7話 冒険者組合
6話の続きです。楽しんで読んで貰えるように書いたのでよろしくお願いします。追加、異世界人が話す文章の王雅をオウガに変更しました。
門を開くと、床が見える範囲全て石畳で敷き詰められていた。
入ってすぐ左には休憩所だろうか。
窓から衛兵が休んでいるのが見える。
その衛兵がこっちに気づいて手を振っている。
「ロウ!今日は、どうな感じだ?」
窓から衛兵さんが聞いて来た。
「森熊の大物が狩れたんだ!」
とロウさんも手を振り返す。
あの人は誰なんだろうと思った俺は聞いてみた。
「知り合いなんですか?」
「ああ、ダチだ。」
ライさんが俺を気にしてか教えてくれる。
「俺もそれなりにいるけど兄貴は知り合いが多いんだ。村のあちこちに知り合いがいるからな。」
そこまで多いのか?100人?いや、1000人いたら凄いけど村の住人って何人ぐらいいるんだろうか。まぁ、知り合いが何人かなんてそもそも数えてないよなと思いながら話を聞いていた。
「森熊の大物?だったら後で少し肉をくれよ!」
「なんでだよ?」
「酒のつまみに決まってんだろ?」
「はぁ、わかったよ!仕事終わったらうちに取りに来い!」
「わかった!後でな!」
満足そうな笑みを浮かべた衛兵さんと話が終わり、休憩所を通り過ぎた。
そして、門から10mくらい歩いた所から道の左右にお店がずらっと並んでいる。
外にはそれぞれの店の商品が並べられていて、お店の人が客寄せをしていた。
晩御飯の材料を買いに来ているのかお客さんがちらほらいる。
「オウガ、ここは南市場って言って食料を主に売っているから覚えておくと便利だぞ。後、他にも知っておいた方がいい所は北に鍛冶場や宿屋があって西には冒険者組合や薬屋がある。東は商業組合と雑貨屋があるから必要だったら行ってみるといい。」
ロウさんが教えてくれた。
「冒険者組合はこっちだ。オウガ、兄貴行こう。」
ライさんが何やらにやけているのを横目に冒険者組合に向けて歩いた。
南市場を抜けると、中央広場があった。
中央広場の真ん中には噴水があり、その周りにはベンチのような丸石の模様で作られた長椅子も置かれていた。それを囲むように木や色とりどりの花が所々に飾られていて、お爺さんやお婆さん、カップルや子供等幅広い世代が活用していた。
ロウさんに笑って手を振る熟年カップルや何かを配達している男の人もロウさんに駆け寄っていた。
本当に知り合いが多いんだな。
そこから東西南北と道が4つに分かれていた。
俺達は西の道から冒険者組合に向かった。
少し歩くと、右側にアナタシアケミストと書いてあるお店があった。窓際には薬品の入った瓶だろうか、緑色や紫色、青色なんて物もあった。
ここがロウさんが言ってた薬屋だろう。
それしか考えられない。
そこを通り過ぎて、3軒隣に一際大きな建物があった。
「着いたぞ!ここが冒険者組合だ。」
ロウさんが先頭に立ち中に入っていく。
ここが、冒険者組合か。
外見は煉瓦造りのお洒落な見た目だったが、中は壁が煉瓦で他は木材で家具を統一されていた。
入り口の目の前は2つ受付があり、左の壁に木のボードが付けられていて20種類ぐらいの紙が貼られている。右には机と椅子があり、そこで何かを待っているのか休憩しているのか分からないが人が座っていた。
「よし、オウガ。俺達は左で森熊の受付済ましてくるから右で冒険者登録をしとけばいい。終わったら宿屋案内するから座って待っててくれ。」
そう言って、ロウさんとライさんは左の受付に向かった。
左は妖艶な大人の魅力をした女性が受付をしていて、ライさんは真っ先にその人に話しかけていた。
ライさんの好みが何となく分かってしまった。
でも、分からんでもない。人によって魅力っていうのもあるし、人それぞれ好みは違うからな。因みに俺は優しくて可愛くて甘えん坊で格好良くもあり、頼り甲斐のある女の子が好きだ。果たして、そんな子はいるんだろうか?
