カッターで切り裂く
『貴方が下らない事でごねるから
もう既に日があんなに高くなってしまった。
外に出る作業は日が傾いてからです。』
そう…カモメは太田に告げた。 告げた後に立ち上がり太田の方へ歩み寄る。
キチキチキチとカッターの刃を出しなから…
『ヒッ………』
言葉にならない声
いや声とも言えない…
悲鳴にならない息遣いで
目を見開きカモメの右手に握られたカッターから
目も逸らせない
そんな事は事にはお構い無く
カモメの足取りは変わらない
カモメの右手が上がり
『ヒィィ……』とやっとの事で悲鳴を上げた太田に構わず
シャッッ!!とカッターで太田の後ろのブラインドを切り裂いた。
『もう我が儘は言わない…二度と言わないから許してくれ!』
『太田さん?貴方は何に怯えてるんですか?
貴方を傷つけるつもりなど毛頭ありませんよ。
ブラインドを切ったのは
これをほぐして
寄り合わせ糸を縒るためですよ…
網を編んだり釣糸に使ったり
色々と使い道があるのですよ。
今日の日没まではこの作業をみんなで続けましょう。』
みんなは切り裂いたブラインドの糸をほぐし始めた。
その時もまだ太田の焦点は定まらず
放心状態が続いていた。
次回も楽しんで下さいね




