静かな昼休み
終わりは確実に近づいていた。
いつまでも、変わらずにはいられない。
昨日はなかなか寝付けなかった。
それでも朝はやってくる。
眠さを押して学校へと向かう。
昇降口でやつと鉢合わせた。
「やぁ、おはよう」
「なんだか眠そうだね?」
そう言うやつも眠そうだった。
「まぁな」
適当に相槌を打つ。
「夜更かしかい?」
「珍しいねっ」
「おもしろい映画がやってたんだ」
「まさかいやらしい映画じゃないだろうね?」
「いや、素晴らしい濡れ場だったよ」
「・・・・・////」
「両手で顔を覆うのをやめなさい」
「あれっ、誘ってるんじゃないのかい?」
何を言ってるんだこいつは。
「ほら、さっさと行くぞ」
「はいはいっ・・・」
靴箱に手をかけたやつの動きが止まる。
「どうした?」
「あっ、その、えーっと、これって・・・・・」
そう言って手紙を取り出した。
どこから見てもラブレターだった。
詳しくは聞かなかったが、昼休みに屋上に来て欲しいとのことらしい。
行ったほうが良いのかな、そう聞いてきた。
行ったほうがいいんじゃないか、だからそう返した。
そうだね・・・。
そう答えたあいつの横顔はどこか寂しげだった。
昼休み。
いつものように食堂に向かう。
今日は手に弁当を持っている。
あいつから朝受け取ったものだ。
食堂の一画を陣取り弁当を広げた。
色とりどりのきれいな弁当だった。
手始めに卵焼きを食べてみる。
悔しいが、美味しかった。
「美味しい・・・」
素直な感想が口から漏れる。
だがいつも正面にいる騒がしいやつは今日はいない。
きっと美味しいと褒めたら一層騒がしくなるだろう。
食堂はいつもと変わらず、騒がしい。
なのにどうしてだろう。
ここだけやけに静かに感じる。
あいつは今頃屋上にいる。
得体の知れないモヤは、また大きくなっている気がした。
気がついたら放課後だった。
帰るか・・・。
帰り支度を整え校舎を出る。
正門にはあいつがいた。
こちらに気づき軽く手を振る。
「帰ろうかっ」
そこにはいつもと変わらないやつがいた。
そして、そのことに少し安堵を覚える自分がいた。
2人で、バス停へと向かう。
いつもと変わらない帰路。
でも、なぜか、落ち着かない。
そのことにきっとこいつも気付いている。
あえて何も言わないのはこいつなりの優しさなのかもしれない。
バス停に着き、バスを待つ。
今日に限ってあまり人がいない。
沈黙が際立つ。
隣のやつは目を瞑っている。
何か逡巡しているようだった。
目を開く。
しばしの沈黙を破り、やつは口を開いた。
「今日のお昼のことなんだけどねーーーーー」
バスが到着し、乗り込むやつを見送る。
こうして見送るのも今日が最後だ。
告白を受けることにしたよ。
その言葉が頭の中でぐるぐると廻っていた。
モヤは、確実に、大きくなっていた。
おそらく次が最後となります。
2人の物語は極々自然に終わりを告げる。




