危険な香り
カモメと塚本、そして、
太田の三人は水辺へたどり着いた。
『太田さん…ほら…彼処に夏ミカンが有ります。
手に持てるだけ取って来てください。
我々は水のろ過を始めます。』
太田は喜び勇んで夏ミカンの樹の下へと駆け寄る
『塚本さんさぁ始めましょうか?』
口が開いたペットボトルにストッキングを被せ
コッフェルからチョロチョロと少しづつ流し入れる
まだ…下からは何も出てこない。
しばらく経つと
ストッキングの爪先の方からチョロチョロと水が垂れてきた。
一口分ほどの水が溜まると別のペットボトルへ移し
これを繰り返した。
『やったぁ…こんなに
夏ミカンが取れたぞ』
と半ばスキップを踏むかの様に両手に抱えられるだけの夏ミカンを抱え
こちらへ走って来た。
『太田さん!!その夏ミカンを捨てて棒でも良い!!
何か!!武器になるものを手にするんだ!!』
とカモメが叫ぶ
『どうしたんですか?
カモメさん?』
『迂闊でした。
ろ過に気を取られスッカリ囲まれて仕舞いました。
塚本さん…
貴方も何か武器になるものを手にして下さい。』
塚本は周りを見渡した。
膝より高い草が繁り
至る所から
草を踏み分ける
カサカサという音がする
『水は一先ず足元に置き
相手を追い払う事が先決です。』
太田は30センチ程の棒切れを持ち身構えている
『太田さん!!そのまま此方に下がって来てください。』
既にカモメと塚本も棒を片手に身構えてる。
『そう…そのまま下がって我々は水辺を背にしましょう
背水の陣ではありませんが後ろを気にすることもなくなります。』
カモメの右手に塚本…左手に太田が身構える
草むらの中から
『グルルル』と声がした。
太田が
『何だ…犬じゃないか?』
と気を抜いた。
その時二匹の犬が太田を目掛けて疾駆してきた
『チイィ!!コイツらはペットじゃないんだ!
野生に戻ってるんだぞ!!』
と前に出て片手に握った棒をつきだした。
『ギャンッ!!』
一匹の目に棒は刺さったがもう一匹は歯を剥き出し太田の足に噛みついた。
『塚本さんまだ来ますよ!!その棒は叩くのではなく
衝いてくだだい』
足を噛まれた太田はうずくまり
カモメと塚本は次なる攻撃に備えた。
明日もお楽しみに




