながらも
「いや~俺はただのこそ泥だから鍵を取りに行くなんて無理無理」
「お願い何でもしますから奴隷何て嫌!!」
その瞬間、豪の堪忍袋の緒が切れた。
「うるせーんだよ!頭を下げて頼む事も出来ねぇのかテメェら!!」
空気が震えるほどのデカい声でキレた。檻の中では耳が良い犬の獣人だけではなく檻の中の皆が耳を押さえうずくまったりしてる。
豪は溜め息混じりに手刀で檻の錠を壊し、爆音から逃れ無事だった者から鍵を受け取り中に居る者の手錠を開け解放した。
「お前は何時も無茶な事をしているな」
「お前も異世界に来てまで下着泥をしてんのか?」
「どこに来ても若い女の下着は高値で売れる。今回のオークションでも金板八枚で売れた」
「おい、まさか」
「この国の王妃、王女達の下着だ」
「バカかテメェは」
溜め息をしながらデカい声を出したのに誰もここに来ない事を疑問に思い少し考えてすぐに解消された。
「会場に居た騎士達は俺が少し気絶させたから大丈夫だ。あと、ここにある金庫の中身は魔法袋に入れてある」
「ちょっと、場所を変えておしゃべりするか?」
何も言わずに了承した誰かは近藤豪と共に闇に消えた。
檻の中に居る者が一人居ない事に気付かずに消えた事に気付きながら。