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2話 初めての異世界

1話に続き、好き嫌いはある思いますが楽しんでもらえると嬉しいです。


外に出ると、風もないのに生きているかのようなザワザワと木が揺れる音。誰かに見られている視線。洞窟に入る前は明るかったのに、木と木の間から見える空は薄暗い。

聞いたことのない生き物の鳴き声、モヤっとした白い霧。


明らかに入る前と場所が違う。


ここは何処だ…


二郎を連れて、一応森の中を牧場がある方向へ向かって歩いた。

歩き始めてすぐに木の下の草むらから音がした。


ガサッガサッ


何だ!?


草むらからピョンっと出てきたのは見た目はリスだが耳がウサギのように長い小動物だった。


何だこの動物…見た事ない。

だけど、少し可愛いかも。


すると、俺を見た途端その生き物は跳ねて何処かに行ってしまった。


新種か?しかし、明らかに現実味がない。

ここは、本当に俺がいた世界なのか!?


それを確かめる為に、もっと進んでみる事にした。


進めば進むほど霧が濃くなっていく。もう5Kmぐらい歩いてる気がする。それに、腹が減って倒れそうだ。


すると、家が見えてきた。


おっ!家がある!

もしかしたら、人がいるかもしれない。

でもなぁ、こんな森の中にポツンと家があるなんて怪しすぎる…

でも、腹減ってるしなぁ。


でも、他に家があるとは思えないし、行ってみる事にした。

家の全貌が見えてくると、古そうな家で人が余りにも住んで無さそうな感じだった。


いや、誰かいるかもしれないし、何かあるかもしれないので入ってみる事にした。


ドンッドンッドンッ!


扉をノックした。


「すいません!誰か居ませんか?」


返答がない。


「すいませーん!」


大きい声で叫んでみた。

しかし、返答はなかった。


小さい古屋だから大きい声で返答がなかったら居ないか、寝てるかのどちらかに違いない。

古屋の横を見たら窓が見えたのでそのから覗いてみた。

中は一部屋(ひとへや)で、誰かが生活してそうな雰囲気はなく、窓から見える範囲には誰もいなかった。


少しだけだったら大丈夫だよな…


少し休ませてもらう為に、扉を恐る恐る開けてみた。


「すいませーん、誰か・・・」


扉を開けたせいか部屋中に(ほこり)が舞っていて、机と椅子が一つずつ真ん中に置いてあった。


「二郎、ここで待っててくれ」


二郎を外に待たせて、恐る恐る小さい声で中に入った。


「お邪魔しまーぁす」


机に近づくと、机の上には分厚い本が置いてあった。


あれ?さっき見た時には何も無かったような…


少し机から離れると、本が見えなくなった。


え?


近づくと、また本が出てきた。


何?どういう仕組み?光の屈折的な感じか?

驚きすぎて少し興奮してしまった。


本の隣には同じ仕組みで出たり消えたりする紙が置いてあった。


「うおぉーーー!」


紙を手に取ると、紙は分解されたかのように消えてしまった。消えた瞬間、頭の中に言葉が流れてきた。


(【ファミリスト全言語】獲得しました。)


はぁ〜、この声は何処から聞こえてくるのか?

ファミリスト全言語とは何なのか。それを獲得という事はその言語が通じるのか、よく分からないが…


まぁ、冷静に考えたら言語という事は日本語みたいな言葉の一種なのか?それに全言語は地球の全ての言葉なのか日本の地方の言葉か分からないがそれの全てが分かるようになるのは不思議だけど、ファミリスト全言語はあっては困らないものだろう。


という事は、ここはファミリストという世界なのか国なのか分からないけど日本どころか地球でもない異世界に来てしまったという事だ。


元の場所に戻れるのだろうか。

洞窟には戻る手段はなかったし、何か手掛かりが見つかるといいけど…とにかくこの世界の情報を集めるしかない。


情報の一つとして隣の本の方はどうなんだろう。

本の表紙には魔物大全と書かれていた。


魔物?なんか面白そうな本だな。

本を手に取ってみた。


すると、また本が分解されて頭の中に言葉が流れてきた。


(【魔物図鑑】獲得しました。)


お!また、聞こえてきた。


魔物図鑑?


色んな魔物が載ってる本だったんだろうけど消えたんじゃ、言語とは違って本だし読めないと獲得したのに意味ない気がする。


それに思ったのが二郎が魔物になってる気がするという事だ。

それを調べるのに見たかったのにーーー!。


まぁ、いい。分からないものは仕方ない。


他には何もないので外に出た。すると、途端に古屋は崩れ去って消えてしまった。


「ぎゃあぁーーーーーーー!」


驚いた!この世界は家も消えるんかいっ!