俺は右の受付に向かう。
「こんにちは!」
「はい、こんにちは!今日はどうされました?」
そう答えたのはボブ髪の可愛らしい10代後半ぐらいの女の人だった。胸元の名札を見たらセシルと書いてあった。
「あのー、冒険者登録と魔物登録をしたくて来たんですけど、どうしたらいいですか?」
「冒険者登録と魔物登録ですね!では、まずこの魔道具に手を置いてください。」
そう言われ、正方形で平らの石?みたいな物に手を置いた。
その魔道具から置いた手から何かが流れ出し、身体中に行き届く。そして、瞬く間に魔道具に戻っていった。
「はい、出ましたよ。」
セシルさんは出てきたカードを見た。
「オウガさんって言うんですね。これは冒険者カードと言って、カードに指で触ると本人の場合、カードが起動するので本人証明書にもなり、お金もこのカードに入れられるので簡単に支払いや貯蓄出来るカードになります。他にも、起動してカードの真ん中を押すとその時のステータスが見れるので使って見て下さい。これが冒険者カードです。肌身離さず持っていて下さいね。無くしたら、初めから再登録になるので無くさないようにお願いします。無くしても本人の指紋が必要になるので他の人が拾っても使えないので安心して下さい。」
「ありがとうございます。」
セシルさんはカードを渡してくれた。
受け取ると、カードが起動した。
音はしないがカードの模様が動いている。
冒険者カードを見ると、左上にNo.22Jー2025と真ん中にルーキーと記載されている。
ここを押すとステータスが見れるのか。後で試してみよう。
「初めて冒険者登録された方には長い説明を受けてもらうことになるのですがお時間大丈夫ですか?」
ビジネススマイルだろうか。セシルさんは、ニコニコ笑っている。
「大丈夫です。」
俺もつい笑顔で返す。
「では、説明しますね。まず、冒険者は冒険者組合に所属されます。冒険者組合は、王都に本部があって各地方に支店あるので行った先々の冒険者組合で依頼を受けてもらって、達成されたらどこでもいいので冒険者組合に報告して下さい。すると、報酬が受け取れます。依頼にも危険度が書いてあるので自分に合った依頼を受けて下さいね。また、依頼に期限がある物はその期限を過ぎてしまうと失敗になります。失敗されると、罰金があるので注意して下さい。依頼中に何が起こっても冒険者組合は責任を負いませんので自己責任でお願いします。次に冒険者のランクについてですが、初めて登録される方の大体がルーキーというランクになります。その次に、ベテランランクになり、ベテランランクには位があります。下から5級、4級、3級、2級、1級とあります。その次もありますが、次のランクは1級になった時に話をすると思いますので今は気にしなくて大丈夫です。また、ランクを上げるには依頼達成数、又は依頼達成内容によって各組合長と幹部によって決められるので頑張って下さいね。何か聞きたいことはありますか?」
セシルさんはマニュアルを読むように優しく説明してくれた。
俺は一生懸命話セシルさんの話を聞いた。
そして、聞きたいことが思い浮かんだ。
「依頼は例えばどんなのがあるんですか?」
「そうですねー、ルーキーの冒険者の方にお薦めにしてるのは掃除系と採取系ですね。掃除系は村の中でやる仕事なので一番危険度は低いです。その分、報酬はやっぱり一番少ないです。採取系は2番目に危険度は少ないですけど、魔物がいる外での採取なので危険は伴います。掃除系よりかは報酬もいいですね。後は、ルーキの方にお薦めしてませんが討伐系と捕獲系があります。こちらは魔物と対峙する事になるので危険度が遥かに高くなります。その分報酬もいいですけどどうしても依頼を受ける場合はランクの高い人とパーティーを組む事をお勧めします。」
「そうなんですね。ありがとうございます。」
「まだ分からない事はありませんか?」
セシルさんが気遣ってくれる。
「とりあえずは大丈夫です。」
「では、この後は魔物登録の手続きをさせてもらいますね。魔物登録される魔物は肩にいる子でしょうか?」
セシルさんは表情を変えず、怖がらずに説明してくれる。
「はい、そうです。」
「まず、冒険者カードを真ん中の台に置いて下さい。この魔道具の片方にオウガさんの手を置いてもらって、その反対側に魔物登録する子の額に当ててもらっていいですか?」
セシルさんが出したのは、二股に分かれていた道具だった。
片側にさっき冒険者登録した時と同じの道具でもう片方はレジに付いているバーコードリーダーの形をしていた。
さっきと同じように自分の手を置き、バーコードリーダーの方を二郎の額に向けると、レーダーが出てきて二郎の体をスキャンしていく。
「はい、これで魔物登録完了になります。後は、登録した子にこの冒険者組合の魔物登録マークを付けてもらうと大きい町にも出入り自由になりますよ。」
魔物登録マークは大、中、小と魔物によって大きさが違っていた。
マークには何かの鳥のシルエットが描かれていた。
「このマークの鳥って何ですか?」
「それはですね。平和の象徴とされるエレパックスという魔物の鳥ですね。昔、大きい戦争があったらしくてその戦争が収束された時に現れたという幻の鳥らしいですよ。何でもこの大陸と同じ大きさだとか。見た事ないんで分かんないですけどね。」
セシルさんは笑いながら教えてくれた。
「へーーー、見てみたいですね。」
「見れたらいいですよね。でもそんな大きい鳥がいたら少し怖いですけどね。」
「確かにそうですね!」
「では、これで終わりになります。これから頑張って下さいね。」
「あ、はい。ありがとうございました。」
お礼を言い、寝ている二郎の体に小のマークを付けた。その後、冒険者カードをポケットにしまってセシルさんのいる受付から離れて、待つように言われた椅子に向かった。
すると、ロウさんとライさんがいた。
「お待たせしました。」
2人は椅子に座って待ってくれていた。
こっちの方が遅かったようだ。
「全然、気にするなよ!な?兄貴!」
「ああ、気にするな!」
ライさんはホクホク顔をしてまたにやついている。
何かいい事があったのか聞いてみた。
「どうしたんですか?」
「いや、フォレストベアとロックホーンの報酬が良かったからな。ほら、これオウガの分!」
そう言ってロウさんが両手いっぱいの肉の入った布袋をくれた。
「よし、オウガの泊まる宿に行くか。」
そうして、冒険者組合を出て3人で宿屋に向かった。
続
読んで頂きありがとうございます。
次回の投稿は3日後の18時になります。
また読んでもらえるとありがたいです。