車内にて③
暫くの時間が過ぎ
中村がカモメに訊ねる。
『かもめさん!貴方が悪魔だとは驚きましたが
私の魂でみんなを助けてはくれませんか?』
『おや…一体それはどういう事なのでしょう?』
『先程貴方が塚本さんに契約を持ち掛けられました。私にも自己犠牲の精神や
強い正義感位は持ち合わせているのです。
如何です?私と契約をしてみんなを助けてはいただけませんか?』
『それじゃ…何故?
貴方は苛めにあってる生徒に相談を受け…
苛められる方にも原因があると突っぱね…
再度相談に来た時には
門前払い
結局その子は首を吊り
短い命を散らせましたね!?』
『どうして…
それを…どうしてそれを貴方が知っているんですか?』
『あまつさえ…貴方方の対応は…そもそも苛めなんて存在しないとしらを切り通したでは
ありませんか?
いくら正義感や自己犠牲の精神が旺盛でも
弱者に全てを押し付ける様な人の心は…
契約には値しません。
私は言った筈です。
塚本さんが美しい魂をお持ちですから
契約をしませんか?と
持ち掛けたのです。
貴方の魂には先程の話の時に深い傷が出来てしまった。
こんな魂を地獄の底に眠る悪魔サタンの復活には
使えません!
地獄の番犬ケルベロスの餌にしかならないのです。』
二人の間に沈黙が流れ
不意にカモメが中村に
問いかける。
『何故…貴方はこのタイミングで名乗り出たんですか?』
中村は項垂れてカモメと視線すら会わせようとしない。
『中村さん!!貴方…
死が身近に迫って来たからせめてあの時の償いを
なんて無駄な考えでも
起こしたんですか。
それは…貴方の心に住まうエゴイズムです。
覆水の盆の水は元には戻らないものです。
カモメがそこまで言うと
中村は肩を震わせ嗚咽の声を出しだした。
『そして…白石佳恵さん
貴女は旅行で境港へ来たと言いましたね
それは…違いますよね。』
白石佳江は両手で顔を覆い泣き始めた…
次回白石の嘘とは
ご期待ください




