労働の価値
『あのぉ…どちらで ストッキングを脱いだら良いんでしょう。
流石に皆さんの前というのは…』
『これは白石佳江さんレディに対して少し配慮が足りませんでしたね。
片桐さん…少しだけ運転席をお借りして宜しいでしょうか?』
片桐に導かれる様にして
『機器類には触れないで下さいね』
暫くの後
白石佳江は今まで自分が履いていたストッキングを片手にカモメの前に立ち
『ろ過器をお願いします』
と言った。
『では…早速始めましょうと焚き火の炭をストッキングに詰め始めた。
すぐに詰め終わり
『塚本さん…太田さん…
砂浜に砂を詰めに行きます貴殿方はコッフェルを探して下さいね。』
塚本はリュックを片手に立ち上がり機関車から出ようとした。
『俺はやだねぇ』
と太田が拒否する。』
『何故なのです?』と
カモメ訊ねると?
『俺はお前らみたいな
搾取される側のプロレタリア階級じゃない!
搾取する側の人間だブルジョワ階級なんだよ』
『太田さん…貴方はまだそんな事を言ってるのですか?
今のこの状況の何処に
プロレタリアやブルジョワの階級が存在するんですか?』
『俺は元の世界に帰れば
1000億の金持ちだ』
『何時…貴方があの世界へ帰れると保証したんです?』
『だが…誰も帰ることが
出来ないとも…
保証されて無い。』
『貴方はあの世界ではマネーゲームを繰り返し恰もそれがこの世の中で一番優秀だとも』
『では…此処での貴方は
何にも出来なかったじゃありませんか?
あまつさえ…貴重なみんなの水を独り占めにしようとした。
そして…労働に対して拒否の姿勢を示した。
今の極限状態の中で一番大切なのが水や食料などの現物。
次に価値があるのは
自己犠牲の精神と労働です。
此処では貴方の資産には一切の価値は無いのです。
依って…この中で一番貴方が愚か者と言う事になります。
どうですか?
これでも労働を拒みますか?』
太田は俯き小さな声で
『働きゃ良いんだろ働きゃ』と言ったが聞こえたのはカモメ1人だった。
次回も楽しんで下さいね