「二郎、消えちゃったよ。こ、これ俺のせいなのかなぁ?」

『それは違うモヴ』

「二郎がしゃべったーーーーーーー!」


何これ異世界は牛も話すの!?


『違うモヴ、王雅はSP(特殊)スキルでファミリスト全言語を持ってるからモヴ』

「思った事を読むなよ!それにしてもSPスキルってなんだよ。」

『SPスキルっていうのは、特別な技能を持った神具を触れると習得する能力のことモヴ』

「でも、なんでそんなに異世界の事を知ってるんだよ!そもそも、二郎はうちの牧場で生まれて育ったのに。」

『それはだモヴ、元々はこっちのいや、・・・・秘密だモヴ』


いま、なんか言いかけて隠したよな?


『…』


反応は無しか…どうやら秘密にしたいらしい。

違う話題に変えるしかないか…


「じゃぁ、魔物図鑑ってどうやって見るかわかったりする?」

『…モヴ…言いたくないモヴ』

「え、なんでだよ?」

『どうしてもモヴ』

「でも、魔物図鑑があるって事はこの世界には魔物がいると思ったんだけど?」

『・・・・いっぱいいるモヴ』

「じゃぁ、教えてくれたっていいじゃないか!俺が危険にさらされてもいいの!?」


元の場所に戻るにはこの世界で生きていかなくちゃいけない。

それには、魔物図鑑で魔物の情報を得て対策が出来れば危険は少しでも減るはず。


『うっ、わかったモヴ…魔物図鑑は調べたい魔物を見て魔物図鑑と頭で念じるモヴ』


教えてもらった通り、二郎を見て頭の中で念じてみた。

目の前に文字が浮かび上がった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

図鑑No.1


神農牛(カミノウシ)[神獣類]


希少度 金


(説明)

豊穣神から天啓を授けられた牛。植物に愛され、自由に操れる。全ての種を生み出せる。全ての作物の種を生み出せる事が出来る。


図鑑効果 魔力量+1000?

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


うっ


地面に倒れ込んだ。


『王雅!?大丈夫かモヴ?』


頭痛と動悸と胸の奥が熱い。

急になんで…

目の前が真っ黒になった。






はっ

目が覚めた。


『大丈夫かモヴ?』

「なんとかな。」


時間が経ってなんとか大丈夫なようだ。


『多分王雅は、魔力酔いに陥ったモヴ』

「魔力酔い?それって何?」

『魔力酔いって言うのは、魔力が急に増えたら体が魔力量に耐えられなくなって起こる現象だモヴ』

「え、じゃぁ魔力っていうのは?」

『魔力はこの世界の全ての生物が持つ命の源だモヴ。』

「その魔力って…」

『待つモヴ、質問が多いから疲れるモヴ。今日は後一つだけ答えるモヴ』


えっ何にしよう…色々聞きたいしな。


「じゃぁ、魔力量1000って多いの?」

『多いモヴ、豊穣神様の天啓を受けているからモヴ』


えっ豊穣神!?

他にも色々気になる所があるけど。


「二郎、豊穣神って農作物を豊かにする神様だよな?って事は二郎も神様?ハハァ〜、二郎様〜!」


テレビで見た時代劇の偉い人にひざまづく様に土下座で頭を下げた。


『だから教えたくなかったんだモヴ。そこまでするとは思ってなかったけどモヴ。』

「だって、神様の直部下みたいな事でしょ?」

『そうだけどモヴ、モヴが偉い訳じゃないモヴ』

「だったら、調べないでって先に言ってくれればいいのに…」

『あっ、そうだったモヴ。早く言ってくれモヴ』

「そんなこと言ったって二郎からどうやって教えてもらうか必死だったし。でもなんで教えたくなかったの?」

『王雅には今まで通りの仲でいたいんだモヴ』


二郎…


正直嬉しかった。二郎が今までの関係を崩したくないと思ってくれていたなんて。


「わかった。今まで通りに接するよ。」

『ありがとモヴ。ちなみに、魔物図鑑はレベルが上がったら調べれる事が増えるから色んな魔物を調べて本の内容を増やすモヴ』

「へぇー、そうなんだ。それも神様から授かったっていう天啓のおかげなの?」

『そうだモヴ』


ぐうぅ〜


色々あり過ぎて、腹減っていたのを忘れていた。

せめて水分でもあればよかったけどどうしたらいいもんか。


二郎は、悩んでた事がスッキリしたのか尻尾をブンブン回していた。


俺と二郎は次に食糧と水分を探す事にした。

濃い霧の中、疲れ果てた足で森を進んでいく。

だけど、霧は進んでも進んでも晴れない。


いったい、何処まで行けば晴れるのやら…




読んで頂きありがとうございます。

次回の投稿は3日後の18時になります。

また読んでもらえるとありがたいです。

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