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4話目 新宿攻防2

「とりあえず一人一体って感じかな。」



 敵の機動力はそこまで無い、バリアーは張るけどそこまで強くも無い。(俺とサキにとっては)なのになんだろうか…。得体が知れないというか…。今まで戦ってきた敵とは違う違和感を感じるというか…。今までの幽霊、妖怪、宇宙人。まぁどれも得体が知れないんだが、こいつは何というかそういう枠組みなんだろうか?



「えぇ!?あれ一人で倒すのか!?セイジおじさんの力見ただろう?ペチペチ弾かれてたじゃないか!年上を助ける気はお前には無いのか!」



「最低限のノルマだろーが!死にそうになったら助けてやるよ!」



 俺はおっさんにそう言い放つと一番近い敵と対峙する。おっさんもひいひい喚きながら俺とは逆の方にいる敵の方に銃口を向けていた。しかし、改めてよく見るとこの女すごい美人だ。黒い羽がなんかダークな雰囲気を醸し出してなんとも妖美…。



「おわっ!!」



 直後、敵からではなく空中から火炎弾が俺目掛けて飛んでくる。



「危ねーな!!サキ!!」



「あらゴメンナサイー手ガスベッチャッテー」



 ぜってーワザとだ…。ツンデレっ子め…。

 まぁ、呆けてるわけにも…



 と、俺がちょっと目を離したスキに女は何やら変な魔法の呪文のようなものを唱えていた。そこで俺はさっきの違和感の答えがわかった。『ゲーム』だ。RPGに出てくるボスキャラ。この敵を表現するにはそれがぴったりだろう。


 女は魔法陣を展開すると魔法陣に手を突っ込んだ。手を突っ込んだ先は次元が違うようでここから見ると魔法陣から先は手が無いように見える。



「なんかする前に潰しておくか…」



 俺は刀を引き抜き先ほどの居合い抜きをする。今度は本体もちゃんと斬れるように2閃の刀撃を加える。



 女は悲鳴をあげて腹部あたりを境に上下真っ二つになる。展開していた魔法陣も瞬時に消えてしまった。



「血は赤いんだな。緑とかじゃなくて良かったわ…。」



 別に赤じゃなくてもいいんだが、それ以外だとなんというか昆虫チックで気色が悪かったりする。気が付くと上で鳴っていた爆音も止んでいた。周りを見ると案の定だ…。毎度毎度、IWの皆さん後処理の方ご苦労様です。そしてうちのJKがご迷惑をお掛けします。全く、久々にぶっ放せるからって…。



「ぶっ壊しすぎだテメェェェエエエ!!!」



 新宿駅東南口は焦土と化していた。先ほどの特大モニターに加え、東南口の上に位置する新宿ルミネには巨大ドリルで風穴でも開けたかのようなデカイ穴が開き、甲州街道は熱によってドロドロに溶けていた。それもこれも全てサキのせいだ。

 サキは力こそ俺たちの中で一番強いんだが、制御といった面では一番ヘタクソだろう…。さっきも意気込んで☢Caution!!☢ハチマキを巻いたはいいものの、敵に当たらずに目の前のパチンコ屋に突っ込んで行く有様だ。



「だってあいつら避けるんだもん!」



「敵は避けてない。テメーが外してるんだよ!!このイノシシ娘!!」



「カチンと来たよ。そりゃー街壊しちゃって悪いとは思ってるけどね、最近太ってきてる人に対してそぉー言うことを言うなぁ!!」



 サキは俺目掛けて火炎弾を乱射する。俺はそれを一つ一つ切り刻む。切り刻んだ炎の弾が後ろの改札横の券売機に当たり、切り刻んで小さくなった弾が爆竹のように炸裂する。



「やるかぁ!このクソJK!!」



 券売機の中に備蓄されていたであろう切符が爆風で空に舞い、辺り一面雪のような紙吹雪に覆われる。


 俺の残鬼の力は『全てを斬り裂く』というシンプルかつ最強な力だ。宙をひらひら舞う紙からコンクリートまで。果ては実体の無い死霊でさえ斬り裂く。どうも「斬れる物」の概念は俺の頭の中で作られているらしい。と、まぁ強い力には色々リスクがあるもので残鬼に至ってはリーチが短いから遠距離に弱い。あと…



「あーんたの力じゃ、あたしの爆発までは斬れないでしょ?」



 そう、サキのような範囲攻撃を使ってくる奴には脆い。例えば炎や水のように斬っても意味の無いものだ。当然、サキの爆発も防げない。まぁさっきの様な火炎弾なんかだったら斬れるんだが…。最もサキが本気で殺そうと思っていないから、俺が斬れる火炎弾を撃って来たんだろうけれど…。

 そう言った意味合い全てを含めてサキが最強なのだ。そしてもちろん最弱は…。



「くっそおおおお!!!」



 最弱のおっさんがバリアーを未だ破れずに銀銃をペチペチと撃っている。最後に残った女は俺達が二体倒したのを確認すると、また俺の時と同じように呪文を唱え魔法陣を展開し始める。

 俺はそれをサキに目線で合図しサキもおっさんを見てため息をつく。サキは「そうね」と小さく呟いておっさんの方へ爆炎をあげて飛んでゆく。俺たち二人の小競り合いはスケールはデカイが、原因は小さい、そして熱しやすく冷めやすい。大体どちらかがめんどくさくなるからなんだけれど…。

 俺もサキの後を追っておっさんを助けに行く。

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