賭け
カモメと塚本はジリジリと太田を背後に身構える
『集団で狩りをする
犬科の攻撃の特徴として
弱っている
獲物に対して非情とも言うべき攻撃を反復して来ます
今は太田さんが動けません
我ら二人で切り抜けねばなりません。』
『覚悟は決めてますよ
カモメさん!!
腕が千切れるまで奴等を衝きまくってやる。』
『良い心掛けですね…
そろそろ…
相手の気が満ちて来ました。
一斉に飛び掛かって来ますよ!!』
(ガウッ!!)
三人の左手から
一匹…飛び掛かって来る
すぐ後ろにもう一匹が
疾駆してくる。
古のままでは二匹目の攻撃が太田に届いて仕舞う
カモメは一匹目の顎を
爪先で蹴り上げ
二匹目に突っ込み棒を目に突き刺した。
塚本の側にもヒタヒタと狩られる側の恐怖が襲って来た。
『塚本さん!!
そのプレッシャーに負けちゃいけない!!
犬の間には必ず序列がある!!
ボスを倒せば一旦序列を組み直さなければ
いけない
ボスを倒すか…
その前に…
此方が殺られるか…
今暫くの辛抱です。
其にしても中々に用心深いボスの様です。
塚本さん!!』
『どうしました?カモメさん!』
『あの…草むら辺りが怪しいです!
此処は…
相手の用心深さを逆手に取りましょう。』
『相手の用心深さを逆手に取る?』
『ええ…賭けと言っても良いでしょう。
塚本さんは太田さんの側で彼を護っていて下さい。
貴方が持ちこたえてる間に私はボスを倒します。』
『それじゃ太田さんはどうなる?』
塚本の問い掛けには答えずに
怪しいと思える草むらに真っ直ぐに突っ込んで行った。
次話をお楽しみに




